鱗
ダンジョンから王都の家に戻り、昼飯を食べながら今日はもう休養宣言をする。
かな~り頑張ったからね。それに2トップに土産も持って行きたいし。
女性陣はまた買い物に行くそうだ。カンダさんは荷物持ち……。俺は予定があって助かったぜ!
ついでにイチゴがあったら買ってきて、と5万円渡して頼んでおいた。
異次元のバックも渡しておいたので、大量に買ってきてくれるだろう。
食後のんびりしてると、タルーンさんがやってきた。
どうやら走ってきたらしく、汗だくだ。痩せたら良いのに。
「ちょっと福田さん! とんでもない物を置いていかないでください!」
「いや、現金を出す時間が無くてですね。……やっぱヤバい物ですか?」
「ヤバいどころじゃないですよ! これドラゴンの鱗ですよね!」
「あっ、判りますか。さすがですね」
「武具屋をしていて、判らないヤツは失格ですよ! どうしたのですか、コレ!」
「まあまあ落ち着いて。今、お茶を用意しますから」
控えていたメイドさんに、俺の分とで2つお茶をお願いする。
それを飲みながら、ドラゴンとの戦いの説明をした。
「は~、だから解毒剤が必要だったのですね?」
「そうなんですよ。まあ、持ってなかった俺も不注意でしたが」
「しかし、これでは貰いすぎですよ」
「じゃあ、お土産も込みって事でどうですか?」
「そんなレベルじゃ無いですよ!」
「……そんなに高価なんですか?」
「これ1枚で、この家が2件は新築出来ますね」
「……マジっすか?!」
「余ったお金で、執事とメイドを10人づつ1年は雇えます」
うわ~、1枚でそれ? 5000万とかするのかな?
お土産って言って、デカいダイヤモンドの原石渡すようなものか。そりゃ驚くわ。
「あの~、後、牙が1本あるんですけど……」
「き・牙?! 本物……ですよね?」
「本人(?)に貰ったので。その感じだと、牙はさらにヤバいですよね?」
「はっきり言って、私の所では買取不可能です。と言ってもどこも無理だと思いますが」
「そんなに高いですか……」
「王に献上すれば、爵位が貰える程と思ってください」
ヒャー!! 軽く貰ってきたけど、虫歯か?とか言ってゴメン!
持ってるだけでヤバそうな物じゃないですか! やだー!
「……タルーンさん、要ります? タダであげますよ?」
「ハッハッハ、お断りします」
「ですよねー」
「それで、これらをどうされるつもりで?」
「え~と、王・ヌマタ卿・ネモト卿に1枚づつお土産で渡して、仲間には2枚づつ渡すつもりですけど」
「爵位が希望で?」
「いやいや!! 要りませんよ!! 軽いお土産のつもりだったんですよ!!」
「シャレにもなりませんよ? それにお土産と言うよりも賄賂ですね」
「じゃあ献上って事にしちゃいましょう! で、それだけしか持ってないって事にしましょう!!」
「多分無理だと思いますよ? 渡すなら献上よりも、誰にもバレないようにした方が良いです」
「そうですか……じゃあ『コネクト』で城に行って直接渡しますわ」
「それが賢明です」
ハズキ君の分も渡して、城で管理してもらった方が良さそうだな。
あっ、ヒタキさんのはどうしよう?!
丁度お茶のお代わりを持ってきてくれたので聞いてみる。
「私は貰えません」
「いや、攻略に貢献してもらいましたし。皆にも2枚づつ渡すものですし」
「では、1枚を福田様の下で働く者の給料に使用してください。
もう1枚はそのお金を使ってナイフに加工して貰えますか?」
「タルーンさん、可能ですか?」
「ドラゴンの鱗の加工ですか! 良いでしょう! 腕が鳴ります!!」
「でも、ナイフに加工って良いですね。皆のもそうしようかな」
「その方が喜ばれると思います」
って事で、鱗はナイフに加工する事にした。まだ1枚づつあるけどね……。
牙はどうしようかなぁ。
「牙は武器になりませんか?」
「……なります。武器にしますか?」
「ええ、どうですか?」
「やりましょう! 武具屋なら1度は夢見るドラゴンの牙の加工!
最高の物を作り上げて差し上げます!!」
「よろしくお願いします!」
「しかし、その為には鱗が必要なのですが……」
「どういう用途で? お金ですか?」
「いえ、違います。牙を加工するのに、鱗を使用するのですよ」
あぁ、ダイヤモンドを削るのにダイヤモンドの粉の付いたグラインダーを使うような感じか。
なら全部渡してしまおう。扱いに困ってるし、丁度良いね!
タルーンさんを『コネクト』で送るついでに、牙と鱗を置いてきた。
いや~、知らないって怖いね。
でも皆も知らなかったんだし、有名な事では無いんじゃないのかな?
なら俺も知らなくて問題無いよね!
さて、後は城に行くだけか……。
自分で決めたといえ、面倒だなぁ……。




