ホップステップ?
選挙事務局までの道のりは、誰がシロと手を繋いでいくのか? という問題が発生した。
俺とカンダさんは男なので辞退しろと脅されました。俺の従魔なのに……。
ハズキ君は子供なので当確です。
4本手があるのだから皆が繋げば良いと思ったのだが、それでは非常に歩きにくい事が判明したのだ。
という事で、残り1本の手を巡ってジャンケン大会が開催されている。
5回勝った者がその手を取る事ができるらしい。5勝って……。
俺達はそれを見ながら、座って寛いでいる。
当事者のシロは、何故か胡坐をかいてる俺の上に座ってご満悦だ。
手を繋いで歩くよりも、コッチの方が良いね。言わないけどさ。
女性の争いに口を挟むと痛い目を見るのだよ。
勝負の結果、ナグラさんが僅差で勝利したようだ。飛び回って喜んでいる。
それとは対照的に、二人はorzのポーズを決めている。
この様子だと、選挙事務所を出た後も荒れそうだなぁ。
こんな馬鹿馬鹿しい騒動の後、やっと選挙事務所に到着した。
まあ事務所って言うより、ただの穴なんだけどね。
地面に45度の角度で、直径2mほどの穴が空いている。
それを進んで行くと、土で作られたテーブルが用意してあった。
その先には黒色の軍隊アリが居た。こちらも人間のように見える。手にはペンと剣を持っている。
剣はなかなかの業物っぽい。ちょっと偉い人(?)なんだろうか?
ただ、色が黒いせいか、チャラい兄ちゃんに見える……。
「立候補かい? どこの誰だい?」
おお! 喋った! やはり位が高いのかもしれない!
しかも人間を見ても動揺してない。結構強いんだろう。なんせ俺達のステータスを見ても普通に喋ってるからね。
どうやら、シロに自己紹介しろって事らしい。
シロは受付してるアリに近づいていった。
『オッス! おらシロ! ヨロシクな!』
ナグラ! お前だろう!! 何でお前はジャ○プ系のネタをやらせるんだ?!
この子はサルじゃないぞ?! アリだぞ、アリ!!
「おう、シロね、よろしくな。立候補するんだな?」
『アリの王に、俺はなる!』
気に入っちゃったじゃないか!!
どうするんだよ、このまま終わらない旅が始まったら!
仲間が増えてくだけで、最初の目的へは進まなくなるぞ!!
「おう、頑張りな。じゃあこれに必要事項を書いてくれ」
このアリも見事なスルーだな。
元ネタ知らないからかもしれないけどさ。
突然シロが挙動不審になった。
あっ、もしかして文字が書けないのか?
「あの~、代筆は可能ですかね?」
「ん? ああ、あんたがシロの主人か。なら問題無いぞ。書いてくれ」
俺はテーブルに向かい、必要事項を書く。
何々、住所と連絡先と名前か。
住所は近いからニーベル国の王都の家で良いだろう。
名前はシロ、っと。
連絡先?! 電話があるのか?! どうしようと思ってたら、そこには個人名を書くと教えてくれた。
その人に『メール』を送るらしい。凄いな、空間魔法が使えるのか!
これで記入は終わり。
しかし今思ったけどさ、従魔になってなかったら記入の時点で書けないから終了だったんじゃないか?
これも含め、俺の運が作用してるのかね?
まあ、無事に立候補出来たので良しとしよう。
詳しい話を聞こうとしたら、ここでも小冊子をくれた。
これを読めって事らしい。
それによると、まず予選があってそれで残った者が本選に出れるようだった。
予選は1週間後に大森林のダンジョンで行われるらしい。
うげっ! 大森林の中かよ! どうやって行こう?
悩んでると地図をくれた。おや、街道沿いだな? あっ、これ、所子の町の近くにあるダンジョンじゃないか!
あそこには確か門を設置したはず! 良かった、いつでも行く事が出来る。
1週間後にその場にいないと棄権扱いになるようだ。
これも試験の一つらしい。
おいおい、シロよ。よく立候補しようと思ったな。
あそこまで移動出来ないだろ? そもそもダンジョンから出られないと思うんだが。
そうだよ! モンスターはダンジョンから出られない!
従魔じゃないアリは、どうやってあそこまで行くんだ?
それを受付のアリに聞くと、簡単に教えてくれた。
「掘って行くんだよ」と。
掘った穴が繋がってる内は、ダンジョン扱いになるそうだ。
すげぇな。軍隊アリ!




