石の町のダンジョン
一旦家に帰った俺達は、今後の相談をする事にした。
とりあえず、1週間後には選挙があるのでそれは優先するとして。
1週間の間に何をするかだ。
1番多かった意見は、1週間の間にノートルダムの王都に向かうという事。
次に多かったのは、シロを見つけたチップのダンジョンを攻略するという意見。
結局、間を取って、ノートルダムの王都に向かいつつ、どこかのダンジョンに入るという事になった。
その途中で珍しいモノがあれば購入し、2トップへのお土産にしよう。
チップの町のダンジョンで集めたチップは、全部売りさばいた。
もうシロが食べないので不要なのだ。
たいした金額にはならなかったが、持っていても意味が無い物なので。
チップの町から3日進むと、次の町へ到着した。
この町は石の町という名前らしい。
ここの近くのダンジョンは魔法石が取れるそうで、それで発展しているそうだ。
つまり鉱山がダンジョン化してるって事。
そのダンジョンは出入りに入場料が必要で、さらに魔法石の持ち出しは制限されている。
入る時に申請して、出る時に確認するそうだ。
1つでも多く持っていればお金を払う事で持ち出しが可能となる。
つまりは前世の果物狩りのような感じだと思えば間違い無い。
俺の場合、ダンジョン内で魔法石を掘削し、それを『コネクト』で運べば儲ける事が出来る。
密輸とかの犯罪になるのでやらないけど。
そもそもダンジョンでの目的は、従魔を探す事なのだ。
無の魔法石は欲しいが、このダンジョンではどれかの属性の魔法石しか出ないらしい。
従魔を探す為にダンジョンに入り、途中で『コネクト』で帰るのは犯罪じゃないのかって?
入場料くらいは見逃してよ。払えるなら払うけど、説明出来ないじゃん?
さて、入場料を払って中に入ると、想像通りの洞窟だった。
本当に鉱山っぽい。
どこからともなくツルハシを振るう音が聞こえてくる。
1~3階はスライムやコウモリしか出てこないようなので、さっさと4階に進む。
4階では、軍隊アリが出てきた。
戦いたくないなと思ってると、シロが前に出た。
「戦う気か? だが断る!!」
「ジョ○ョかよっ?!」
ナグラだろ!! いつの間に仕込んだ?!
そもそもこれ、通用しないだろ? ん? 軍隊アリが跪いたぞ?!
あっ、立候補者って判ったからか!!
それにしても、いくつネタを仕込んでるんだ?
いい加減にしないと、お仕置きするぞ?!
お仕置きダベ~ってな。いかんいかん、俺までネタに走ってどうするよ……。
軍隊アリに案内されて5階に降りる階段まで進む事が出来た。
ここまでかかった時間は3時間ほど。
かなりのハイペースで進んでいる。
しかもこの軍隊アリは7階への階段まで案内してくれるらしい。
何ともありがたい話だ。
7階以降には軍隊アリは出現しないそうだ。
軍隊アリに案内されている間は、モンスターが1匹も出てこなかった。
6階までを支配しているのだろうか?
まぁ、今度は強そうなモンスターを従魔にしたいので、深い所に居るモンスターが良いだろうし。
浅い所のモンスターに出会わなかったのは、時間的にもロスが無いので良かった。
って事で到着した7階だが、降りてすぐ目の前に大きな扉があった。
洞窟で扉って……。
まあRPGの定番で言えばボスの部屋じゃないかな?
でもダンジョンはまだまだ続くはずだから、中ボスとか?
扉の左右にも道はあるので迂回する事も出来るけど、何か入った方が良い気がする。
虫の知らせってヤツだろうか? いや、ただ運が働いてるだけかも知れない。
運が働いてるなら、この扉の向こうに俺が欲するモンスターが居るのかも?
皆に扉に向かうと言うと、反対意見は出なかった。
開けた途端に攻撃があったら危険なので、ナグラさんが開ける事になった。
ネタを仕込んだ罰じゃないよ?
攻撃特化だから、もし矢が飛んできても切り落とせるそうなんだ。
ナグラさんがゆっくりと扉を開ける。
中は真っ暗で何も見えない。
ここまでは壁にたいまつが並んでいて、そこそこの明るさがあったのだが。
このままでは危険なので、ナグラさんの前に『ライト』の魔法で明かりを作った。
「ぐわっ!! 目がっ!! 目が~~!!!」
こんな緊迫した場面でまでネタをするかな?!
お前はム○カかっ!!




