王との会見
子供達には満足してもらえたようなので、とりあえずこれで帰る事に。
帰り際に、院長から、
「今日は後は前に教わった『すごろく』や『宝探し』でもして遊びますよ」
と言われた。最初からそれで良くない?!
最後の最後でドッと疲れたよ……。
翌日、早速城から使者が来た。
午前中の内に城まで来て欲しいとの事。
とりあえず危険は無さそうだけど、俺とカンダさんだけで行く事にした。
カンダさんは御者をしてもらう為だ。
城に行くと、前回と同じ部屋に通された。
聞けば、控え室では一番良い部屋だそうだ。
まぁ、隣の国の外交官だしね。それにこの国の者に非がある話だし。
少し待つと、騎士の人が4人来て、王の私室に案内しますと連れて行かれた。
王の私室には王様だけが居て、騎士達は部屋の外で待機するそうだ。
王様と1対1での話になるようだ。
「この度の事、調べたよ」
「どうでした?」
「また敬語! 誰も居ないから良いんだよ! 遮音もしてあるし!」
「判ったよ。どうだった?」
「やっぱりあの貴族が絡んでたわ」
「やっぱりそうか……」
「あいつは公爵で、外交官も任命出来る。謁見の時にこっそり貰った親書の内容通りだった」
そう、2人きりになった時に、持たされていた親書も渡したのだ。
あれにはニーベル国の王様が、ヌマタ卿が調べた事を書いてあるハズ。
「事の流れはこうだ。細部は伏せさせてもらう。許せ。
貴族Qは娘を元気付ける為に、ハズキ君を探したいと考えたらしい。
それを懇意にしている貴族Aに相談したら、自分が使ってる所が優秀なのでそこに頼めば良いと言われたらしい。
それで頼んだそうだ。そうしたら国外に出てると言われたってさ。
で、さらに調べる為に外交官の立場が必要だと言われたそうだ。
不思議に思いつつも、名前の部分が空白の任命書を作り渡した。
貰った貴族Aはそれを使ってた犯罪組織に渡し、名前を書いて利用してたようだ。
もし捕まっても任命したのはあいつだし、貴族Aはしらを切るつもりだったんだろ。
実際、貴族Aも犯罪組織と接触する時、貴族Qの者だと言ったそうだしな」
「汚いな……」
「あぁ。ここからは知ってるかもしれないが。
犯罪組織は外交官の立場を使い、盗賊をして儲けようと画策。
ついでに子供を見つけるって依頼は、その子供を攫って、子供の親と貴族Qの両方から身代金を取るつもりだった。
貴族Aは儲けの一部を受け取ってたようだ」
「貴族Aってのは判明したのか?」
「あぁ、もう既に捕まえている。
犯罪組織のアジトも昨日強襲した。まぁそこにはほとんど残ってなかったがな。
ただそこには色々な犯罪の証拠が残ってたのでな。未解決事件が何件か解決しそうだ」
「じゃあもう、俺達は安全かな?」
「あぁ、もう安全だ。すまなかったな」
良かった。
これで今の警戒は解除出来るな。
あぁ、でも気になる事もある。
「あの貴族Qはどうなるんだ?」
「探す依頼を出しただけだからなぁ。だがその方法が良くなかった。
それに空白のある任命書を発行した事は問題だ。
クビにはしないが降格処分にはする。2つ落として伯爵になるだろう。
後は減俸だな。お前が納得しないなら、もっと重たい罪にするが?」
「いや、反省してるだろうし、それで良いよ」
「そうか、悪いな……。
本来ならクビにすべき事案なんだがな、そんな簡単じゃなくてよ」
「良いよ。あっ、でもニーベル国で盗賊の被害にあった人には何か保障してくれよ?」
「あぁ。貴族Aの財産全て没収するから、それで補填するよ。
それでも足りなければ貴族Qにも出させる。その旨の親書を書いておいたので、ニーベル国の王に渡してくれ」
「判った」
これで盗賊の被害にあった人も助かるだろう。
今日の内に親書は持って行くとしよう。忘れたら問題だからね。
「さて、後はお前への侘びだな。
上級魔法を覚えたいんだったっけ? 後1人は決めたのか?」
「ヤベッ。忘れてた!」
「おいおい、しっかりしろよ。まあどうせすぐには覚えられないがな」
「どういう事だ?」
「上級魔法は中級魔法を全部覚えて無いと覚える事が出来ないんだ」
「マジで?!」
「おう。だから、まずは中級魔法を全部覚えてもらう。
中級魔法はお前の仲間全員が覚えるんだったよな?
城の敷地内に魔法の登録所があるから、全員でそこに行け。許可を出しておく。
後、これを渡しておく」
「何これ?」
「この国の通行手形だ。俺の名前入りだから最上位の物だぞ? 大体は入れると思うぞ」
あ~、ニーベル国でも貰ったわ。町に入る時も税金とか取られないヤツね。
地味に助かるんだよな。ありがたく貰っておこう。
「これで、話は終わりだ。
上級魔法を誰が覚えるか決めたら、また教えてくれ。
中級魔法、頑張って覚えろよ」
「ありがとう」
会見も終わり、帰途に着いた。




