ゲーム作成
ハズキ君が何とかトレントを倒せるようになったので、夕方まで繰り返し練習して1階は終了。
明日は2階に行こうと思っている。
この後の予定は、ギルドに顔を出すだけだ。
依頼が完了してるなら貰って帰らないといけないからね。
一旦宿に帰るのも面倒なので、全員でギルドに行く事にした。
昨日の今日で絡んでくるバカはいないだろうし。
それにランクが赤色のカンキジコンビが居るのに、絡んでくる命知らずはいないハズだ。
知らなかったんだけど、ギルドに入る時はギルド証を胸元から出して行くのが暗黙の了解らしい。
そうか、昨日はそれをしてなかったから絡まれた可能性もあるよね。
ゴメンね、モヒカン軍団。でも出してないって事は依頼主の可能性大だよ? やっぱりバカ集団だったのかな?
ギルドに入ると、職員全員に通達が出てたのか、すぐにギルドマスターに会ってくださいと言われた。
そして、そのまま奥の別室に通された。
「いらっしゃいませ、福田様。依頼は完了しております。どうぞお受け取り下さい」
「そ・そんなにかしこまらなくても大丈夫ですよ?!」
「いえ、ギルドは依頼主有っての組織。この度の事で痛感致しました。
今思えば、毎日のように依頼してくる村人が相手で、慣れてしまってたのだと思います」
「そ・そうですか。判りました」
毎日村人が依頼を出してくるなら、なあなあになってても不思議じゃないよね。
ほとんどが顔見知りだろうし。
それじゃあダメって気づいて改善されるなら、モヒカン軍団も本望だろう。多分。
買ってきてもらった物は、全部で83種類もあった!
2個づつなので、166個もある! 中にはスモークソルトなんていう面白い物もあった。
家に持って帰り、ゆっくり吟味したいと思う。
ヒタキさんに任せれば、良い物を厳選してくれそうな気もする。
全部を異次元のカバンに入れるフリをして、マジックボックスに収納した。
「ありがとうございました」
「こちらこそ。こちらは残金です。また何か依頼がありましたら、どうぞ私に直接仰って下さい」
「いえ、ちゃんと受付で依頼しますよ」
あれだけ買い物したのに残金があったようだ。
しかし、何でいちいち、依頼をギルドマスターに出さなければならない!
面倒だよ! いや、まてよ? 書く必要が無く、口頭で済むな? 使わせてもらおうかな?
まぁそれ以前に、依頼する事はもう無いと思うけどさ。
絡まれる事無くギルドを後にした俺達は、さっさと宿に戻り門をくぐって家に帰った。
ヒタキさんに買ってきた物を全て渡すと、とても喜んでくれた。
聞くと、こういうのを吟味するのが好きなんだそうだ。
出来る執事は趣味も違うね!
晩飯の後は、やはり人生ゲーム……。
今回はヒタキさんが銀行役をしてくれる事になった。
参加出来るのか?! と思ったら、ハズキ君からコマのバリエーションを増やして欲しいと要望が来た……。
その為に銀行役から外したのかよっ! ヒドいな君ら!!
皆が楽しそうにしている横で、頑張ってコマを作ったよ……。
あまりに悔しいので、新たなゲームを作ろうと考えている。
多人数でプレイ出来て、運があまり関係しないゲーム。
我ながら、そんな物があるのか? と思ってしまった。
色々考えたが、コマ作りで使った木片を見て、一つだけ思いついた!
これなら、俺の運が作用しても、面白い事になるだけだと思う!
まあ、俺は負けないだろうけどさ。勝ちも明確じゃないゲームだから良いのだ!
俺は目の前にある木片を同じ大きさの長方形にカットする。
幅9cm×厚み3cm×高さ2cmだ。
ヤスリまで使って、なるべく同じにしていく。
全部で確か54個だったと思うが、人数が多いので60個作る。
完成に近づいた頃には、人生ゲームが終わったのか皆が周りに集まっていた。
ナグラさんだけは何を作っているのか判ったようだ。
「福田さん! それはもしかして……」
「そう、ジェンガだ!!」
「「「「ジェンガ?」」」」
そう、ジェンガだ!
3個を横に並べて、その上に方向を90度変えてまた3個置く。
これを繰り返してタワーを作るのだ。
そして、その中から一つを抜き、抜いた物を上に置く。
繰り返して行く事で、タワーが不安定になって行き、倒してしまった人が負けになるゲーム。
そう説明し、テストを兼ねて全員でやってみる事にした。
タワーにする事で大小も判るからね。あまりに違う物は入れないでおいた。後で補修だ。
すると、ナグラさんが肝心な事を聞いて来た。
「何でジェンガなんですか?」
「俺も参加する為だ!」
「え~! 運を使って絶対勝つじゃないですか?」
「いやいや、考えてみなよ。俺が参加しても俺は負けないだけでゲームは続くでしょ?
それに、ジェンガには明確な勝ちってあるの? 倒した人が負けになるだけじゃないの?」
「勝ちはありますよ? 倒した人の前の人が勝ちですよ?」
「えっ? そうなの?!」
し・知らなかった……。
頑張って作ったのに……。




