ダンジョン2階
小冊子に書いてあった通り、2階にもトレントが居た。
もう既にトレントはハズキ君担当だ。2匹以上出ない場合は1人で倒してもらっている。
きっとレベルも上がった事だろう。
ある程度2階を検索したら、簡単に3階に降りる階段が見つかった。
キジマさんがすぐに降りようとするので、皆で取り押さえてる所だ。
可哀相だが、ここで教えておこう。
「今から、軍隊アリを1匹探します」
「イヤだーーーーーー!!」
その時のキジマさんの狼狽振りは恐ろしい物だった。
俺とハズキ君以外の人達3人で抑えなければならない程の力を発揮したのだ!
火事場のバカ力ってヤツですか? それともサイ○人に変身ですか?!
何とか抑えが効いている内に探すとしよう。
探すと言っても『軍隊アリの中で弱いのが1匹出てこないかな~』と祈るだけだが。
ふと視線を感じ、10m前の右側にある木を見る。
すると、木の陰からこっちを見ながらプルプル震えている白い子供が居た。
人間? いや、全身白いぞ? 服が白いのは判るけど、顔も頭も手も白い。
頭の上には2本何かが立ってる。触覚か?! もしかして、あれが軍隊アリ?!
確認の為に近寄ってみる。
うん、頭に触覚がある以外は、ただの白い子供だ。
今は、逃げようか、いや戦うぞ、でも強そうだ、と葛藤してウロウロしている。
何だろう、このイジめたくなる動物は。
ちょっと脅しとして「わっ!!」って言ってみた。
ビクッとした後、目に涙を貯めだした……。今にも泣きそうだ……。ゴメンよぅ。
どうしようか、困った。このまま放っておくのもアレだし。だからって倒す気にもならない。
それにしても白い。もしかして、軍隊アリじゃなくてシロアリなんだろうか?
シロアリなら木を食べるかな? そう思って、倒したトレントから入手したヒッコリーのチップをあげてみる。
あっ! 途端に笑顔になった! 触覚もぴくぴく動いてるし! なんか可愛いな。
食べる様子を眺めてたら、ピコンと音が鳴った。
……もしかして? 確認すると、予想通り従魔になってた……。
また扶養家族が増えてしまった!! 俺的にはもっと強い従魔が欲しかったんだが!!
迂闊に餌付けをした俺が悪いのか?!
ま・まあ、なってしまったものはしょうがない。
手を引いて、皆の所に連れて行く。
「福田さんが幼女誘拐してる! おまわりさ~ん!!」
「人聞きが悪い事言うな! 今従魔になったんだよ!!」
ナグラさんは俺達に慣れたのか、最近はよくふざけている。
良い事だけど、俺を対象にするのは止めてもらいたい。
おっと、よく見ると女性陣は可愛さに全滅のようだ。
キジマさんでさえニコニコしている。気づいて無いのかな?
「名前は何っスか?」
「え~と……まだ考えて無い」
「いつもはどうやって付けてるんスか?」
「種族名からかな?」
「この子の種族は何です?」
「えっと、多分……軍隊アリ?」
「「「「えーーーーーっ!!」」」」
軍隊アリで合ってると思うけどなぁ。
とにかく名前を付けよう。そうすれば念話が出来るようになるはずだ。
「グンタイアリだから……グン? タイ? アリは無いな。え~と、イア?」
「前から思ってたっスけど、何で2文字なんスか……」
「えっダメ? じゃあグンタ? イアリ? タイア?」
「3文字にすれば良いって事じゃ無いっス!」
「……福田さんって、名づけのセンス無いよね」
くっ! ナグラさんにまでバカにされた!
じゃあナグラさんに付けてもらおうじゃないか!!
「じゃあナグラさん決めてよ」
「良いですよ! 私のセンスを見せてあげましょう! 良し! シロちゃんに決定!!」
「まさかの同じセンスっス!!」
って事でこの子はシロに決定した。なかなかのセンスじゃないか。やるな、ナグラさん。
ちなみにキジマさんは固まっている。
虫だけど可愛いので思考が停止しているようだ。




