表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
322/949

テンプレの内容

翌日、朝も早くから例の男女がやってきた。

どうやら解決する方法があると思い、急いできたらしい。

場所が大使館というのもリアルさがあるよね。

こっちはまだ朝食も取ってないのにさぁ。

少しだけ待ってもらい、慌てて朝食を食べて全員で話を聞く事になった。

と言っても、ハズキ君・キジマさん・コタニさんは登校するまでの間だが。


俺たちが待ってもらっている応接室へ入ると、すぐに男が立ち上がった。

そしてこっちにやってきて、俺に握手をして来た。


「解決してもらえるとこちらの女性から聞きました!

 どうぞ、よろしくお願いします!!」

「判ったから落ち着いて! とにかく、座って話そうよ」

「あぁ、すみません!」


こうして、詳細を聞く事になったのだが、まぁ本当にテンプレって感じでした。


・元々魔法作成をしていたのだが、作った魔法が認められて貴族になった。

・子爵(男爵の一つ上)の息子が女性を見て惚れた。

・あまり素行の良い息子ではない。

・親を通して婚姻を申し込んできた。

・なったばかりの貴族でよく判らないまま、言いくるめられた。(貴族同士が結婚するものだとか)

・今ではそれが当たり前だと信じている。しかも子爵の家と繋がるのはラッキーとさえ思っている。

・娘に話もせずに許婚にしてしまった。


こんな話だ。

はっきり言おう。バカバカしい。

色々考えてたのがアホらしいわ。良し、さっさと終わらせよう。


「まず、確認だが、二人は結婚するんだな?

 ここで『~を達成したら結婚する気でいます』とか言うんなら見捨てるからな?」


よくあるんだよな、こういうの。

お金が足りないからドラゴンとか倒して一攫千金狙うってパターン。

で、見捨てられないから主人公達が協力して倒して稼ぐんだよ。

そんなのはお断りだね。そんなヒマも無いし。


「「はい、結婚します」」

「よし。

 では。魔法を作っていた家ならフローチャートくらいは知ってるだろ?」

「はい。知ってますけど……何か関係が?」

「簡単な事だよ。これからフローチャートを作る。

 その流れに乗って、親と話し合いをしてもらう。それだけだ」

「はぁ。フローチャートは必要ですか?」

「あぁ。そういう時は感情的になりやすいからね。冷静に事を運ぶ為にも必要だよ」

「そうですか……判りました」

「あっ、話し合いには男は不要だから。ちょっと黙って聞いてて」

「……」


可哀相だが、まずは家族間での決着が先決。

そこが出来てないから拗れるんだよ。


「じゃあ、まず最初は丸を書いて、その中に『話し合い』と書いてもらおう。

 で、下に線を引いて、その先にはひし形を書いて。そうそう」


用意してた紙とペンを渡して、本人に書いてもらう。

その方が覚えやすいからね。疑問があればその都度聞けるし。


「ひし形の中には、最初の質問を書いてもらう。

 そうだなぁ『私と家とどちらが大切ですか?』これでいこう。

 で、ひし形から下に矢印と左に矢印を書いて。下向きの矢印には『私』、左向きの矢印には『家』と書いて。

 これから、ずっとこのパターンだから。質問の内容だけ言うからフローチャートは描いてね」

「判りました。で、左向きの矢印の先には何を書きますか?」

「ん? 家出だよ。自分より家が大事な人達を家族と呼べないでしょ?

 家出して、彼と結婚すればいいさ。その場合は一旦、ここに来なよ。

 貴族だろうと、他国の大使館には入れないから」


二人ともビックリしている。

あっけなく見捨てろって言ったのが意外なのか?

家の為に家族を売るような親だぞ? 説得なんか無理。縁を切った方が早いわ。


「はいはい、次の質問を言いますよ~。

 次は『結婚相手を調べましたか?』これにしよう。

 両親の前では猫を被ってるのは当たり前だからね。第三者の目で見てもらわないとね。

 これはYESかNOで。

 NOを進めるぞ。次は『今からでも調べる気がありますか』だ。これもYESかNOで。

 NOなら家出へ。結婚して親戚になる家の事も知らないなんてありえないから。

 YESなら冒険者ギルドに依頼を出してもらおう。

 多分彼に同情してるハズだから、しっかり調べてくれるだろう。

 さて、既に調べてた場合、つまりYESだった場合。素行が悪いという結果が出てる前提でだ。

 『素行が悪い。それを知ってて結婚しろと言いますか?』と聞こう」


「それがYESなら、最初の質問の『私と家とどちらが大切ですか?』と矛盾するわね」

「おぉ、ナグラさん鋭いねぇ。そういう事。YESなら家出直行だね!

 NOなら解決だ! これで終了だよ」

「冒険者ギルドへ依頼を出さない場合はどうしますか?

 知り合いに頼むとか」

「そうだなぁ。そういう場合は完全な第三者が良いので、ここの大使館の人に頼む事にしよう。

 実際は大使館の人が冒険者ギルドに依頼するから同じなんだけどね」

「その場合の費用は……」

「当然親持ち。それも払う気が無いなら調べる気も無いよ。

 大使館に頼んだ方が高くつくけどね。中間マージン取るし」

「取るの?!」

「取るよ。ナグラさんは学生だったから判らないだろうけど、取って当たり前なのよ。

 人を使うのにタダって事は無いでしょ。あぁ、大使館が頼むってのは内緒でね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ