ページワン
さすがに賭ける訳にもいかないので、無難なゲームをする事にした。
幸いここにはカンキジコンビも残ってるし、全員でする事に。
問題は何をするかだけど、UNOみたいなやつでいいか。
何だったっけ? 大富豪じゃないし……。
あっ「ページワン」だ! そうそう、思い出したよ。
名前を言ったら皆知ってたので、早速やろうとしたけど問題が山積みな事が判明。
まずカードを配ると、5枚だろ、いや6枚だ、と手持ちの枚数問題が発生。
とりあえず6枚で始めると、Jを出してスキップとか言い出した。
スキップはAだろ、いや7だ。あげくにはスキップなんて無いとまで言う人も……。
そうだよ、思い出したよ。
ページワンほどローカルルールが多いゲームは無かった事を。
大概ルールでもめるんだよな。
って事で、全員で話し合ってルールを決めた。
基本的なルールはそのまま。
・場に出てるカードと同じ数字か同じマークを1枚出す。
・回転は時計回り。
・出せるカードが無い場合、山から1枚取る。それが出せるカードなら出しても良い。
で、決めたルールはこれ。
・配る枚数は5枚
・ジョーカーはどのカードにもなれる
・Aはスキップで、次の人の順番を飛ばす
・2は次の人が、2枚取らされた上に順番を飛ばされる
・8は図柄指定が出来る
・Qは回転が逆になる
・2は重ねて出せる。その場合、次の次の人が4枚取らされる
・残り1枚になったら「ページワン」と宣言する。しなかった場合ペナルティで4枚取る事
・誰かが手持ちのカードが無くなった時点で終わり。その時に持っているカードの数字を合計する
・100点になった人が負け。
・上記の役のカードでは上がれない
30分もかけてルールを決めた。
うん、俺、何をやってるんだろう?
こんな事よりも早く紹介してもらいたいわ……。
そんなこんなで、やっとゲーム開始。
そして判った事は、校長先生は非常にヘタだという事。さらに言えば運が無い。
カンダさんが2を出したので、校長が2を重ねてきた。
なので俺も2を出し、キジマさんも2を出した。そしたらカンダさんがジョーカーを出したんだ。
校長、10枚も取らされてたよ……。
俺の運も影響してるのかなぁ? 早く終われって考えてたから?
結局校長がすぐに100点になって終了したんだけど……。
「もう1回やりましょうよ! ね? もう1回だけ!!」
非常にウザいです!
下手の横好きって言うけどさ、ここまでの人は初めて見たわ!
この人、ギャンブルさせちゃダメなタイプだ!
だって最後にはさ、
「もう1回やって私に勝てたら、私が持っている魔法の本(中級1)を差し上げますよ?」
なんて言ってきたんだぜ?!
それは勝っている人のセリフだろ?!
完敗した人が言って良いセリフじゃないよ?!
まぁ、魔法の本は欲しいのでもう1回勝負したんだけどさ……。
予想通り、校長の完敗で終わったよ。
そしてこれまた予想通り、もう1回って言い出した。
どうやったらこの無限ループから脱出出来るのだろうか?!
何て考えてると、助けは意外な所からやってきた!
「校長先生。全校集会の時間ですよ。体育館に来てください」
「何と! そんな時間ですか! では福田さん、それが終わった後にもう1勝負……」
「いえ、帰ります!! はい、帰ります!! すぐに、帰ります!!」
ありがとう、扉の向こうの先生!
どなたか知りませんが、助かりました!
「そうですか……。あっ、これが約束の魔法の本(中級1)です。お持ち下さい。
まだ中級2もありますので。必要な時は言ってくださいね」
「あ・ありがとうございます」
何という罠! 中級2が欲しければまた勝負しろと?!
何か策を練っておく必要がありそうだな……。
「あっ、それとこれが紹介状です。
住所も書いておきましたので、行ってみてください」
「忘れてました。ありがとうございます。行ってみます」
約束は守るんだよなぁ。ギャンブル以外では。
今度は1回だけですよ、とか言ってみようか。
校長と共に部屋を出て、とりあえず大使館に戻りました。
紹介された人の所に行きたいけど、まだ帰ってない人達の中も行きたいって言うかもしれないからな。
行くのは明日以降にしよう。




