悪魔?
鬼と言われようと、クリア条件は変わらない。
そして現状ではクリア条件を満たしていないのだ。
満たしていればどこかにある扉が開くはずだからね。
多分だけど、このドラゴンがクリアさせる権限を持ってると思うんだよ。
さっきも「人間のみの攻撃で傷つけたら」って変更してたしね。
で、俺がした攻撃では傷扱いになってない。
多分鱗に傷を付けろって事なんだと思う。
しかし、ミスリルの武器でも傷が付かない。
最初からクリア不可能って設定か?
「トムさん。ミスリルでも傷が付かないんですけど」
「……えっ、ああ、そうね。ドラゴンの鱗は硬いから」
引いてないで情報くださいよ。
ミスリルと呼ばれているチタンよりも硬いのか。
前世の日本では何があったかな? タングステン?
しかしどうしたものか。よし、コレも丸投げしよう!
「トムさん。ミスリルの剣でも傷が付くように、削ってもらえますか?」
「えっ?! それって攻撃した事にならない?」
「違いますよ、攻撃ではなく作業ですよ。攻撃ってのはダメージを与える事ですよね?
ダメージが与えられないギリギリまで削ってもらうだけですよ」
「う~ん、詭弁のような気が……」
「だって、それを言ったらドラゴンだって卑怯じゃないですか?
ミスリルで傷付けられないんですよ? 最初から条件がおかしいのですよ?
なので、ギリギリセーフだと思います!!」
「そうなのかな~? まあいいや、じゃあやっちゃいましょうか」
トムさんはそのままドラゴンに近づいていき、鱗を1枚ブチッと毟った!
そう、まるで髪にある白髪を抜くように!
すげー! どうやったら出来るんだろう?
感心していると、そのままブチブチと鱗を毟っている。
1枚が30cmくらいの大きさの鱗が10枚も集まった頃には、ドラゴンの地肌が見えていた。
この鱗は利用価値がありそうだ、貰っておこう。
「はい、肌が出たわよ。ここなら鉄の剣でもダメージが入ると思うわよ」
「ありがとうございます。
ついでに質問なんですが、ダメージ与えたらレベルアップしませんかね?」
「これくらいレベル差があれば、レベルアップすると思うわよ」
「そうですか! じゃあ全員で攻撃しますね!」
まずは俺がミスリルのレイピアで刺す。
皆は引いていたがレベルが上がると判ったので、悪いと思いながらも俺に続いた。
全員で同じ所を何度も刺す。トムさんはドン引きだ。
「うわ~、動けないのを良い事に、同じ所を何度も刺すなんて……
さすがにタローが可哀相になってきたわ……」
「いや、HPからすれば蚊が刺したようなものでしょ?」
「そうだけどさぁ。どちらかと言うと、毒でチマチマと減っていってる方が気になるけどさぁ。
それでも見た目は、ヒドいよ? 悪魔かって思うもん」
「だって、そういう条件出したのドラゴンですからね。
本人も判ってるからこそ、何も言わないんでしょ?」
「いや、言わないのは毒が回ったからだと思うけど……」
そう言われたので顔を見れば、確かに舌まで出してグッタリしている。目も空ろだ。
毒なんか効かないって言ってたから、こんな状態異常になった事無いんだろうな。
全員のレベルが10上がった頃に、とうとうトムさんがストップをかけた。
あまりにも不憫に思ったらしい。
俺達からすれば、後10は上げたかったのだが。
ちなみに、ハズキ君やヒタキさんも参加してた。
ハズキ君は、同じ年齢の中ではトップなんじゃないだろうか?
「いい加減、解毒してあげなさいよ。さすがにこのままだと死ぬんじゃない?」
「そうですか。じゃあそうしましょうか。えっと……すみません、毒消し持ってませんでした」
「はぁっ?! どうするのよ、コレ!!」
「どうしましょうね、ハハハ」
「笑い事じゃないわよ!! 今すぐ『コネクト』使って買ってきなさい!!」
『ミスリルのレイピアで受けた毒を消す薬下さい!』と『メール』をタルーンさんに送り、慌てて買いに行った。
タルーンさんは俺達の誰かが受けたと思い、すぐに用意してくれた。
ドラゴンを解毒するんですよって言ったら、はぁ?とハニワみたいな顔になってた。
代金としてドラゴンの鱗を1枚置いて戻ったけど、戻る前に何か叫んでたな。
後でもう1回顔を出そう。
受け取った薬は液体の物で箱に入ってて、10本もあった。
とりあえず2本を両足に、1本を口の中にビンごと放り込んでおいた。
フタは開けておいたので、大丈夫だろう。
ついでに傷薬を攻撃した所に塗っておいた。
あっ、よく考えたらココもレイピアで刺したっけ?
ここにも薬をかけておこう。
出来る事はした。後は待機だね。




