シンデレラ・エピローグ
「舞踏会の翌日から、昨日の女性探しが始まりました。
手がかりは靴だけです。履いてもらいピッタリな人を探すというムチャな探し方です」(ホウズキ)
確かに無茶苦茶な探し方だけどさ。
そもそも、顔を見て気づけよって話だしな。
ついでに言えば、魔法で作った靴だけ何で消えずに残ってるの?って疑問もある。
「この家にも探しに来るらしいですが、関係ありませんね」
「そうっスね、キジマママ」
「多分、私だと思うんですけど……」
「そんな訳無いでしょう?! それよりも柔らかくなったすじ肉に醤油で味付けしなさい!
今日のお昼はお城から持って帰った物で、それは晩御飯にするんだから!」
「そうっス! シンデレラのくせに生意気っス!」
「は~い」
う~ん、コタニさん、会話になってないよ?
相変わらず食べ物の話だよなぁ。
そして誰もイジめてない。
「お邪魔します。こちらの家の方も昨日舞踏会に来られましたね? 靴の確認をお願いします」
そう言ってカンダさんと院長がやってきた。
って従者と王様なんだけどさ。
「一人づつ、この靴(?)に足を入れてください。まずはキジマママから」
「はい」
「おぉ! ピッタリだ! 次は娘」
「判ったっス!」
「こちらもピッタリだ! 最後にそこの娘」
「了~解」
「またまたピッタリ!」
そりゃそうだ、スリッパだもん。当たり前だろ。
これ、どうやって締めるんだ?
「その靴は私が昨日落とした物です」
「そうなのですか? 王様、この娘でしたか?」
「どれ、調べてみましょう。『鑑定』! うむ、確かにこの娘だ!」
『技術』の『鑑定』使っちゃったよ!
靴での判定、意味無いじゃん!
「良かった。無くして不便してると思ってな。確かに届けたよ」
「ありがとうございます」
「して、お前が結婚したいと言ってるのはそちらの婦人かな?」
「そうでございます」
「二人の子持ちだが、それでも良いのか?」
「はい。問題ありません」
「よし! 認めよう! ではお前は今日から王子ではなく、ただの騎士だ。
この家と家族をちゃんと守って暮らせ!
だが、困った事があれば、なんでも相談するんだぞ? いいな?」
「はい、ありがとうございます」
「娘達よ、これで私は君達のおじいちゃんだ。仲良くしてくれ」
「「はい!」」
「それと娘よ。お前の食べ物に対する熱意。素晴らしい。城で料理人をするが良い!」
「ありがとうございます」
「こうして、シンデレラとその家族は幸せに暮らしました。めでたしめでたし」(ホウズキ)
母親が結婚しちゃったよ!
しかも相手は、従者と思ってたら王子様!!
王位を返上してまで結婚するとは! 大恋愛じゃないか!!
しかもシンデレラは就職が決まったし!
確かに大団円だけどさ、元の話から全然違う話になってるよ?
周りを見れば、子供達は喜んでいる。
おめでとーなんて声まで聞こえる。
まあ、子供達が喜んでるならいいんだけどさぁ。元ネタ知ってるから……。
「いやぁ、盛り上がったわねぇ」
「緊張したっス!」
「劇なんて初めてしたけど、面白いですね」
「またやってもいいかな?」
皆も楽しそうだな。じゃあ何も言うまい。
「ちょっと! 魔法使い役! もうちょっとちゃんと演技しなさいよ!」
「だったら、脚本通りやれよ!!」
結局言ってしまいました……。




