お土産
城に行くかと覚悟を決めた時、カンダさん達が帰ってきた。
一度荷物を置きに来ただけで、またすぐに行くそうだが。
どれだけ買ってきたんだよ?!
それにしても、お金持ちだなと思った。
だが、聞いてみれば納得。俺の払う給料の使い道が無いからだった。
ずっと一緒にいて、3食支給の上、武具は買ってもらえるし、宿も自前の家。
うん、確かにお金を使う所が無いな。
これで、価値のあるドラゴンの鱗なんか渡したら困るんだろうなぁ。
買って帰った荷物を見てて閃いた!
鱗、包装して持っていけばいいんじゃね?
で、渡してすぐに帰れば良いのだ! そうすれば逃げられる!
良し! そうしよう!
って事で、了承を得て買って帰った物の包装を解く。この包装を使うのだ。
貧乏くさいと言うな。再利用だ。エコだよ。
5重くらいにしておいたから、開けるのにも時間がかかるだろう。
鱗の上には小さい手紙を入れておいた。
『ドラゴンから貰いました。好きに使ってください。
尚、苦情・返品等は受け付けておりません。 福田』
これで大丈夫だろう。
ネモト卿に『30分後に行きます』とメールをしておき、時間通りに行くと3人とも揃っていた。
突然の訪問なのだが、王様ってヒマなのかな?
「ご無沙汰です~」
「おう、福田君。ハズキは元気にやってるかね?」
「ええ。レベルも上がってますよ」
「おお! 今度会った時に確認するとしよう。楽しみだわい!」
多分レベル5とか考えてるんだろうなぁ……。
スミマセン、今確か18だったと思います。
「お二方、突然のメールでの質問に答えていただき、ありがとうございました」
「いやいや、大した事では無いよ」
「助けになったのなら良かったよ」
「助かりました。お礼も兼ねまして3人にお土産を持ってきましたので、受け取ってください」
「そんなに気を使わなくても良いのに」
「そうです。ただでさえこちらは王が迷惑をかけているのです。
本来ならこちらが出すべきなのですよ。ほら、王の私物でも持って行きますか?」
ネモト卿は相変わらす丁寧だ。
そして、ヌマタ卿は相変わらずの毒舌だ。
とにかく、早く渡して退散しなくては!
「いえいえ、お世話になってますよ。これがお土産です。どうぞ」
「ありがたく頂こう」
「王、少しは遠慮しなさい。バカに見えますよ。いや既にバカでしたな。
すみませんね、福田さん。申し訳ない」
「ヌマタ卿もネモト卿もどうぞ。私はこの後用事があるのですぐに帰りますので」
「そうですか? では。ありがたく頂戴します」
「そんなに硬く考えないで下さい。お土産ですので。では、これで失礼します」
「また何かあったら、いつでも連絡してくださいね」
「ありがとうございます。失礼します」
挨拶しながら門を作る。
そして挨拶後にすぐにくぐって門を閉じる。
良し! ミッションコンプリートだ!!
ちなみに、王様に渡したのには3枚入っている。
手紙も追加で『2枚はハズキ君の物です。そちらで管理してあげてください』と入れておいた。
これでハズキ君が城に帰ってもお金には困らないだろう。
王族だから、元々困らないだろうけどさ。
その日の夕方、ネモト卿から案の定メールが来た。
『至急来られたし!』って内容だったので、『遠慮します』って返信しておいた。
何度も送られてくるので、最後には『事情を知る従魔のトムさんを送りましょうか?』と返信したら来なくなった。
従魔と判っていても、やはり怖いらしい。別の意味で怖いのかも知れないが。
夜には、タルーンさんから手紙が来た。
『形状等を決めたいので、明日店まで来てもらえませんか』という内容だった。
『9時にお伺いします』と返信を書いて、持って来た少年にチップと一緒に渡した。
少年も冒険者だそうで、手紙の配達っていう依頼を受けてるそうだ。
新人さんか~。頑張れよ~。ハズキ君よりレベル低いけどさ。
チップとして1000円を渡したが、非常に喜んでくれた。
美味い物でも食べて頑張って欲しい。




