選挙開始!
控え室に入ると、そこには小冊子が置いてあった。
これを読めという事のようだ。
「キジマさん、小冊子があるよ。はい。」
「何で私に渡すのですか?」
「いや、こういうの読むのってキジマさんの仕事じゃないかな~と」
「そうかもしれませんけど、ご自分でも読まれては?」
「めんど、いや、ほら虫の事とか書いてあったら、あらかじめ知ってたら回避出来るじゃない?」
「た・確かに!」
これで隅から隅まで読んでくれるだろう。
『悪巧み』を持ってるキジマさんに任せた方が良いよね。
規定の穴を突いて突破しそう。
読み込んだキジマさんの説明によると、予選と同じ事をするらしい。細かいルールも大体同じ。
ただ、王を決めるのはやはり投票だそうだ。
では、何故同じ事をするのか?
実はその様子を、世界中に居るアリが見る事が出来るようになっているらしい。
それを見て、この人が王に相応しいと思った人に投票してもらうんだとか。
結局、人気投票な気がするんだけど良いのだろうか? A○Bなのか?!
それに、た○し城をテレビで見てる感じになる気がする。
バラエティー番組扱いか?! いや、クイズ番組かも?!
前回は一組づつ入っていったが、今回は色々な場所から同時スタートだ。それで中央を目指す。
中央に行くまで大体2時間くらいかかるらしい。テレビなら特番だね!
いくら人気投票のようだからと言ってもやはり1着が強いらしく、3回連続で1着が王になってるらしい。
スタート位置も重要で、楽に行ける道と険しい道があるようだ。
これは選ぶ事が出来ず、来た順番で割り振られてる。
ちっ、こんな事なら運を使いながら来れば良かった……。
少しは良い位置になってるとは思うが、最高では無い可能性もあるからね。
参加人数は、全部で10人らしい。
ただ、何かあって来ない人も毎回居るらしいので、想定では8人くらいになるらしい。
1チームの人数も前回と同じ10人まで。
俺・カンキジコンビ・コタニさん・ナグラさん・ハズキ君・ヒタキさん。3人余る。
なので今回もトムさんとガーも登録しておいた。
あっ、今回はシロは含まないらしいので、チョロも入れてこれで10人だ。
9時になり、始まるので着いて来て下さいと近衛アリのアインが迎えに来た。
俺達シロご一行は、7番ゲートだそうだ。
時間になると花火が上がり、目の前の扉の鍵が開くらしい。
よし、今の内に運を使っておこう!
『なぞなぞはイヤです!』と願う。これ大事。主に俺の精神の為に。
後は鍵が開いたら『最速でゴールに行けますように!』と願う予定。
9時半に花火が上がった。スタートの合図だ!
急いで予定通り願い、扉を開ける。
すぐ目の前に現れたのは、巨大なピラミッド!
エジプトにあるような物ではなく、表面が落としてあり綺麗な4角錐になっている。
皆で手分けして周囲をぐるりと見て回ったが、説明書きすらない。出口も見当たらない。
悩んでるとカンダさんが何か気づいたようで、皆を呼んでいる。
「何かあった?」
「頂点が尖ってないので、あそこに何かあるんじゃないかと」
見ると、確かに頂点は尖っていない。
あそこにボタンでもあるのかな? 押すと出口が開くとか?
しかし、このピラミッドの表面はツルツルにしてあって、登るのは苦労しそうだ。
今もカンダさんが勢いを付けて走っていったが、2mも登ると落ちてくる。
皆で一生懸命登る方法を考えては挑戦してる。
目測で頂点までの距離は8mくらい。
ナグラさんの作戦は、土台になる人が壁に張り付き次の人がその人の肩に乗り壁に張り付く。
コレを繰り返して頂点まで届かせるって作戦。
これを採用する事にした。
一番下が当然一番キツいのでカンダさんがやるとして、2番目はまあ俺だろうな。
3番目にキジマさん、4番目にコタニさん、そして登って確認するのが発案者のナグラさんだ。
俺がカンダさんの上に登っていると、チョロがやってきた。
「旦那、何をしてるんで?」
「えっ? ここの頂点を見ようとしてるんだよ」
「あぁ、何か書いてありやしたね。それを見に行くんでやすか?」
「そう。ボタンでもあるかなと思ってね」
「いえ、ボタンはありやせんでしたよ。文字があっただけでやす」
「そうか~。文字か……って!! アホかーーーーー!!」
思わず大声を出したせいでカンダさんの上から落ちてしまった。
イテテテ……。
俺達は何やってるんだよ? 飛べるヤツが仲間に居るじゃん!!
何で誰も気づかなかったんだ?!
皆に聞くと誰もがハッとした顔になった。
忘れてた原因が判らない。うん、判らない。影が薄いとかではなくて判らない。
「イマイチ、影が薄いから、忘れてたよ」
おい! ナグラさん! 人が言わないように考えてたのに、サラッと言うなよ!
チョロが落ち込んでるじゃないか!!




