ドラゴンとの戦い
まずはカンダさんが切りかかっていくが、鱗に弾かれていた。
次にコタニさんとキジマさんが魔法で攻撃したが、これも弾かれた。
まぁ初級魔法だからなぁ。
嬉々としているのがナグラさんだ。
マジックボックスから手持ちの全ての武器を出し、1回攻撃しては武器を替えている。
ダメージの通る武器を探しているようだ。
発見出来れば、それを使っていく予定らしい。
ハズキ君とヒタキさんはお休み。
トムさんに守ってもらっている。
そこにはシロとチョロも居る。人間だけって決まりだからね。
残るは俺だけだ。
俺の攻撃が通用するとは思えないんだよな。
なので、多少エゲつない事でも試してみようと思う。
攻撃されない事は判っているので、まずコタニさんにアロー系の魔法で目を狙ってもらう。
さすがのドラゴンもこれにはヤバいと思ったらしく、首を捻って避けている。
これを繰り返してもらい、俺から注意を逸らしてもらった。
俺はその間に、ドラゴンの足元に向かう。
ミスリルのレイピアを取り出し、ドラゴンの爪と皮膚の間に刺す。
ブスッと少しだけ刺さったが、キズを付けたとは言いがたい。
ただ、ドラゴンはメチャクチャ痛がってる。転がってるので、潰されないようにしないとな。
その間にカンダさんに近づき、ミスリルの剣を渡す。
顎の下の方に逆鱗があるはずだから、それを狙うようにと指示を出した。
多分弱点だと思う。ドラゴンが出る話では、大概そこが弱点だもんね。
ドラゴンは指の痛みに耐えながら、首を執拗に庇っている。
やはり逆鱗が有り、そこが弱点なんだろう。
その間に俺は反対側の足に近づき、同じ様に爪と皮膚の間を刺す。
さすがに左右の足の両方に痛みが来ると、立てなくなったようだ。
座り込んだ状態で、攻撃を避けている。
次に俺はシッポの付け根辺りに移動した。
魔物とはいえ、食事はするだろう。なら排泄もするはずだ。
そう、肛門を突いてやろうと考えたのだ。
だが、残念な事に肛門は無かった。チッ、痔にしてやろうと思ったのに。
ならば、また足かなと思って近づいたが、さすがに警戒してるらしく猫の様に足を畳んで座っていた。
足は体の下になっていて、完全に隠れている。
手は振り回しているので、さすがに攻撃出来ないわ。
残るは口の中だけど、無理だな。届かないし。
まぁ、俺はやる事は終わったので、後は待つだけなんだけどね。
少し経つと、ドラゴンの動きが少しづつだが緩慢になってきた。
どうやら成功してるようだね。
これには皆も違和感を感じたようで、今は攻撃せずに見守っている。
トムさんが俺の所にやってきて、説明を求めてきた。
「足の爪と皮膚の間にレイピアを刺したのは見てたでしょ?」
「見てたわよ。なかなかエゲつない攻撃だったわ。
こっちまで痛くなった気がする……」
「つなぎ目なら攻撃が当たると思ったんですよ」
「拷問の経験でもあるのかしら?」
「前世で、あんな拷問があったって本を読んだ事があるだけですよ」
「覚えてるアンタが怖いわ……」
「で、実はこのレイピアですが、エンチャントしてありまして」
「聞きたくないけど、何が?」
「『毒』です」
「……やっぱりね。でもそれって確率低いでしょ?」
「だから左右の足に攻撃したんですよ」
「いや50%じゃないでしょ? もし50%としても2回やれば1回成功って事じゃないし!」
「そこは俺の運で」
「毒まで流すとは……本当にエゲつないわ~」
「そんなに褒められても、何も出ませんよ?」
「褒めてない!!」
あらそうですか。
こうやって会話してる内に、ドラゴンは動く事も出来なくなったようだ。
何とか喋れるようだけど。
「人間……何…を……した?」
「あっ、軽く毒を流してみました」
「ワシ…に……毒は……効きにく…い……ハズ…だが?」
「効きにくいだけでしょ? 効いてるのが証拠ですよ。
さ、みんな、今の内に傷付けようか」
「「「「鬼かっ!!」」」」
皆から一斉に鬼扱いされた。何故だ!




