ゲームブック?(後)
狼には誰も倒されること無く、倒す事が出来た。
「えっと、狼の経験値は10なので、経験値の所に10って書いてね」
「レベルアップにはどれくらい必要?」
「さすがにナグラさんは知ってるか。20だよ。レベル×20で計算して。
皆には教えてあげてね」
「了解了解。で、レベルアップしたらどうなるの?」
「レベルアップの時に話すつもりだったんだけど、まあいいか。
10ポイント+サイコロの目、だから最大16ポイントもらえる。
で、ソレを好きに振り分けてもらう」
「決まりは無いのね?」
「無いよ~。あっ、一つだけあるわ。
僧侶と魔法使いは5ポイントと引き換えに魔法が覚えられる。
その他の職業は10ポイントと引き換えね」
「そうやって魔法は覚えるのね」
「そういう事。覚える魔法や職業の細かい内容は後で読んで。
今は体験だから。色々覚えてからじっくりとプレイしてくださいな」
「へ~い」
これで、レベルが上がるくらいまでプレイしてもらって体験は終了、ってやれば解放されるな。
それまで眠いが頑張ろう。
『進むとまた分かれ道に出た。
右に行く…P.11へ 左に行く…P.15へ 一旦休む…P.10へ』
「今度は右に行ってみましょうか」
「そうしよう!」
『進むと、そこには落とし穴があった!
盗賊が居る…P.12へ 盗賊が居ない…P.13へ』
「そこは読まなくてもよくない?」
「体験だからね。盗賊の重要性も判るでしょ?」
「まあ、そうだけどさ。じゃあ居ないので13ページね」
『全員がダメージを受けた!
サイコロを振り、出た数だけHPを減らす事』
「え~マジか~」
「不幸っス……」
最大で6のダメージを受ける罠だ。
これで誰か死ぬかな? 出来れば全滅して欲しい。そしたら終了だよ!
な~んて期待したけど、全員が1~3で生き残った。チッ!
『先に進むと、水が湧いていた。飲みますか?
飲む…P.14へ 飲まない…P.16へ』
「何、その判りやすい罠は?」
「毒の泉の可能性もあるけど、何かの効能がある可能性も。商人が居れば、調べられるよ」
「皆、どうする?」
「飲んでみましょうか。初めてなので、色々やってみたら良いんじゃないでしょうか?」
「賛成っス!」
「じゃあ飲むわ」
『その水は回復の水だった! HPが元の値にまで戻る!』
「ラッキー!」
「やりましたね!」
チッ! 運の良い奴らめ!
飲まずに進めば良かったのに!!
「よ~し、回復したし、頑張って進みましょう!!」
「「「「おー!!」」」」
結局、中盤辺りまで進められてしまった……。
なんとかそこで強敵に出会って全滅してくれたけど、危なかった。
どうやらゲームブックは気に入ってもらえたようで、今は覚える魔法や職業の細かい内容を皆で読んで検討している。
大体さ、これって1人でも出来るんだよね。
だから、読む人とか進行役とか居なくても良いんだよ。
仕組みを覚えてしまえば、俺はお役御免だ。
さっ、皆がワイワイやってる間に寝るとしよう。
おやすみなさ~い。
「何、寝ようとしてるんスか?」
「さっ、始めからやり直すわよ!」
「福田さん、ココが判らないんですけど?」
「福田兄ちゃん、始めるよー!」
俺、いつ寝れるのかな? 不幸だ……。




