レース
厩舎にはサガワさんが所有している犬が3頭も居た。
これからレースに出るのが1頭。他のは終わったらしい。
さすがにレースに出る犬には近寄れない。厩舎の人にも止められるだろう。
傷つけたりして不正する輩もいるからねぇ。
そんなヤツには倍返しだ!
終わった2頭には会わせてくれるらしいので、厩務員の人に付いていく。
そこに居たのはドーベルマンのような犬と、ダックスフンドのような犬だった。
厩務員さんによると、レースによって出る犬の種類が違うらしいです。
競馬で言うなら、ドーベルマンは普通の芝のレース。
ダックスフンドは障害レースだそうだ。
障害レースと言っても2種類あるそうで、馬のように飛越をするのが1つ。
もう1つは運動会の障害物レースのような物らしい。
ダックスフンドは後者なんだとか。
へ~、見たかったなぁ。
ドーベルマンは近づくと唸り出した。
さすがにナウ○カのように、咬まれて「ほら、怖くない」なんて出来ないわ。
ヘタすりゃ殺されるからね。
しょうがないので、ダックスフンドに近づいた。
こちらはシッポを振って歓迎してくれている!
おぉ~、可愛い!
撫ぜまくってると、ウエダさんがこちらにやって来た。
「可愛がってる所、悪いんだけどよ、そろそろサガワさん所有の犬のレースが始まるぜ?」
「マジか?! くっ、どちらも捨てがたい!!」
「レース見てから、もう1回くれば良いじゃねぇか」
「……名残惜しいがそうしよう」
ウエダさんは手に新聞のような物を持っていた。
それには馬柱ならぬ、犬柱でも書いてあるのかな?
「それで、サガワさんの犬はどれだい?」
「くっくっく、これ見りゃすぐ判るぜ」
「うん? どれどれ?」
ウエダさんの持っていた新聞のような物を受け取る。
「何レースに出走なんだ?」
「第9Rだな」
「9ね」
9レースの欄を見る。
ふ~ん、8頭立てなのか。
んん?! もしかしてこの犬か?!
「も・もしかして……」
「そう! 『フクダテイオウ』! それがサガワさんの犬さ!」
これは恥ずかしい!! 言って変更してもらわなければ!!
犬の名前って変更出来るのかな?
いや、何とかしてもらおう!
「まあまあ、それよりも投票券を買わないとな」
「くそっ、他人事だと思って! 今度、サガワさんに『ウエダイエロー』って名前で登録してもらうからな!」
「すまん、それは許してくれ……」
「ちっ、まあいい、で馬券、いや、投票券だったな。オッズはどうなってんだ?」
「今の所、サガワさんの犬は2番人気だな」
「1番人気は?」
「5連勝してる『イッキウチ』って犬だ。単勝1.1倍だとよ」
「サガワさんの犬は?」
「単勝6.2倍だな」
2番人気で6.2倍か。他の犬は20倍以上だから、2強の争いか。
イッキウチが居なきゃ、1番人気だったろうになぁ。
じゃあ、俺が応援しよう!
「じゃあ、単勝に100万だ!」
「マジか?! じゃあ俺も乗るとしよう! 10万賭けるぜ!」
「カンダさんはどうする?」
「じゃあ私も。20万賭けますか」
3人で130万を単勝にツッコんだ!
よし! 後は『サガワさんの犬が勝ちますように!!』と願う!
しばらく使ってなかったけど、今日は解禁しちゃうぞ!!
レースは期待通りサガワさんの犬が1着になった。
これで620万ゲットだぜ!
って思ったら、130万もツッコんだせいで、オッズが変わってて2倍丁度だった……。




