ダーツ
今回はお遊びだ。
なので大きく儲けようとか考えて無い。
懐かしいダーツがしたいだけ。それだけなのだ。
なのに、何故こんなにも盛り上がってるのだろう……。
カンダさん情報によると、どうやら俺の相手をする人はこの店で無敗だそうだ。
それに余所者の挑戦者が現れた! って事で騒ぎになってるらしい。
俺と対戦相手は、勝者が敗者から10000円貰えるというルールになっている。
ここには大して問題は無い。
問題があるのは観客の方だ。
カンダさんが「福田さんの勝利に賭ける!」と言い出したのだ!
しかもその後に「いや~、これでぼろ儲けだよ」と付け足した。
普通なら誰もが「あれっ、アイツ強いのか?」となり、分散するハズなんだが。
何を考えてるのか、さらに煽って「カジノの町のトップだからなぁ。王都のヤツに負ける訳無いし」って言ったのだ!
この言葉を聞いて、何故か『王都VSカジノの町』みたいになってしまった。
結果、カンダさん以外、全員が俺の対戦相手に賭けてしまった。
比率は50対1!
観客の方の賭けはこうなっている。
テーブルに自分の名前と金額を書いた紙を出す。
全員が出し終わったら合計する。
例えば、Aに50人で50万、Bに20人で20万となったとする。
どちらが勝っても相手の掛け金を渡される。分配は賭け率によって変えられる。
Aの方が配当は少ないが本命に賭ければそんなもんだ。
問題が今回の場合だ。
カンダさんしか俺に賭けた人が居ない。
なので特別ルールとなった。
カンダさんは俺が勝った場合、相手の賭けたお金をすべて貰える。
俺が負けた場合は、相手の賭けたお金を払う。
こんな厳しいルールに決定してしまった。
まぁ、アウェイで煽ったカンダさんが悪いのだろうけどさ。
50人は最低1万円は賭けている。
つまり俺が負けたら、最低50万は払う事になる!
まぁ、俺が勝てば50万以上儲かるんだけど。
最初に言った通り、今回はお遊びだ。
なので大きく儲けようとか考えて無い。
懐かしいダーツがしたいだけ。それだけだったのに。
結局、運を使って必勝しなくちゃいけなくなった……。
多分だけど、カンダさんは酔っているんだと思う。
脳筋だけど、こんな無謀な事をするようなタイプじゃないハズ。
この男にはあまり酒を飲まさないようにしようと心に誓った。
さて、ゲームだが、先手を譲ってもらったのだが……。
1投して気づいた。いや、気づいてしまった!
まずは運の事。
多分、相手が何らかのミスをするだろう。
いわゆる「運が良かったな」と言われる勝ち方だ。
ただこれは、『運力』によってある程度の操作は出来る。
後で、反動で物凄く運が良くなるだろうけど。
そしてもう一つ。
俺の『技術』に『必中』がある事!
投げる前から中心にロックオン出来るのだ!
それから投げると、間違い無く中心に当たる。
今はCだけど、この距離なら外れる気がしない。
はっきり言って、ダーツをやるには面白くない技術だよ……。
まあつまりは、圧勝してしまったって事。
俺はもうゲームとかを楽しめる体じゃあ無くなってしまったのか……。
運や技術や魔法を使えないようにする魔法でも探そう。
多分、各国が研究してるはずだ。
そうじゃないと、城が危険すぎるもんな。
この後、帰宅したら酒のせいか眠たくなったので昼寝してた。
迎えに行くのをすっかりと忘れて……。
起きてから慌てて迎えに行ったけど、むっちゃ怒られた……。




