ナミちゃんの質問
「お兄ちゃん、サマナーって、結局何なの?」
「え~と、モンスターをポチみたいに従魔に出来る事、かな?」
「ふ~ん。じゃあポチが増やせるの?!」
「まあ狼を従魔にすればいいかな」
「そうなんだ! じゃあ早速行こうよ!」
「いや、多分、Eだから無理かも……?」
「Eって何?」
「あ~、数字で言うなら5って事かなぁ」
「5だと良いの?」
「1~5まであってさ、1が1番良いんだよ」
「そうなんだ~。どうやったら1になるの?」
「……し・知らない」
「え~!!」
「し・調べてくるよ!」
「お願いね!!」
確かに技術を上げる方法って知らないわ。
例えば剣術とかなら、鍛錬を重ねれば上がると思う。
でも、サマナーのようなのはどうするんだろう?
鍛錬の方法なんか知らないぞ?
従魔を何度も呼んだり返したりしてれば鍛えた事になるのかな?
「ところで、お兄ちゃんは今いくつなの?」
「ん? 俺はAだよ。え~と、1って事かな」
「1なんだ! 凄いね!」
「そうかい? そう言われると確かに凄いかも?」
「1だとどうなの?」
「え~と……強い?」
「へ~強いんだ! じゃあお兄ちゃんは最強だね!」
「……誰から最強なんて言葉を習ったの?」
「ギルドに行ったら、皆が話してたよ? 誰が最強だろうなって!
お兄ちゃんだったんだね!」
「いや、違うと思うけどなぁ」
「え~、何で違うのぉ?」
「いや、俺自身が強くないしさ……」
俺自身はレベル40だしさ。
タイマンなんかしたら、即負けする自信があるぞ?
「ちょっと良いですか?」
「なんです? カンダさん」
「福田さんは最強に近いと思いますが」
「はぁ?! 何で?!」
「まず装備ですが、武器は最強と言っても間違いないでしょう」
「ドラゴンバスターにミスリルのレイピアだからだね?」
「それにエンチャントされている事も含めてです。身代わりの指輪も装備してますし」
「でも、使う人間がショボいと思ってるけど?」
「エンチャントの毒の的中率が高すぎます。あれは外道ですよ」
外道って……。まぁ、そう思うけどさぁ。
だって毒を与えるのが確率なら、何とかなるじゃん?
「次に技術と魔法です」
「うん」
「マジックボックスを持っている時点で卑怯です。
例えば矢が尽きたって事が無くなりますから」
「卑怯って……。でも、買ってなければ同じだけどさ」
「それは誰もが同じです。持ち歩かなくて良い時点でかなり有利ですよ」
「魔法も着実に増やしていますよね。何よりも空間魔法が使えるのはかなり有利です」
「それはそうかも。それで誰だったか忘れたけど、冒険者に勝てたしね」
「技術も、『看破』『必中』『罠』と強い物を持っています。
一番厄介なのがサマナー(A)です。
トムさんを呼ぶとかありえませんよ?」
「あ・あの人は別格じゃない?」
「そうでもありませんよ?
アリの王のシロ、馬車を守るレイ、暗殺不可能にするチョロ、接近戦で強いガー。
はっきり言って、敵に回したくないです。
特にシロ! 全てのアリに命令出来るなんて、国相手でも勝てます!」
「いや、国にケンカなんか売らないよ?!」
「売ってくる可能性はありますよね? 特に情報の無い国だと無いとは言い切れませんよ?」
確かに何も知らない国の貴族とか、ラノベならケンカ売って来そうだ。
で、主人公はそのケンカを買うんだよね。俺なら逃げるけどさ。
いや、まず出会わないように動くね。
「後はお金持ちって事と、人脈と立場ですね」
「お金持ちって関係無くない?!」
「お金が有る最強と貧乏な最強、どっちが強いと思いますか?」
「お金が有る方」
「そういう事です」
まぁ、何となく判る。金をバラまきゃ、何とかなる事って多いと思う。
悪い考えだけど、買収とか買占めとかさ。
メシも買えない最強は、金持ちに負けるわな。
「人脈も、ニーベル国の王と2トップと仲が良い。さらに現在は外交官。
これで勝てる人が居るでしょうか?」
……ここまで言われると、知らない間に最強に近づいていた事が判るな。
いや、別に最強じゃなくても良いんですが……。




