宿題
カンキジコンビが昼飯を持ってくるまで悩んだが、結局結論は出なかった。
ホウズキさんの分も買ってきてたので、皆で一緒にランチだ。
「ホッホッホ、それで答えは出なかったのだね?」
「「はい、ギブアップです」」
「まぁ、少し難しい事じゃったからの。
正解はもっと小さく見る事なんだが、説明が難しいのぉ」
小さく見る?
ああーっ! 判った!! テレビの洗剤のCMで見た事ある!!
そういう事かー!!
「繊維の隙間に入った物を『不純物』とするんですね!」
「おっ、福田君、正解じゃ! なかなか見所があるのぉ。
ちなみに、その魔法は既に作られていて登録されておるぞ」
「どういう事っスか?」
「服って糸で作られてるでしょ?」
「そうっスね」
「糸っていうのは、細かい繊維で出来ているんだ。
その繊維に付着した物が汚れって事だよ。繊維と繊維の隙間に入ってるから落ちないんだよ」
「よく判らないっス」
「え~と、そうだなぁ。
あっ、漁で魚と獲るのに網を使うでしょ? その網の目に引っかかってるのが汚れだと思ってくれれば」
「小さく見ればそういう風に見えるっスか?」
「そうらしいよ。俺は見た事無いけどさ」
問題は汚れを剥がす事なんだけどさ。
前世ではどうだったかな? あっ、界面活性剤とかだった気がする。
名前は知ってても何で出来てるのかは知らないけどさ。
「漁で使う網とは、なかなか良い例えじゃの。
ま、そういう事じゃ。簡単に使える魔法じゃが、仕組みは難しいじゃろ?
色々な事に詳しく無いと魔法を作る事は難しいのじゃよ」
「なるほど、勉強になります」
「では、午後からはある魔法をバラしてみようかの」
「お願いします」
午後からの授業は、俺やナグラさんがハズキ君に教えたような話だった。
ウォーターの魔法を分析したのだ。
やはり空気中にある水分を集めて水を作っているそうだ。
仕組みを理解した後は、それをフローチャートにする所まで習った。
気軽に作れる物では無いって事がよく判ったよ。
そこまで習ったら、もう夕方になっていた。
カンキジコンビが迎えに来たので、今日は帰る事にした。
「ふむ。君達に宿題を出そう。
持っている知識で作れそうな魔法を考えてくる事。頑張りたまえ」
うわっ、宿題を出された……。
持っている知識で作れそうな魔法?
俺には前世の科学の記憶があるからなんとかなるか?
いや、逆にそれが多いから苦戦しそうだ。
コタニさんはナグラさんに相談すると良いと思う。
大使館に戻り、全員が揃った夕飯で宿題を出された事を発表した。
「ナグラさんは、コタニさんに協力してあげてよ」
「魔法を作るって楽しそう! 喜んで協力するわ!」
「ありがとうっス!」
さて、夕飯も終わり部屋に戻って、する事は一つ。宿題だよ。
持ってる知識で、って考えると何も出てこないので、やはり魔法でしたい事を考える事にした。
魔法で何がしたいかなぁ。
やっぱり戦闘で役に立つ事か? でもソレって何?
防御で壁を作る魔法も既にあるし、攻撃する魔法もあるよな。
皆考える事は同じなんだよな~。
うん、無理だ。俺も誰かの助言を貰おう。
って事で食堂に行くと、皆揃っててコタニさんと相談していた。
ズルい! 俺も混ぜて!!




