某国横断?
13時になり、受付が開始された。
やはりたどり着けない者も居て、半分が脱落している。
穴掘って来いなんて無茶な話だもんな。
あの時は隣の国だったけど、もっと遠い国のダンジョンだったらどうすんだ?
あぁ誰か良い人を見つけて従魔になる? それでもその人が行くって言わないと来れないだろう。
あっ、だから地域毎に候補者を決めるのか。遠い所はそっちで別の受付があるんだな。
で、最終的に全ての候補者を集めて、王様を決めるって事なんだろう。
よく考えたら前世の日本の選挙と同じじゃないか。違う点は、王様を決める時には国民の意思が反映されない事だ。
どっちかというと、日本よりアメリカの選挙に似てるかな?
受付は14時には締め切られた。
これでこの地での候補者は25人(匹?)と決まった。
さっき、日本やアメリカの選挙に似てると言いましたが、ウソでした。すみません。
だって、選挙って言うから投票だと思うじゃん?
どうやって決めるかと思えば、迷宮突破って言うんだもん!
わざわざここのダンジョンマスターと話をして、迷宮を作ってもらったらしいです。
それを最初に突破した人が、この地域から選出された人になるそうだ。
自身の他に10人まで連れていって良いという決まりだそうだ。
何でそんなに多いの? と疑問に思ってたら、これから色々説明が始まるらしいので大人しく待つ。
迷宮の入り口前には小さな舞台があり、今上がってきた軍隊アリが喋るようだ。
「本選に行きたいかーーーっ!!」
「「「おーーーー!!」」」
「王になりたいかーーーーっ!!」
「「「おーーーー!!」」」
何、このノリは? 高校生クイズでも始まるの?! いや、ウルトラクイズか?!
このアホなノリが3分も続いた後、ようやく説明が始まった……。
「この迷宮を、知力・体力・時の運、で突破してもらう!
最初に突破した者がこの地域の候補者になれる!」
やはりウルトラクイズなのか?!
懐かしいな、そのフレーズ。
「10人まで連れて行って良いと聞かされていると思う。
従者を使うのも王の仕事! 10人の能力を使って突破して頂きたい!
なお、体力のステージでは脱落者も出るようになっているので、慎重に考えて行動してもらいたい!」
体力ステージで人が減るのね。頭脳労働者だけ集めても突破出来ないようになってるのね。
なかなか考えられてるじゃないか。
「一定時間をオーバーしたら、その時点で失格にもなる! 慎重、かつ大胆さが必要だ!」
知力ステージの事だろう。1問ごとに制限時間があると考えるべきだな。
「最後に、時の運。
運が悪い者が王になられては困る! 上に立つ者には運も必要なのだ!」
まあ確かに。運の悪い王様ってイヤだよね。
ま、運のステージは、俺が居るので困る事は無いだろう。
「では5分ごとに1チームづつ入ってもらう。入る順番は今から抽選で決める!
運の悪いチームは後半スタートとなるが諦めてもらおう!」
しまった! 一気に入ると思ってたよ!
だから運なんか使ってなかったよ!!
1チーム5分だから、最下位になると5×25=125分=2時間5分後にスタートじゃないか!
スタートした頃に誰かがゴール、なんて事もありうるぞ!
今からでも間に合うだろうか?!
俺は慌てて『最初に入れますように!!』と祈る。
抽選は、舞台上の軍隊アリが箱の中から紙を引く方法だ。既に手は箱の中!
間に合うか?!
「最初に入るチームは……シロ! シロのチームだ!!」
良かった~、ギリギリ間に合ったようだ。
俺のチームが最初になったよ。
ちなみに俺のチームは、シロ・俺・カンダ・キジマ・コタニ・ナグラ・ハズキ・ヒタキ、となっている。
まだ枠が余っていたので、臨時でトムさんとガーも登録しておいた。今はいないけどね。
何故ヒタキさんが居るかと言うと、ハズキ君が行くとゴネたからだ。
さすがに、未知のダンジョンを子供を守りながら進むのは危険だと思ってさ。
そしたら、絶対に行くって言うんだもん。困った。
どうやって納得させようかと考えてたら、シロが爆弾を投入した。一緒に行きたい、と。
これによって同行は女性陣からは許された……。
でもなぁ~と考えてたら、では私も同行致しましょう、とヒタキさんが言ったのだ。
暗に「面倒は私が見ます」という事だと判断し、来てもらったのだ。
だが、今は来てもらって良かったと思ってる。
狭い場所はシロやハズキ君が有利。歴史問題が出た場合はヒタキさんが役立つだろう。
ある意味、完璧な布陣になったのではないだろうか?
さあ、迷宮攻略スタートだ!!




