レイの戦い方
スライム、改めレイが従魔になった。
一応、何を食べるか聞いておきたい。
俺の好みに寄ってくるらしいが、牛1頭とか言われても困るので量も聞いておきたい。
「レイは何を食べるのかな?」
『……野菜』
まさかの回答が来た……。
肉を食いすぎたから野菜が良いのか? ヘルシー嗜好か? ベジタリアンなのか?!
それとも名前に引かれたのか?!
「どれくらい食べる?」
『……1日に500g』
「野菜なら何でも良いのか?」
『……たまには果物も可』
何でグラムなんて単位を知っているのか疑問だが、1日500gで良いそうだ。
そして控えめに果物も要求された。
肉抜きのラーメンなら食べるのだろうか? おっと、こんな事考えてるとナグラさんになってしまう。
食べる物も量も判ったし、なかなか強そうな従魔が手に入った。
これで今日の予定は終わりだな。帰るとしよう。
レイを肩に乗せて帰っていると、途中で1度ゴブリン1匹に襲われた。
レイの実力を見せてもらったけど、これがエグかった!
まず、ゴブリンの足元にこっそりと移動。
それで足に取り付き、動きを阻害。
その間にゴブリンの周囲に自分の体を立てて壁にした。360度スライムの壁だ。
そしてその壁を硬くし、中のゴブリンに向けて催眠効果のある匂いを出したのだ!
最初は攻撃する音が聞こえてたのだが、ゴブリンの攻撃もレイの壁を破壊する事は出来なかった。
5分ほどで静かになり、レイは壁を解除して戻ってきた。
そこには眠ってしまったゴブリンの姿が……。
こうなると、生かすも殺すも自由だ。
これってRPGで言うパワーレベリングが可能なんじゃないだろうか?
この状態になったゴブリンにとどめを差して行けば、ハズキ君もレベル25くらいになってしまう!
どのレベルの敵にまで通用するか判らないけど、少なくとも同レベルは問題無いだろう。
まぁ、こうやってレベルを上げても技術が増えないので、後々困ると思うけど。
確かにこれなら馬車を放置してても襲われる事は無いだろう。
襲われたとしても簡単に撃破出来そう。
うん、是非とも俺の馬車に住んでもらおうじゃないか!
帰って馬車に案内すると、喜んでくれた。
お気に入りの場所は、あの隠し金庫。薄っぺらくなって入っていった。
この馬車と2頭の馬を守ってねと伝えてた所、承諾してもらえた。
ちなみに馬車は、ナグラさんによって零号機と名づけられた……。
やだなぁ、守る為に壁とか出したら「A○フィールド全開!」とか叫びそうだ。
翌日の朝6時。
全員で所子のダンジョンに来た。ヒタキさんも一緒だ。
8時集合だったので、早めに来たのさ。
だって3階まで行かなきゃダメなんだもん。
送ってくれるなら1階でも良いと思うのだが、他の冒険者にバレない為なんだろうな。
運を使って、モンスターに遭遇する事無く7時半には3階に到着。
そこには前回の軍隊アリが待っていた。
「お待ちしてました。ではシロ様ご一行をお送り致します」
そう言うと、俺が『コネクト』で作る『門』と同じ様な物が現れた。
違いと言えば色だろうか。俺のは黒だが、現れたのは灰色だ。
何か違いがあるのだろうか? 疑問に思いながら門をくぐる。
到着した場所は、ギリシャの神殿を思わせるような所だった。
使われてる石は大理石か? かなり豪華だ。
周りを見渡してると、重装備をしたアリがこちらにやってきた。
「私、近衛アリのアインでございます。皆様をご案内させていただきます」
「あっ、シロの一行です。よろしくです」
「はい、承っています。どうぞこちらへ」
近衛アリだってさ! 凄いな!
キジマさんに聞くと虫の事は知らないと言われたので、ヒタキさんに聞いてみた。
「近衛アリって知ってますか?」
「はい、聞いた事はありますね。
何でもアリの王の傍を守っているアリだそうです。
確かレベルは50のハズです。必ず集団で襲ってくるので、かなりの強敵だと記憶してます」
「レベル50が集団で?!」
「私達は、100匹が1チームで戦闘しますよ」
「あっ、聞こえてましたか。すみません……」
「いえいえ、気になさらず。私達は王を守る為に居るので、こちらからは襲ったりしませんので安心してください」
つまりは王を害しようとする者には容赦無いと言いたいのだろう。
レベル50が100匹も襲ってくるのか……。アリの王を倒す事は難しいだろうな。
いや、倒す事は無いんだけどさ。




