体積
チョロをなんとかなだめて、見てきてもらった。
どういう訳か、文字が読めるそうだ。
『このピラミッドの体積を求めよ』
こう書いてあったらしい。
四角錐の体積の求め方は、<底面積×高さ÷3>のはず。
それは良いんだけど、問題は長さをどうやって知るか。
勘ってのは……ダメだろうな。
悩んだ結果、もう一度周辺をくまなく調べる事にした。
チョロには、また上空から色々見てもらう。
するとまたチョロから情報を得る事が出来た。
地上に居ると見えないけど、上空から見ると地面に数字が書いてあるというのだ。
その数字は「10」と「8」。部屋の2辺に10、2辺に8と書いてあるそうだ。
どういう事かと考えてみる。
ピラミッドの1辺が8mと10mという事か?
でもそんなに長くない気がする。せいぜい6mだと思う。
どちらかというと、部屋の長さじゃないだろうか?
確かにこの部屋は長方形の形をしている。
8mと10mと言われれば、そんな気もするし。
それしか思いつかないので、とりあえず実験してみる事にした。
マジックボックスから釣り糸を取り出す。
それを部屋の1辺の長さで切る。計算しやすいので、8mと思われる方を作った。
これを半分にする。そしてもう半分に。
これで2mの釣り糸が完成した事になる。
そして、もう1回8mの釣り糸を作る。
2mの釣り糸と並べれば10mの完成だ。
完成した10mの釣り糸を、10mと思われる壁にあててみる。
そうすると、見事にピッタリ!
やはり数字は部屋の長さを表していたんだ!!
という事で、この釣り糸を使ってピラミッドの1辺の長さを測ってみる。
すると、6mの正方形という事が判った。
後は高さだ。
チョロに持って飛んでもらうか?
でもそれでは正確な高さが出ないだろう。
3角関数を使うか? でも詳しく覚えて無い……。ちっ、もっと真面目に勉強してれば良かった!
こうなったら、何か使える物をマジックボックスの中から探すしかないな。
そう思ってマジックボックスの中を見たけど……まあ食べ物ばかりだわ。
長い棒でもあれば簡単だったのに。
「ねぇねぇ、ここに隙間があるよー」
うん? ハズキ君が何かを発見したようだ。
それはピラミッドの一番下に積んである石と、2番目の石との間に1箇所だけ隙間があったのだ。
これは丁度良い!
そこにミスリルの剣を刺してみる。
すると手を離しても落ちる事無く、地面と水平に刺さった状態になった。
イケる! 地面との距離を釣り糸で測ると、50cmと判った。
つまり石1個が高さ50cmって事だ!
積んである石の数は16個。って事は、高さは8mか!
体積=6×6×8÷3、体積=96立米だー!!
って叫んだけどハズレた。ブブーってなったからハズレって判ったよ。
頂点の分を減らしてなかったから……。
頂点はどうやって計測する?
誰かがあそこに登って測るしかないのか?
そんな事を考えてたら、ハズキ君が叫んだ。
「95立米!」ブブー
「94立米!」ピンポーン
「やったね!」
……おい。そんなのでOKなのかよ?!
だったら頑張って計算とか測量とかせずに、適当に数字を言えば当たってた可能性があるじゃないか!
頑張ってた大人がバカみたいだ……。
ピラミッドの一部が割れて、下に下がっていく。
するとピラミッドの段がそのまま階段となった。
階段の左右にはたいまつがあり、手前から順番に火が点いていく。
次は下に降りて進めという事らしい。
一応クリアとなったが、納得出来ないスタートとなった。




