謁見前
お城に行くと、騎士の人に門の所で降りるように言われた。
あれっ? 歓迎ムードじゃないのかな?
って思ったけど、実は違うらしい。
ここからは車で行くそうだ。
そうだよ! この国には車があったんだよ!
貴重なソレに乗せてもらえるって事は、歓迎してるって事だろう。
迎えに来た車は、車っていうよりも遊園地とかにある電動のバスって感じ。
屋根も無いし、速度も歩くよりかは速いかなってくらいだ。
駆動も前進とバックしかないようだ。
煙は出ているが、水蒸気らしい。
どんな仕組みなのだろうか? 運転している騎士さんに聞いてみるか。
「すみません、これってどんな原理で動いているんですか?」
「これはですね、蒸気機関という物で動いています」
「あぁ、なるほど。それで水蒸気なのですね。燃料は何を?」
「火の魔法石です。って蒸気機関を知っているのですか?!」
「えっ? ええ、まあ……。あの~、もしかしてそんなに有名じゃないのですか?」
「有名じゃないどころか、秘匿されてますよ……」
「マジですか?! えっと……聞かなかった事に……」
「なりません」
「なりませんよね……。そうですよね……」
マジか?! 車を販売してるくらいだから知られてる事だと思ってたよ。
エンジン部だけブラックボックスにでもなってるのかな?
こりゃギアの事も聞かない方が良さそうだ。
ギア=変速装置、なんて事を言ったらこの国から出られなくなるかもしれないわ。
このバスみたいなのは送迎用だから、前進とバックしか無いのかもしれないし。
しかし、この世界って自然に優しいよね。
燃焼は火の魔法石を使い、蒸気機関で動かしてる。
排気ガスもクリーンだね。
ちなみに俺の馬車は、騎士の人がどこかに連れて行った。
多分どこかに馬車を繋ぐ所があるのだろう。
レイには城を出るまでは何もしないように言っておいた。
ただ監視はしてるので、何かされたとしても帰る時に教えてくれる予定。
見えない監視って怖いよね~。
のんびり乗っていると、城の中の1室の前で止まった。
その部屋の扉の前には騎士が2人待機していた。
「こちらの部屋でお待ち下さい。お時間になりましたら係りの者が呼びに参ります」
「はい、判りました」
どうやら、この部屋は控え室のようだ。
入り口に騎士が2人も待機してるなんて、結構なVIP待遇じゃない?
ってよく考えれば、隣の国の王の孫と外交官だもんな。そりゃVIPだよ。
ここで何かあれば外交問題だもん。そりゃ警備するよな。
って事は、城では何かがある訳ないか。
逆に何かあるなら、命令出来る王族が黒幕って事になるよね。
部屋に入り10分もすると、文官のような人が迎えに来た。
その人に付いて行く事になった。
部屋の前で待機していた騎士2人も一緒に来てる。
前に1人、後ろに1人だ。
ちなみに今回は、武具は全てマジックボックス内に仕舞っている。
カンキジコンビは、無くしても良い安物を装備してきた。
これでもし取り上げられても問題無い。
昨日の夜にマジックボックスから取り出す練習したよ。
慌てて出せない、なんてネコ型ロボットみたいな事にならないようにね。
付いて歩いてると、1階上の扉の大きな部屋の前に到着した。
どうやらここが謁見の間のようだ。
いつも思うけど、なぜこんな大きな扉にするのだろうか?
高さだけで3mくらいあるし、両開きの扉を開けると幅は4mくらいある。
そんなに大きな物を搬入する事があるのかね?
何かあった時に沢山の人が同時に出入り出来るように?
逆に攻めてきた場合は危ないんじゃないかな?
おっと、変な事を考えてたら既に扉が開いていた。
扉からまっすぐに王様の居る玉座までは赤い絨毯が敷いてある。
その絨毯の左右には、この国の貴族っぽい人が並んでいる。
絨毯には途中に1箇所だけ白い線がある。
どうやら、入って行きそこで停止する為らしい。
そこで口上を述べるのね。
俺とハズキ君が横並びで、その後ろにカンキジコンビが並んで、謁見の間に入場した。




