達磨
どうやら今日は庭でバーベキューをするようだ。
バーベキューって炊き出しって言うのかな? どっちかと言うとキャンプな気がするけど……。
しかも周辺の住民の人も来て盛大にするらしい。町内会のイベントか?
まぁ丁度良いや。ドロップ品の豚肉や牛肉を提供しよう。
確か焼肉のタレも持ってたな。あれも出そう。
「わあ、お兄ちゃんから色んな物が出てくるー!」
「凄ーい!」
運んでもらおうと思って孤児院の子供を呼んだのだが、取り出してるのを見て驚いてる。
その声を聞いて、他の子供達も集まってきた。主に女の子達だ。
「もっと出してー!」
「凄ーい! 大きーい!」
「一杯出たー!」
何だろう、卑猥に聞こえる……。
ナグラか?! ナグラの仕業なのか?!
いやいや、彼女は今コンロを設置しているから違うだろう。
後で仕込んだヤツを見つけなければ……。
まぁ、褒められると俺も調子に乗っちゃうよ!
こうなりゃ持ってる食料を出しちゃうよ!
無くなったら買えばいいんだしね!
って事で野菜やら魚やら貝やら大量に出してあげた。
子供達は喜んでそれを受け取り、調理場に持っていく。
……そういえば未加工でしたね。今頃調理場は修羅場になってるのではないだろうか?
そう思って覗いてみると、町内から呼ばれたお母さん達が必死に加工していた……。
やはり人手が足りないようだ。どうしたものか。
あっそうだ。シロに頼もう。
念話でシロに『料理出来る人(?)を10人くらい貸してくれない?』と送ると、こっちに来てと返事が来た。
こっそり馬車に行き『コネクト』で城に行くと、近衛アリが料理人の格好で待っていた。
そのまま門をくぐり孤児院に連れて来たのだが、何故かシロもついて来てる。
「シロ、王の仕事は良いのか?」
「今日はもう終わり。楽しそうな事してるなら行く」
「そ・そうか」
まぁ問題は無いだろう。多分。
ゾロゾロとモンスターを連れて孤児院に来たので警戒されたが、従魔ですと説明して事なきを得た。
近衛アリの料理人は手が4本あるだけあって、凄い速さで料理をしていく。
半数は加工に半数は料理に行ってもらったが、町内のお母さん達からは凄く評判が良い。
「凄いわね~。うちに来てもらいたいわ~」
「一家に一台欲しいわね」
「う~ん、雇いたい」
家電じゃないので一台とか言わないで下さい。
後、どこかの食堂の主人さんだろうか? 仮にもモンスターですよ? 雇って大丈夫なの?
近衛アリの助けもあって、バーベキューは盛況で終わった。
今は、大人は片付け、子供は遊んでいる。
俺も片付けに参加してたのだが、シロが子供達を連れてやってきた。
「どうした?」
「主人は遊びを沢山知ってると聞きました。放蕩野郎ですね」
「……誰が言ったのかな?」
「守秘義務がありますので」
「……そうか。で?」
「皆で出来る遊びを教えてもらいに来たのです」
「いらん事を教えた人に聞けば良かったんじゃないの?」
「アウトドアの遊びには詳しく無いそうです」
「うん、なんとなく誰か判った気がする……。はぁ、判ったよ。何か教えるよ」
わーいと子供達が喜んでいる。
って言われてもなぁ……アウトドアで出来る遊びってなんだろう?
キャンプで遊びって言うとアスレチックか?
そんなもん、庭に作ったら怒られるよな。
あっ、キャンプだと考えなければ良いのか。バーベキューしてたからキャンプだと思ってたわ。
っていう事で、日本に昔からある遊びを教える事にした。
そう、「だるまさんがころんだ」だ。
最初は「鬼ごっこ」とか「けいどろ」とか考えてたけど、俺も強制参加って判ったからやめた。走り回りたくないから。
これも地方でルールが違いそうだけど、俺の所でのルールでやらせてもらおう。
・スタートは鬼から30m離れた所。鬼は後ろ向きで「だるまさんがころんだ」と言う。
・その間に鬼に近づく。言い終わると鬼が振り向くので、見られている間は動いてはいけない。
・動いた者は鬼に捕まる。捕まった者は鬼と手を繋ぐ。増えたら数珠繋ぎで。
・近づいた者は鬼に触る。すると捕まってた者は解放される。
・鬼は10数えて「止まれ!」って言う。そこから3歩だけ移動し捕まった者が次の鬼になる。
説明したら皆うんうんと頷いていたので、判ってくれたと思う。
最初は俺が鬼役なので、壁に向いて「だ~るまさんが~こ~ろんだ!」と言って振り向く!
すると、その場に居た全員が停止した……。
何で大人まで参加してるんだよ!!




