表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/949

5色

先ほど聞いた話なのだが、このカジノの町は19時になると花火が上がるらしい。

毎日の事で、それが目当てのお客さんもいるくらい人気だそうだ。

いつも暗くなる前に帰っていたから知らなかったが。

その事を知った時、それが全ての始まりだった……。



現在時刻は18:50。今ならいける!!

俺は、ウエダさん・カンダさん・キジマさん・オザキさんを集め作戦会議を始める。


「これから俺の言う事をよく聞いてくれ!

 このバカげたガチャを攻略する方法だ!

 1人3回だから15個の当たりを手にするには、当然5人必要だ。協力して欲しい!」

「協力ってどうするんですか?」

「お金は俺が払う。だから1人3回ガチャを回して欲しい」

「回すのは良いですけど、当たりませんよ?」

「当たらなくても怒らないから心配いらない。それどころか、回してくれれば報酬を出す。

 その代わり、当たった場合の商品の権利は俺に譲って欲しい」

「まぁ、金を出してもらってるんだから、当然そうなるわな。

 ただよぅ、それは俺達が当たりを引けたらの話だろ?」

「その通り。普通に考えたら不可能な事だ。

 だが、俺には全員の運を爆発的に上げる方法を知っている!」

「「「「おーーーーー!!」」」」

「今からそれを教授するので、皆覚えて欲しい!」

「まかせな、師匠!」

「やらせてください! キング!」

「え~と、私も参加するのかしら……?」

「ふむ、私の店の参考になるかもしれませんな。協力しましょう」

「よし! じゃあ皆、こっち来て。ボソボソボソ……」

「え~マジ?!」「本気ですか?」「私もやるの……?!」「面白そうですな」

「一言を考えておいてくださいよ!」



店内の時計を確認し……よし! それじゃあ行くぜ!!



まずは俺がガチャの前の舞台に上がる。

「今日も赤いガチャを回すぜ、レッド福田!」


次はカンダさんだ。

「今日は頑張ります? ブルーカンダ!」


そしてお笑い枠。当然ウエダさん。

「ジャックと呼ぶんじゃねぇ! イエローウエダ!」


紅一点。

「え~と、巻き込まれました……。ピンクキジマ!」


最後に支配人。

「同じ支配人でも手加減はしませんよ! グリーンオザキ!」


「5人揃ってガチャ回す! 俺達、「「「「「5レンガチャ!!!!」」」」」

ドーーーン


決めポーズと同時に19時になり花火が上がる!!



ふっ、決まったぜ(笑)


えっ? なぜ戦隊モノみたいな事をしたかって?

運を上げる為に決まってるじゃないか。


はい、ウソです。

これで俺以外にも変な名前が付いたよね。俺だけ恥ずかしいのは許さん!

ポーズや花火は意味ありません。


観客という野次馬は全員ポカーンだ。

よし、今の内にガチャをしてしまおう。


「じゃあ回しますよ~」

「ちょっとちょっと! 何5人で回そうとしてるんですか?!

 このガチャは福田様専用ですよ?!」

「そんな話は初めて聞きましたが?」

「前回も同じ色のガチャで、そう説明したじゃないですか!」

「でも、今回は場所も大きさも確率も違いますよね? 同じでは通用しませんよ?」

「そう言われても困ります!」


言い合っていると、オザキ支配人からの援護射撃が来た。


「おいおい、エンドウ君よ。自分の説明不足はどうにもならないぞ?」

「しかし……」

「ギャンブルにとって、説明は契約と同じだよ。説明をしないのなら書いて張っておくくらいはしているのかね?」

「……していません」

「ならば後から変更する事は無理だよ。

 くじ引きでもそうだろう? 誰も詳しく説明しないが、壁に当たりの玉の色は書いてある。

 だから白の玉が出ても『当たりだ!』と誰も言わない。白はハズレと書いてあるからだ。

 何も書かずに出た玉の色を見て、後から『その色はハズレです』って言われても納得できないだろ?」

「……その通りです」

「今回は自分のミスを認めたまえ。何、私も回すんだ。全部当たる事は無いだろう」

「……判りました。認めます。その代わり、ここの5人のみに限定させてください」

「それでいいだろう。どうですかな? 福田様?」

「はい、問題ありません。

 では、最初はブルーカンダさんからお願いします」

「……もうブルーはやめませんか?」

「当ててくれたらもう言いませんよ」

「じゃあ言われ続けるって事じゃないですか! もう判りましたよ、回しますよ。恨まないでくださいね!」


俺は心の中で『当たったら譲ってもらえるんだ! 嬉しいな! 幸運だな! ラッキーだな!』と唱え続けた。

調子に乗りました。すみません…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ