王都での用事
さて翌日、サガワさんとは午後から会う約束だ。
今日は忙しいぞ。
予定はこうなっている。
・王都に『コネクト』で行って、王様に会う。
・その後ギルドに行って、依頼を受ける。
・戻ってきて、トムさんから話を聞く。
・サガワさんと話をする。
王都での用事は、全て朝のうちに終わらせたい。
その為にも王様との話はさっさと終わらせよう。
もしかしたら任命式とかする気かな? だとしたら辞退させてもらおう。
そんな時間は無い。
はっきり言って、王様からの依頼よりもカンキジコンビの今後の方が大事なのだ!
面倒だからじゃないよ?
まずはネモト卿に連絡だね。
メールで『コネクトでそちらに行こうと思ってますが、午前中の何時が良いですか?』と送っておく。
するとすぐに返事が返ってきた。『1時間後でお願いします』という事だ。
念話の方が便利だと考えたけどさ、こういう時って便利だよな。
だって、変な事聞かれないもん。
どうして午前中なのですか?とかメールで返ってきたら無視するだけだし。
電話、いや念話だと答えなきゃいけないもんね。
文字制限があるのか知らないけど、短文で済むのは良いよね。
1時間後に城に行くと、いつものメンバーが待っていた。
「おう、帰ったか! ん? ハズキはどこだ?」
「ハズキ君は学校ですよ?」
「はぁっ?! 何を言っている?!」
「そっちこそ何を言ってるんですか? そもそも連れて帰るって約束した覚えは無いですよ?
それに本人が学校に通うって言ってるし」
「こっちの学校でも良いではないか!」
「折角出来た友達と別れて? 真面目に勉強してるのに? 無理矢理そんな事したら嫌われますよ?
それでも連れて帰れと? まぁ、何と言おうと、もう遅いですけどね」
「お前がハズキが居る所に『門のシール』を設置していないハズが無い!
今からでも迎えに行けば!!」
「行く訳無いでしょ。どうしてもと言うなら、このまま帰りますよ?」
「ぐぬぬぬ……」
ふと横を見ると、2トップが良い顔でサムズアップしてた。
うん、間違ってなかったようだ。
「王は放っておいて。ダンジョンの話なのですが、正式に決定しました。
予定通り、福田さんをダンジョン目録作成大臣に任命します。
嫌がると思って任命式とかは無しにしましたので」
「わ・判りました」
ちっ、先読みされてたか。
任命式を理由に断ってやろうかと考えてたのにな。
「ギルドにも既に指名依頼を出してあります。
この国のギルドならどこでも受けれますが、出来れば王都のギルドに行ってください」
「判りました。それで終わりですか?」
「面倒な事は嫌いでしょうから、書類にしておきました。
道中にでも読んでください」
「ありがとうございます。じゃあこれで」
「あっ、王都のギルドに行かれますか?」
「はい。そのつもりです」
「では城の入り口まで案内させましょう。
そこから馬車に乗って行ってください。帰りはまた城に来てもらえば良いので」
いたせりつくせりだなぁ。
そんなに引き受けて欲しいのか。
俺は書類を受け取って、騎士に付いて行って城を後にした。
ギルドに到着すると、すぐにギルドマスターの部屋に通された。
ギルドマスターのフクダさんが居る。久しぶりだなぁ。
「おう、来たな。指名依頼の件だろ?
簡単な話だ。受けると言えば良い。それだけだ。受けるだろ?」
「いえ、さすがに内容を聞かないと受けるとは言えないですよ……」
「ちっ、面倒だな。簡単に説明するぞ?
2つのダンジョンを探索して来いっていう王からの依頼だ。
期限無し。報酬は両方で5000万だ。
ギルドの儲けの為にも断るなよ! 判ってるだろうな!!」
5000万!!
手数料は確か報酬の2割だったから、1000万稼げるのか!
そりゃ断るなって脅してくるわな。
「受けますけど、ここ以外のギルドでもOKって聞いたんですけど」
「あぁ~ん?! ここ以外で受ける気なのかよ?!」
「いえいえ、ちょっと参考までに聞きたいなと」
「ここ以外で受けると、受けたギルドが1割、ここが1割になるんだよ!」
そういう事か。だから2割なのね。納得した。
そういえば、依頼を出した事はあっても受けた事は無かったなぁ。
「ではここで受けますよ。どうすれば良いんですか?」
「手続きはこっちでやっとくから、お前はさっさとダンジョンに行きやがれ!」
そう言われて追い出された……。
まぁ、手数料も成功して初めて貰えるからな。
早く済ませろって事なんだろうね。
今週も仕事が忙しく、1日に1回の投稿になりそうです…。




