増える従魔
これでとりあえずは安心しても良いのかな?
少なくとも王都までは安全な気がする。
いや、例の貴族が違うのを雇ってたら襲ってくるか?
まぁ、こちらは受身なので、その時に考えよう。
多分チョロとレイで何とかなるだろう。
いざとなれば運を使うし。
さて、進む前にタルーンさんの所に行かなくてはならない。
もう武器が完成しているから。
本当は次の日に出来るって言われてたから取りに行きたかったんだけど、運が無かったからなぁ。
完成品を受け取った時にまた下がったら、目も当てられない。
警戒して取りに行かなかったんだ!
今回も俺は行かない事にしている。
皆で取りに行ってもらう。あっ、勿論俺の武器は渡しておく。
ちゃんとエンチャントしてもらわないといけないからね。まぁ外して付けるだけなんだけどさ。
これで、もし運を使うとしても、俺の分だけで済むんじゃなかなと考えている。
じゃあ、俺はその間に何をするのか。
丁度良いので、シロの宮殿に行ってみようと思っている。
シロには別れる前に『門のシール』を渡してあるから、どこかに張ってくれてるだろう。
シロはサマナーで呼べるけど、俺は行けないからね。
一応、俺の従魔な訳だし、顔を出しておきたいと思ったんだ。
シロの宮殿は、本当に宮殿だった……。
ドイツだっけ? あそこにあるノイシュヴァンシュタイン城みたいな城が、ダンジョンの中にある。
何度もここはダンジョン内だよな? って疑ったね。
『門のシール』はシロの私室に貼ってあった。
シロが近衛アリを引き連れて出迎えてくれたんだ。
「いらっしゃ~い!」
「何で落語家みたいな挨拶なんだよ! ナグラか?! ヤツが教えたのか?!」
「そうだよ?」
「やっぱりか! あの人の言う事は聞かなくて良いからね!」
本当に碌な事を教えないな!
一度話し合いが必要なようだ……。
「今日は何しに来たの?」
「ほら、一応俺の従魔な訳だしさ、挨拶くらいはしとこうと思ってさ」
「大丈夫、もう伝えてある」
「伝えてある? 誰に?」
「全員に」
「……全員って?」
「この世界のアリ全員に」
「マジで?」
「マジで」
おいおい、全てのアリに通達済みかよ……。
ま・まあ、通達しただけなら大丈夫かな?
「ちなみに、何て伝えたの?」
「主人の言う事はシロが言ったのと同じ事、って」
「……どういう事?」
「全部のアリが主人の言う事を聞く」
「マジで?! なんでそんな事したのさ?!」
「サービスサービス!」
「ミ○トの真似すんな!」
それじゃあまるで、俺がアリの王と同じじゃないか!
よく見れば、付いてきた近衛アリも、シロだけでなく俺にも敬礼してるじゃないか!
アリに指示を出す事なんか無いぞ?! あっ、無いなら関係無いのか。
「ちなみに、全員従魔扱いになってるから」
「はぁ?! どういう事?!」
「そうしないと、ダンジョンから出れないから」
「出なくて良いじゃん!」
「何時でも何処でも対処出来るようにした」
慌ててステータスを見る。
最近は運を見る為にチョコチョコと見てたけど、従魔の欄は見てなかったわ。
ステータスの従魔の欄には、
『 シロ(アリの王)<付属として、全てのアリも従魔扱いになっている> 』
って書いてある!!
本当になってるよ……。
もしかして、運が減ったのって、コレも関係してるのかも?
「気に入らない国や町が有ったら言って。軍隊で潰すから」
「何言っちゃってんの~っ!!」
俺は意図せずに軍隊を手に入れてたらしい……。
使わないよ! 使う事なんか無いからね!!




