ダンジョン1階
宿は無事に確保出来た。お陰で馬車は預ける事が出来る。
部屋は4人部屋ってのがあったので、それを借りたようだ。
だが料金は6人分払ったそうだ。まあ問題は無い。どうせ家に帰るのだから。
これでもし部屋に襲撃者が来ても、誰も居ないというマヌケな事になる。
一応部屋に全員が入ったら、窓と扉には罠を仕掛けておく。
罠と言っても侵入防止ではないけど。進入があったかどうかの確認用だ。
扉に糸を張り、その糸の先に石を縛る。その石は窓に引っ掛けて外に吊るしておくだけ。
これで窓を開けたり扉を開ければ、糸が切れ石が落ちる仕掛けだ。
こっちに戻ってくる時は、まず馬車に1度出る。
そして馬車から泊まっている部屋の窓を確認するのだ。
石が落ちていれば侵入者アリなので、全員馬車から出る。
石が落ちてなければ、一度戻って泊まっている部屋から出る。
この方法はナグラさんが考えた。
『コネクト』がバレないようにする為と、自分達の安全の為に。
入院している時は本ばかり読んでたそうで、その中にはこういう簡易的な罠の本もあったらしい。
病室にしかけて、凄く怒られた経験があるそうだ。うん、バカなんじゃないかな?
さて、夜には家に帰ったのだが、当然のように人生ゲームが始まっている。
今ではヒタキさんと2人のメイドも参加中だ。
俺? いつものように銀行員ですよ……。
マス目を見ると、前と違う事に気づいた。
どうやら俺の知らない所で、ハズキ君がヒタキさんに作成を命じたらしい。
バランスの取れた見事な作りになっていた! 万能だな、ヒタキさん!!
ヒタキさんが「これを売っても良いでしょうか?」と俺に聞いて来たので、OKを出しておいた。
王都で人生ゲームが流行るかもしれない……。
翌日、襲撃は無かった。
まぁそんなに早く来ないよね。居場所も知らないだろうし。
今日からダンジョンアタックだ!
貰った小冊子はキジマさんに渡してある。有効に活用してくれるだろう。
ナグラさんの装備だが、贅沢な方法で選ぶ事に決まった。
それは、このダンジョンで片っ端から使用してみて、しっくり来た物にする。っていう方法。
マジックボックスを持っている、俺が居るからこそ出来る方法だよな。
まずはミスリル製の物から試用してみるらしい。気に入る物があれば良いね。
ダンジョンには入場制限や、入場料などは無かった。
誰でも入れるらしい。ただ、村人は1階しか行かないらしい。
小冊子によると、1階にはゼリースライムとトレントしか出ないそうだ。
『ゼリースライム
レベル3
スライムの亜種。白色をしているのですぐに判る。攻撃は体当たりのみだが、柔らかい体なのでたいして痛くない。
弱いくせにすぐに向かってくる。子供はコレを倒してレベル上げや小遣い稼ぎをする。
ドロップ品は産地によって味が微妙に違うらしい。
ノーマルドロップ「塩」
レアドロップ「砂糖」
トレント
レベル5
動く木。枝で叩いたり根で蹴ったりして攻撃してくる。
火に弱く、乾燥しているのか良く燃える。チップの村の名産品にされるくらい沢山居る。
ノーマルドロップ「ヒッコリーのチップ」
レアドロップ「ピーチのチップ・サクラのチップ」 』
このように、親切に説明が書いてあった。
なんと便利な小冊子だろうか! これは確かに売り物になるね!
ちなみに、ハズキ君も当然同行している。
初めてのダンジョンで凄く興奮しているので、少し危なっかしいが。
一応ナイフを持たしているけど、戦闘に参加させる気は無い。
参加するとするなら、トドメを差す時だけだね。レベルは少し上げておきたいから。
あぁ、1階のモンスターくらいは頑張って倒してもらおうかな。
トレントも『ファイア』で倒せるだろう。
って事で、1階はナグラさんの武器試用とハズキ君の戦闘訓練をする流れに。
今日は1階だけで帰る事になりそうだなぁ。
まぁギルドにも行かなくちゃいけないので、丁度良いかな?




