名前
続いて、1番を実験してみる事にした。
1番は深くてフタが薄いやつだ。
さっきと同じ様に起動と唱えてから逃げる。
減ったMPもさっきと同じで10だった。
「よしよし。では実験をしてみようかの。
今度は薄いので5kgの石から始めてみようかの」
「5kgですね。判りました」
5kgの石を魔方陣に投げると、あっという間に石が地面に飲み込まれていった。
確認しに行くと、1mの深さの穴の中に石が落ちていた。
「ふむ。脆すぎるかな?」
「そうかもしれませんね」
「よろしい。4番で実験してみよう」
さっきよりは浅いけど、フタの厚みは同じだからね。
4番を発動させて、今度は木の棒で魔方陣を突っついてみる。
するとちょっと力を入れただけで穴が開いてしまった。
「どうやら薄すぎるようだね」
「そうみたいですね。これでは罠にかかる前にバレてしまうかもしれませんね」
「うむ。では7番は実験の必要はないのぉ。
厚みは中か大じゃな。では、次は2番を試してみよう」
言われた通り2番を起動する。
これは20kgを置いた時に穴が開いた。
「厚みは悪くないようじゃな。では3番も試してみよう」
3番はさっきと違って50kgで穴が開いた。
やはり9番は穴が浅すぎたようだ。
「こちらも悪くないのぉ。大人なら50kgはあるじゃろうし。
次は深さじゃの。5番を試してみよう」
5番か全てが中くらいのやつだね。
発動させて20kgの石を置くと、やはり穴が開いた。
覗き込むと、穴の深さは50cmほどに見える。
「たいして深くありませんね」
「いや、違うぞ。そんなに深く無いように見えるのは、フタの土が中に落ちているからじゃ。
こいつは性格には70cmくらいあるはずじゃ」
「じゃあさっきの深いのは?」
「1.3mくらいあるはずじゃよ」
そうだったのか。1.3mなら肩くらいまで埋まるな。
しかも隙間には土が詰まってるんだろ?脱出出来ないよね。
こうやって実験した結果、使えそうなのは2・3・5・6の4つとなった。
どれを採用するかは、話し合って決める事に。
「こういうのを決める時には、対象をはっきりとさせるべきじゃ」
「対象ですか?」
「何を落としたいのかね? 人間? 獣? モンスター?」
「出来れば全てに対応したいですが……」
「人間と、獣・モンスターではサイズが違う。獣でもウサギは軽いし、クマはデカくて重いぞ?」
「なるほど……。では凡庸性を持たせる為にも、中くらいの厚みで行きましょう」
「ふむ。では2か5という事になるのぉ。後は深さじゃな」
「相手によって変える事は出来ないんですか?」
「とっさには難しいのぉ。それならばいっその事、両方作ってしまう方が楽じゃよ」
「そんな事、可能なんですか?」
「おぉ。登録は1つだけじゃがの。2つ作って覚えてしまえばええじゃろ」
「じゃあ、それでお願いします」
という事で、「落とし穴(大)」と「落とし穴(小)」が採用。
大小ってしたけど、実際は深さの違いだけだ。深い浅いでは言いにくいんで。
「では福田君、魔法の名前を決めてもらおうかの」
「えっ? 落とし穴じゃダメなんですか?!」
「ひらがなだけなら良いが、漢字はダメなのじゃよ。後、混在もダメじゃ。
ひらがなだけか、カタカナだけならOKじゃよ」
だからどの魔法も英語をカタカナにしてあるのか。
じゃあそれに習って名前を付けるとしよう。
確か落とし穴は……ピットフォールだったっけ?
違うかもしれない。でも辞書とか無いしなぁ。
違ってもいいや! 面倒だからそれで行こう!!
って事で、新しい魔法「落とし穴」は、ピットフォールという名前で登録する事になった。




