進化?
ゴールへの扉が開いた。
これをくぐればゴールだ。
多分1位だとは思うが、出るまでは判らない。
扉をくぐると、何とスタート地点だった!
あれっ?! スタートに戻された?!
何かミスをしたのだろうか?
司会をしていた軍隊アリに聞いてみた。
「あの~、ゴールの扉をくぐったら、ココに出たんですけど。どうなってます?」
「はい、ゴールで間違ってないですよ。シロ様ご一行が1着です。
これにより、シロ様がこの辺りの代表となりました!」
「そうですか。良かったです」
「シロ様はまだシロアリ属ですね。代表になった事で軍隊アリにレベルアップしますので」
「へっ?」
シロを見ると、白く輝いてた。
光が収まると、そこには何も変わらないシロが立っていた。ん? 変化するんじゃないの?
『頭がかゆい。かいて』
シロから念話が入る。
さっきのは何だったんだ?
シロがコッチに来たので頭をかいてやると、毛がボロッと抜けた!!
うわっ! ホラーみたいだ!!
「大丈夫か、シロ?!」
『もっとかいて』
「マジか?! うわっ、ボロボロと抜けていくぞ!! あっ、頭皮まで剥けてきた!!」
そのままかいていると、頭だけでなく、全身がボロボロと剥げていった。
最終的には、全身の皮が一枚脱げたようになった。脱皮か?!
下からは黒くなったシロが出てきた。色が変わっただけで、外観に変化は無い。
「シロがクロになったっス!!」
「おい、どうするんだよ! あっという間に名前が違和感のあるモノになったぞ!」
「……そんな事はよくある事ですよ。ほら、犬の子供にチビって付けたのに、育ったら子牛くらいになったとか」
「計画性の無い名前の付け方するからだろうが!」
「色が変わるなんて想像出来る訳無いじゃないですか!!」
くっ! 確かに!
しょうがない、正当性を認めてやろう。
「しかし、どうする? 名前変える? 変えて良いのか知らないけどさ」
「シロはシロ。変えなくていい」
「あれっ? シロ、今喋った?!」
「喋れるようになった」
レベルが上がったからかな? 種族が変わったから?
あれっ? そうなると食事はどうなるんだ?
「シロ、メシは何を食べるんだ?」
「何でも食べるよ?」
「チップでも?」
「チップは食べ物じゃないよ?」
「……あっ、そうですね」
シロアリじゃ無くなったから、チップは食べないのか。
女性陣よ、残念だったね。頑張ったのにな。
チップの町で売ってお金に換えてください。
「じゃあ俺達と同じ物で良いんだな?」
「大丈夫」
「そうか。判った」
とりあえず、マジックボックスからイチゴを出して、シロとハズキ君にあげる。
あっ、喜んでる。良かった、好きなようだ。ふふふ、イチゴ信者が増えていくぜ!!
「よろしいでしょうか?」
「えっ? あっ、はい! どうぞ!」
司会の軍隊アリの人はずっと待ってたようだ。
すみません、放置してました……。
「選挙は1週間後に行われます。
その時はここから転移にて送りますので、朝8時に遅れずにこの場所に来てください」
「判りました。1週間後の朝8時ですね」
軍隊アリが凄いのか、ダンジョンマスターが凄いのか。
とにかく、転移なんて出来るんだ!
って俺の『コネクト』と同じ事か。使える者が会場に行った事があれば可能だもんな。
会場を教えてもらえないから、俺では行けないからありがたいね。
また、掘っていけって言われたらアウトだったよ。
「じゃあ、ク、いやシロ、帰ろうか」
「ワイはシロや! クロじゃなくてシロや! プロゴルファーシロや!!」
ナグラ! ネタを仕込むな!!
誰がプロゴルファーだ!!
シロに聞くと、クロって言われたらこう言いなさいと教えられたそうな。
間違えた俺も悪かったけど、ネタを仕込んだナグラの方がもっと悪い!!




