行商
ダンジョンを出ると既に夕方だった。
このダンジョンに来るのに3日かかっている。今日、ダンジョンで1日。合計で4日。
次のダンジョンまで多分また3日くらいかかるはず。
着いたら選挙じゃないか……。
とりあえず家に帰り明日からは移動だ。
次の日、しょうがないのでここは運を使う事にした。
『2日で次の地上のダンジョンに行きたいな~』と祈る。
馬に負担をかけるかもしれないのは申し訳ないが、頑張ってもらいたい。
出発して30分くらい後、道に大木が倒れていた。
地元民らしき人達が撤去作業をしている。
あれ? 早く行きたいって祈ったのに。何これ?
話を聞くと、後1時間は通れないらしい。
どうなってんだ? って考えてると、馬達が道を逸れて草原に入っていった。
当然繋がってるので馬車も一緒に入っていく。
ん? 意外に衝撃が少ないな。舗装されてないハズだからガタガタだと思ったんだが。
地面を良く見ると、丁度車輪の幅で轍が出来ているのが判った。
どうも地元民が使っている道のようだ。
それを通っていくと、先には小さな村があった。
さっきの撤去作業してた地元民は、ここの人達のようだ。
俺達を行商の人と勘違いして人が集まってきた……。
急いではいるが、撤去作業してくれている人達の村だ。無碍には出来ないなぁ。
諦めて行商っぽい事をする事にした。
売るのは基本的に食料や日用品。
マジックボックスの中から、ドロップ品を出して並べる。
ついでなので魚も並べてみたら、大人気になってしまった!
ノートルダムって国は海に面していない。
だから海の魚は珍しいし高価なんだそうな。
この辺りのダンジョンからもドロップされる事が無いらしい。
売りに出した物は、10分程で全て売り切れてしまった!
まだまだ物はあるけど、自分達の食べる分は残しておきたい。
それに小さな村なので、そんなに必要も無いだろう。
しかし、こんな所に村があるなんて知らなかったなぁ。
ニーベル国と比べても、貧富の差が大きいように感じる。
魔道の国と言われているが、逆に言えばそれしか産業が無いって事なのかもしれないな。
村の人からの感謝を受けながら、出発した。
その村の村長さん曰く、この道沿いに進めばまた小さな村があるそうだ。
そういうのが点在しているらしい。
ただ、それを通っていけばダンジョンの近くに出るという事だ。
つまり、円の外周を通って進む道のりを、円の中心を通って進んでるような感じ。
そりゃ早く着くな。
次の村でも行商をして、3つ目の村で行商ついでに泊まる事にした。
まだ夕方前だが、無理をして進んでもしょうがない。
『コネクト』を使って帰るのだが、馬車の問題がある。
だが、馬車はチョロが守ってくれるらしい。
その間は皆さんを守れませんがと言っていたが、王都なら襲撃される事はないと思う。
早速王都に戻った俺達は、手分けをして商品を買いに走った。
そう、行商の為だ! 儲けは無い、いや赤字なくらいだけど、近道が出来る代償だと思えば安いもんだろう。
日用品や食料に加えて、薬も買っておく。
シロはイチゴを持って来た。防衛しているチョロにあげるのか。優しい子や~。
思わずイチゴを買い占めてしまった俺は悪くないと思う……。
翌日馬車に戻ると、襲撃は無かったとチョロが教えてくれた。
それどころか、村長が馬の世話をしてくれたらしい。
村長さんの所に行き、お礼を言うと同時に薬を渡しておいた。
これは売るよりも、村長に渡しておいた方が良いだろうと考えたから。
チョロにイチゴもあげて、出発した。
行く先は2・3時間も進むと必ず村がある。
そこでは必ず行商をした。こういう仕事も良いかもね。
まぁ、儲けが出ないので仕事にするには無理があるけどさ。
そうやって進んでいたら、2日目の夕方には地上にあるダンジョンに到着した。
早速宿を取って、明日はモンスター探しだ!
で、明後日には選挙だね!




