攻めの交渉
依頼を受ける事を渋る俺に対して、2トップが協力して攻めてきた!
「依頼料はギルドから払われるでしょうが、国からも別に出しましょう。
そうですね、出来高払いってのはどうでしょうか?
モンスター1匹の情報に1万円、いや2万円出しましょう!」
「君は有力はモンスターを従魔にしてるよね。
まだ見ぬ使えそうなモンスター、興味無いかい?
君の望んでいるような能力を持ったモンスターが居るかもしれないよ? 従魔にしたくない?」
むむっ、ネモト卿は財政面、ヌマタ卿は精神面で攻めてきてる。
依頼とは別に報酬が出るのか。
しかも100匹の情報を集めたら200万貰えるのか。デカいな。
それに今の俺に欠けている能力を持ったモンスターを従魔に出来るってのは良い話だ。
う~ん。
「ワシはノートルダムに親書を書いてやるぞ?
上級魔法が覚えたいのだろう? 口を利いてやるぞ?」
「あっ、ぞれは既に解決してるので結構です」
「王は何も出来ないんだから、黙ってなさい!
福田さんが機嫌を損ねたらどう責任を取るつもりですか! 隠居してもらいますからね!」
「ぐぬぬぬ……」
ヌマタ卿が相変わらずヒドい。
そしてこっそりと俺にも罠を仕込んでいる。
隠居させたくなければ受けろと、プレッシャーをかけてる。
「どちらのダンジョンでも良いので、コンプリートしたら別にボーナスを出しましょう!
そうですね、1000万でどうです?」
「福田さんは食にも興味があるようで。
ドロップで出る食材。興味ありませんか?」
どんどん攻め込んできてるな!
1000万って大金だぞ! そんなに価値があるのか?!
確かに食材も興味がある。何ちゃらクラブから出たカニの身は美味かったなぁ……。
「そうだ! 両方のダンジョンをコンプリートしたら、さらにボーナスで1000万上乗せしましょう。
合計で3000万です!!」
「そういえば、武具頼みで自身のレベルが低い事を気になさってる様子。
ダンジョンに行く事で、レベルも上がるでしょうなぁ……」
2つともコンプリートでさらに1000万上乗せだと?!
それにしてもさっきからヌマタ卿は、何故俺の事に詳しいのだろうか? 何か怖いな……。
「……行ってくれないのであれば、税金免除は取り消します」
「……ドラゴン関連の物を持ってるって誰かに言いそうだなぁ」
最終的には脅しかよっ!
ヒドいぞ、貴方達!!
くそっ、1人で来るんじゃなかった!
こういう時に参謀役の人が居ないと弱いんだよなぁ。
俺に出来る事は、せいぜい条件を良くする事くらいだ。
もう、断るのって無理!
「判りましたよ! 受けますよ!
その代わり、もう少し条件を良くしてください……」
「ありがとうございます! では王の財産を使って、モンスター1匹の情報に2万+1万=3万にしましょう!
で、コンプリートで1000万+500万=1500万で!!」
「おい! ワシの財産だろうが!」
「王の財産は国の財産です。反論は許しません」
「ぐぬぬぬぬ……」
「では私からは、前回の探索に行った者を同行させましょう。
道などの情報を持っていますので、便利だと思います」
おぉ金額が増えた! 王の私財らしいけどね。
後は案内役が来てくれる事になった。
ダンジョン内の情報を持ってる人が一緒なら心強いね!
「あっ、同行者から聞いたモンスターの情報でも良いんですか?」
「はい、問題ありませんよ。そのモンスターが同じドロップ品を出すか、確認はしてもらいますので」
そりゃそうか。丸写しじゃダメだよな。それで金貰ってりゃ詐欺だ。
ん?! 同行者って最初から予定にあったんじゃないのか?!
俺が適当に書いても仲間しか居なきゃ判らないもん。
同行者って、案内役でもあり見張りでもあるんじゃない?
その事に気づいたので、ヌマタ卿をジトーっと見る。
おや、気づきましたか~って顔してるわ! ムカつく!
「ではもう一つ。同行者には『コネクト』の事を知らせておきます。
勿論、この話を誰かに漏らしたら死刑と言い含めてね。
これで、ダンジョン内で泊まる必要が無くなりますよ」
あっ、今まで普通に家に帰ってたから気づかなかったわ。
コネクトが使えない状況だったのね! それを使えるようにしてあげると。
何か、結局全て2トップの思い通りに進んでる気がするわ……。
ささやかな報復として、ハズキ君は連れて帰らずにそのまま大使館から学校に通ってもらおう。
ノートルダムの王に頼めば、護衛くらい付けてくれるだろうし。
ホウズキさんの所か孤児院でも良いかもしれないね。
まぁ、全てはハズキ君の気持ち次第だけどさ。
帰りたくないなら、その方向で行こう。
くくく、孫エネルギーよ、枯渇してしまえ!!




