孤児院
翌朝、ホウズキさんの所に行くと、快く対応してくれた。
ちなみに今日はナグラさんが来ている。
俺達は昨日出たアイデアをプレゼンしてみた。
・アース+アースウォール=落とし穴が作れないか?
これはなかなか好感触だった。
アースで穴を掘り、アースウォールでフタを作るのだ。
難しいのはアースウォール。厚さと出す方向の調整が必要だとか。
・エアサプライ+ヒート=ドライヤーに出来ないか?
これはダメだった。
そもそもエアサプライは空気を送るだけで、風を起こす訳では無いとの事。
まず風を起こす魔法を作る必要があるとの事。
・エアサプライ+ファイア=火の温度が上がらないか?
これも好感触。
ただ、利用価値が少ないのが問題。
確かに、鍛冶くらいしか使い道が無いだろうなぁ。
・アース系+アロー系=土の矢や地面に針とか出来ないか?
これは、出来るが意味が無いそうだ。
何故なら土で作るので壊れやすいから。
硬くても細く長くないと靴で歩いたら意味無いってさ。
・ライト+タイム=時間になったら明かりが点くように出来ないか?
これも可能だそうだ。
でも常に自分の前にしか出せないと思うと言われた。
自分の目の前にしか出ないなら意味無いね。玄関とかに設置したかったのだが。
目覚ましに使えるかと思ったが、明るくなるだけじゃ起きないよね……。
これだけ考えて、良さそうなのは落とし穴だけでした。
それでもホウズキさんは、魔方陣にしてくれると言ってくれた。
なんて優しい人なんだ! マッドな人じゃないかなんて考えてスミマセン!
「そうだ、君達、私は明日孤児院に行くんだが、一緒に行かないかね?」
「行っても良いんですか?」
「あぁ大歓迎じゃよ。明日は学校も休みじゃろ? どうかな?」
「じゃあご一緒させていただきます」
「そうかそうか。ではそうじゃな、9時にココにきてくれないか?」
「判りました」
別に孤児院に用事は無いのだが、行かない理由も無いので行く事にした。
うちのメンバーは子供に抵抗も無いようだから、大丈夫だしね。
翌日、予定通りに9時にホウズキさんの所に行く。
色々と準備されてたようで、意外に荷物が多かったので手分けして持って行く事に。
「いやぁ、すまんのう」
「いえ、いいんですけど。これらは何ですか?」
「この国の孤児院は寄付を受け付けてないんでな。代わりに炊き出しをするんじゃよ。
この荷物はその材料じゃ」
「あぁ、コンロとか食材とかなんですね」
「そうじゃ」
「所で、何で寄付は受け付けてないんですか?」
「運営は国が行っておるからの。必要ないんじゃよ。
ただ、断っているのは現金の寄付だけでな。
こうやって炊き出しをしたり、勉強を教えたり、物を贈るのは問題無いのじゃよ」
「そういう事ですか」
じゃあ俺も何か寄付しようかな?
持ってる物で、何か寄付出来るような物があったかな?
食材は一杯あるけど、今は必要無いし。あっ、ドロップ品の調味料があったな! これにしようかな?
そういえば、魔法の本(中級)を貰ったのに、まだ読んでないや……。
教えてもらってるからなぁ。ゆっくりした時に読もう。
到着した孤児院は、予想に反して立派な建物だった……。
あれっ? 学校の方がショボい気がするわ。
聞くと、学校は民営だが、孤児院は国営だからだという事らしい。
ホウズキさんに付いて庭に行くと、そこには20人ほどの子供が待っていた。
「「「ホウズキお爺ちゃん、いらっしゃい!!」」」
「おうおう、よく挨拶できたな。偉い偉い」
中でも小さい子供が、ホウズキさんに挨拶している。
ちゃんと教育されているようだね。
服装もちゃんとしているし、何よりも皆明るい。
国はちゃんと運営しているようだね。一方ではハズキ君を狙うバカも居るのになぁ。




