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アリの強さ

ツヴァイには、城の一部を使って実験に協力してもらった。


まずは穴掘り。

中庭の縁から縁までをどれくらいで掘って進む事が出来るのか。

大体距離は100mだ。深さは1mとした。

これがまた、驚きの速さを見せた。

ツヴァイが通れるだけの穴を開け、5分で通ってきたのだ!

土は自分の背後に移動させながら掘り進んでいた。

つまり、常に埋まりながら進んでいるとも言える。

これが100匹で行うとなれば、出た土は他に移動させる事が可能だろう。

人知れず巨大なトンネルが作れそうだ。


次の実験は床材や壁材を掘る事が出来るのか。

結論から言えば、掘る事は出来なかった。

さすがに石は掘れないようだ。だが、ツヴァイは通ってきた。

ではどうしたのか? そう、口から蟻酸を出して溶かしたのだ!


穴掘りの技術はどうなのか?

広い中庭の何処かに、地面まで10cmを残して穴を作ってもらった。

そう、下から作る落とし穴だ。

危険なので深さは30cmほどにしてもらったけど。

完成してツヴァイが戻ってきたが、全然どこにあるのか判らない!!

騎士が丹念に調べていたが、結局発見出来なかった……。

そりゃ元からある地面だもんな。判る訳無いよね。

場所を教えてもらい、そこを踏むと確かに30cmほど足が埋まった。

これ、落ちるよりも危険かも?


最後に、戦闘力。

騎士に協力してもらい、戦闘してもらった。

武器は木刀。魔法等の特殊攻撃は禁止。

ツヴァイはここでも驚きの性能を見せた。

4本ある手を器用に使い、あっという間に完封したのだ!

左手に持っている盾で相手の木刀を受けたかと思うと、もう一つの左手でそのまま相手の腕を掴む。

するとそのまま関節技に持ち込み、押さえ込んでしまった。


それならばと騎士2人を相手にしたのだが、これも勝ってしまった。

とにかく器用に4本の腕を使うのだ。左手2本それぞれに盾を持っていた。

関節も人間より稼動範囲が広い。背後からの攻撃を、盾を後ろまで回して防いでいた。

本当にレベル50なのだろうか?


全てを見たヌマタ卿が、困ったように話してきた。


「ここまでとは知りませんでした……。

 防衛計画をやり直さなくてはいけませんね」

「……もしヌマタ卿が指示出来るならどうやって攻めますか?」

「簡単ですよ。まず、秘密裏に相手の城の真下まで穴を掘っておきます。

 戦争になった場合、その穴を利用して、直接城を攻めますね。これだけで敵の王は終わりでしょう」

「……もう少し穏便な方法は?」

「そうですねぇ。城の周りに穴を掘っておき、その時が来たら崩壊させて堀の様にします。

 そしてその堀と海を穴で繋いで水を流す。これで城を分断出来ます。

 後は兵糧攻めですね。まぁ徐々に城の縁を減らしていけばすぐに落ちるでしょうが」

「ヤバいですね……」

「とにかく、地面を制しているというのはかなりの強みです。

 地中に潜み敵の足を狙うだけで軍は崩壊しますよ。先ほど作ってもらった落とし穴だけでも良い」

「魔法使い相手ではどうでしょうか?」

「地面の下を調べる事が出来る魔法でもあれば有利でしょうが……。

 無いとなると、圧倒的に魔法使いが不利です。

 そもそも魔法使いは遠距離攻撃なのです。接近戦は苦手です。

 だが、得意の遠距離攻撃をしようにも相手が見えない。そして気づいたら足元に迫っている。

 地面を凍らせるくらいしか手が無いんじゃないでしょうか?」


そういえば前世の日本には地面の下を調べる機械があったような気がする。

あれって電波なのかな? 超音波?

まぁ判ったとしても仕組みを知らないので開発なんか出来ないけどさ。

魔法でなら作れるのかな? どっちにしてもかなり先になりそうだよね。

つまり、地面の下を知る方法が無いから、下に居る者は有利って事だ。


「ヌマタ卿の結論は?」

「ハハハ、福田殿がアリを使って攻めてくるなら、すぐに降伏しますよ!

 今すぐにでも攻めますか? もしそうなら現王を降ろして王にするので勘弁してください」

「止めてください! 王になる気はありませんので!」

「いや、既に王のようなものですけどね。武力で考えれば多分世界最強の国の王です」


マジかよ……。勘弁してください。

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