ヒマの潰し方
外交官はヌマタ卿が捕まえた。
これって現行犯じゃないと思うのだが。聞くと、盗んだ物が今出てきたのですから現行犯ですとの返事が。
いいのかな~。まぁ、軍のトップが言うのだから良いのだろう。
さて、犯人も捕まえたし、いざ魔道の国へ! とはならない。
まず、国境の門が閉まっている。開くのは明日以降になるそうだ。
そして、ハズキ君誘拐疑惑がある国に本人を連れて行けない。
最後に、黒幕が判明してない。
この3点により、結局また足止めだ……。
近くの宿場町は、今日国境を越えようとしてた人で溢れてる。
なので、俺達は一つ前の宿場町まで戻る事となった。
そこまではヌマタ卿が同伴してくれ、出発出来るようになるまでにかかる全てのお金を払ってくれたのだ。
「王の懐から出させるので問題ありません」という言葉と共に……。
動けるようになったら、ネモト卿からメールを送らせるとの事。
ヌマタ卿の尋問次第で、出発の日時は決まるだろう。
結局俺達は、また王都の家に戻ってきた。
ネモト卿から知らせがあるまでは待機だからしょうがない。
では、ハズキ君に魔法を教えるかと言うと、そんな事は無い。
何故なら、俺が騎乗によってダメージを受けているからだ!
そうなってくると全員ヒマになるらしく、またもやトランプを持ち出した。
ハーツをやるつもりらしい。好きだなぁ。
だが、ここで問題が発生した。
ハズキ君が自分もやりたいと言い出したのだ!
ハーツは4人でやるゲームなので、入れない。大人なんだから代わってあげれば良いのに誰も譲らない……。
どうするのだろうと見ていると、皆がコッチを見ている。何? どうした?
「福田さん、他に何かゲームは無いっスか?」
おいおい、コタニさんよ。俺が何でも知ってるって訳じゃ無いぞ?
そういうのは、同じ前世を持つナグラさんの方が詳しいんじゃないの? 年齢的にもさ。
「私は入院してたので、テレビゲームとかばっかりでしたので……」
ゴメンッ!! 落ち込ませちゃった!!
今、俺が考えるから!!
何があったっけなぁ……。あまりルールが難しいと子供には無理だしなぁ。
トランプの大富豪は知ってるだろうけど、俺は入れてもらえないし。
簡単なルールで、かつ大人数で出来るゲームねぇ……。
あっ! 閃いた!!
シーツを1枚持ってきてもらう。
それをテーブルの上にシワが無いように広げ、その上にマスを書いていく。
そう、人生ゲームを作るのだ!
これなら簡単だし、大人数でも出来る!
男性チームにはマスの中に「~で1000円払う」とか「~で2000円貰う」とか「1回休み」とか書いてもらう。
女性チームには使用するお金を作ってもらう。紙に100円とか書いて長方形に切るだけ。
ちなみにお金は、100円以上にしといた。1円とか10円とか面倒だから。
ハズキ君は興味津々で楽しそうだ。作るのも楽しいよね。
俺はその間に木でサイコロを作る。2個作り、1個は普通に1~6を、もう1つには0~2を書く。
これで最低で1マス、最高で8マス進む事が出来る。
ついでに使用するコマも木で作った。ペンで色々な色を塗って完成だ。
コマ作りに夢中になってたら、いつの間にか女性チームもマス目書きに参加してた。
あれ? アッチは楽しそうだな……。なんだろう、この疎外感。
いや、俺のしてる事は重要なんだ、頑張って作らなくちゃ。
コマを8個作った頃になって、ようやくマス目が全て埋まったようだった。
俺待ちになってたので、俺もコマ作りを止める。
作ったコマは、四角錐の上に正方形を乗せたような形。一応人型っぽくした。
だったら上は球だって? 難しいんだよ! 即興じゃあムリ!
四角錐の部分には色を塗り、顔には一応目と口を書いた。「^へ^」みたいなのを。
皆が喜んでくれたので良かったよ。不評だったら泣く所だったぜ。
ハズキ君は青、カンダさんは赤、キジマさんはピンク、コタニさんは黄、ナグラさんは緑、を選んだ。
さて、俺は何色にしようかなと考えてたら、キジマさんから作った札束を渡された。
「福田さんは銀行役ですね」
えっ?! 参加出来ないの?!
皆を見ると、ウンウンと頷いている。明らかに「運で勝つでしょ?」と言いたそうだ……。
こんなに頑張ったのに、俺はまたもや参加させてもらえなかった。
いい加減、泣くぞ?




