攻城戦?
まてまて、別に国を攻める必要は無いじゃないか!
例えば、ダンジョンのボスを倒したい場合なんかに数で攻めるっていう手が使える。
なんせ近衛アリはレベル50だもん。
それが100匹単位で動くのだろ? 上手くやればドラゴンだって倒せるかも?
とにかく、これはヤバい話だ。
ちょっとニーベル国の2トップに相談しておこう。
「じゃ・じゃあ、もう帰るわ」
「今度は皆で来てね」
「おう、連れて来るよ」
そう言って、シロにイチゴを渡して帰った。
近衛アリと分けてねと、3パックほど渡したけど。
何か近衛アリから「王からの賜り物だ!」とか聞こえたけど……気にしないようにしよう。
帰ってすぐに、今度は城へ行く。
シロの宮殿に居る時にメールしておいたので、着いたら勢ぞろいしてた。
この国の重鎮は、こんなにフットワーク軽くて良いのかね?
「こんにちは、福田殿。今回はどのようなご用件で? こないだのような驚かせるようなのは止めて下さいよ?」
「ヌマタ卿とネモト卿に相談がありまして」
「ワシは良いのか?!」
「あっ、王様は良いです。部屋だけ貸してください」
「扱いがヒドいな! ヌマタ並みになってきたぞ!」
「福田殿が用が無いと言っているのです。黙ってなさい。
あっ、賊の捕獲ありがとうございました。無事に関係してた貴族は逮捕しましたよ」
「そうでしたか。良かったです」
「それで、どのような相談でしょうか?」
う~ん、どこから話せば良いのやら。
2トップは切れ者だから、要点だけでも大丈夫かな?
「えっと、従魔がアリの王になりまして。で、全てのアリに指示が出せるようになりました。
ダンジョン外での活動も可能になったみたいなんですよね~ハハハ」
「そ・それで?」
「シロ、えっとアリの王の名前なんですが、シロが言うには国でも落とせるって話なんですよ」
「……」
「いくらなんでも、無理ですよね?」
あれっ? 皆の反応が無くなったぞ?
も・もしかして、可能なのか?
ヌマタ卿が再起動して、話しだした。
「全てのアリと仰いましたが、近衛アリも動かせるのですか?」
「さすがですね。近衛アリを知ってますか。ええ、可能です」
「近衛アリとは?」
王様も再起動したようで、ヌマタ卿に聞いてきた。
ネモト卿は固まったままだ。
「近衛アリとは王の身辺警護しているアリです。レベル50のハズです。
近衛アリの恐ろしい所は、人間の軍隊と同じ様に戦略を立てて攻撃してくる所です。
確か100匹が1グループで、一糸乱れぬ動きをします」
「何と! レベル50が100匹だと?!」
「それだけではありません。何よりも恐ろしいのはアリだという点です」
「えっと、どういう事でしょうか?」
「良いですか福田殿、城壁がある理由は判りますよね?」
「はい、外敵から守る為ですよね?」
「そうです。堀もそうですし、城が登りにくくなっているのもその為です。
では次にアリの特徴は判りますか?」
「えっと……手が4本ある事?」
「そういう身体的特徴ではなくて、性質というか行動というか」
「あぁ、えっと、穴を掘って巣を作るとかです?」
「そうです! 穴を掘るのですよ! つまり城壁や堀など、何の役にも立たないという事なのですよ!!」
そうか、攻めるならいきなり城の地下から現れる事が出来るのか。
しかもどこから出てくるのか判らない。
もしかしたら、壁も壊せるかもしれない。
そう考えると……怖いな。
「とにかく福田殿! 一度近衛アリを1匹呼んでもらえないでしょうか!」
「えっと……どうするんです?」
「検証がしてみたいのです! この城を簡単に攻める事が出来るのか! それが知りたい!」
「わ・判りました……。今からが良いですか?」
「はい! お願いします!!」
って事で、近衛アリを1匹呼ぶ事になった。
従魔扱いにはなってるけど、サマナーで呼ぶ事は出来なかった。
しょうがないので、もう一度宮殿に行ってきたよ。
ついて来てくれたのは近衛アリのツヴァイだ。
なんだろう、このドイツ縛りは。何か決まりでもあるのかな?




