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願望と妄想

「まぁ、福田さんが決めたなら従うだけですけどね」

「そうですね。雇い主ですし」

「そうっス!」


カンキジコンビとコタニさんはあっさりとコッチに付いた。

ってそりゃそうか。雇い主の行動を制限する理由が無いもん。

今回の場合は危険じゃないか?という理由はあるだろうが、どうも誰も危険だと思ってないようだ。


「ちょっと! 寝返りが早い!」

「だって私達は雇われてる身ですし」

「そうだけどさぁ……」


唯一残ったナグラさんが困り出した。

ゴメンよ?


「ナグラさんが良ければ、残っても良いけど?」

「何言ってんのよ! 『決まり』を忘れたの?!」

「……? 何かあったっけ?」

「『今後3年間は福田さんと一緒に居てもらいます』ってイイクラさんが言ってたでしょ!」

「……ソウデシタネ、オボエテマスヨ」

「絶対に忘れてたでしょ……。だから帰るって言うなら、私も帰るわよ!」


結果、やっぱり全員で帰る事になりました。

ハズキ君は渋っていたけどさ……。

帰ってもまたヒタキさんの家庭教師で1人での授業は嫌なようで、残る気になったようだ。

まぁ、俺たちがちょこちょこ来るっていうのも決め手になっただろう。

良いんだよ、子供は勉強と遊ぶ事が半分づつで。寂しい爺は放っておけ。


さて、残るハズキ君の為に、俺も働かなきゃね。

カンダさんに御者をしてもらい、昼から城に向かう。

城に着くと、既に俺の事は話してあるようで、簡単に通してくれた。

魔法の登録所に行くと思われたようなので、王様に用事があると伝える。

それだけでは信用されないかなと思って、ニーベル国王に渡された親書も見せておいた。

実は帰り際に王様がちゃちゃっと書いて渡してきたのだ。

ソレを見ると、騎士の人が走って城に入って行き、すぐに帰ってきていつもの控え室に通された。

少し待つと、王様がこっちの部屋に来た。フットワーク軽いなぁ。


「待たせたな」

「いえいえ」

「敬語! 止めろって言っただろ?!」

「一応、最初は使っておかないと。フランクに喋ったら怒られたって方が問題だから」

「この部屋にはそこのカンダってのを含めて3人しかいないだろうが」

「そうだけどね。一応だよ、一応」


もし、誰かが聞いてたら、無礼者が!とか言って不敬罪にされるなんて事もあるかもしれないじゃないか。

そんなの誰も得しないだろ?

だったらとりあえず敬語使っといた方が良いに決まってる。

ツッコミが入るまでが予定調和って事で。


「ふう、まあ良いわ。

 で、用事があるという話だったが」

「まずは親書を渡しておくよ。

 で、こっちの話なんだけどさ。ちょっと用事で出る事になってね。

 ニーベル国王の孫のハズキ君は、大使館から今まで通り学校に通うから護衛をお願いしたいと思って」

「おい、この親書に書いてある内容と違うのだが……」

「えっ、何が書いてあるんだ?」

「ええっと、お前は大臣に任命された事、すぐ帰るので手続きをお願いする事、孫も帰る事、だな」

「あっ、それ、王様の願望と妄想が書いてあるから。

 信じなくていいよ。って言うか、捨てちゃえ!」

「親書に願望と妄想は書かないだろ……」

「だって、まだ正式に任命されてないし受けるとも言ってない。

 明日には出るつもりだけど、帰るって決めてない。

 孫は帰る気が無い。これは本人に確認した」


うん、ウソは言ってない。

帰っても『コネクト』で頻繁に来るつもりだから、帰るって言い方は正しくないと思う。

そもそも、魔法を覚えるまでは離れる気は無いしな!


「まあ、そう言われればそうかもしれないが。

 対面で任命してないしな。先走って書いた感じだ」

「でしょ? 孫に会いたいから暴走したんじゃない?」

「お前も自国の王に対してヒドイな!」


だってそれが事実だし。

さすがにそれを教えるのは、国の威厳とかを考えてしないけどさ。

王の為じゃなく、2トップの為だ。


「だから、護衛をヨロシク!

 それと、魔法は覚えに来るからちゃんと伝えておいてくれよ?」

「あぁ、判った。他国の王族だ。騎士の中から使える女性騎士を派遣しよう。

 それと、登録所には既に伝えてあるから好きな時に行けば良い」


ありがたい。これで用事は終わりだ。

帰って、出発の準備をしよう。


それにしても女騎士か……。

「くっ、殺せ!」とか言うのかな?

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