表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
218/949

逮捕劇・後編

何とか落馬せずに現場近くにまで来る事が出来た。

運のお陰か判らないけど、俺頑張ったよ! 誰か褒めて!!


おっと、そんな事を考えてる場合じゃなかった!

トムさんの暴れっぷりがハンパない。

正に暴れ馬だ! これを言うと怒られそうなので言わないけどさ。


多分護衛の人なんだろうけど、トムさんに剣で攻撃しに行ったのに、ヒラリとかわされて放り投げられてる……。

あれ、飛距離にして10mくらいじゃないか? 着地が悪ければ即死だよ。

次に運搬してる人を捕まえた。これ以上行かせない為だろう。

その人も投げられた。その距離12mくらい。記録更新だ。

その後、馬をギロリと睨んだ。それだけで、馬は大人しくなり、その場に座り込んだ。さすが馬の頂点。違うか?

冒険者に扮して隠れて出国しようとしてた者まで、事態を把握したのかトムさんに向かっていった。

当然の如く、投げられてるけど。よく見ると、剣を奪い取って前足で踏んで折ってる。ヒドい。

中には本物の冒険者も居ると思うんだ。その人の剣まで壊す事は無いんじゃないかな? 区別はつかないけどさ。


こうやって眺めてると、トムさんの異常な強さがよく判る。

あれ、俺の従魔だぜ? 普通に考えたら言う事を聞く訳無いよね? 俺レベル25だもん。


護衛が残り1人となり、荷台には一番偉そうなのが1人残るのみ。

ここにきてようやく国境警備から人がやってきた。

遅いので何やってたんだと思ったら、国境の門を閉めてたようだ。

今は誰も通過出来なくなっている。

国境警備の人まで被害が出てはいけないので、俺とヌマタ卿はトムさんを押さえに行く。

暴れている所に到着すると、ヌマタ卿が叫んだ。


「国境警備の者よ! そこで止まれ! 私は国軍のヌマタである!!」


その声を聞いて、国境警備の人達は武器を下げて立ち止まった。

その中で団長のような人がヌマタ卿に話しかけてきた。


「ヌマタ卿、そこでモンスターが暴れております!」

「これは、こちらに居る福田様の従魔である!」

「は・はぁ。で、何故暴れているのを止めないのですか?」

「福田様の持ち物が何者かによって盗まれたのだ。それを従魔に追わせたのだ」

「で・では! そやつらが?!」

「そうだ、こいつらが盗品を持っている可能性が大きい! 国境警備の者に命ずる! 1人も逃がすな!」

「「「はっ!!」」」

「福田様、ト、いや、従魔を止めてもらえませんか?」

「えっ? あっ! は・はい! トムさん、ストーーップ!!」


俺が止めた時には既に護衛は投げられており(記録更新の13m)、偉そうなヤツが襟首を持たれて持ち上げられていた。

もう少し遅かったら、その握り締めてる左こぶしで殴られてただろうな。首が吹っ飛ぶんじゃないか?

それにしても、俺の事を「福田様」って言うのは、止めてもらえないかな? 凄く居心地が悪いです。


ヌマタ卿は馬を降り、俺を降ろしてくれた……。すみません、もうプルプルなんです。

ヌマタ卿の肩を借りて、何とかトムさんの所に行く事が出来た。

今度はトムさんにすがらせてもらう。その格好を見て、またニヤニヤと笑っている。チクショウ。

トムさんに放されたヤツは、その笑う顔を見てより一層恐怖が増したようだが。

どうやらヌマタ卿が尋問するようだ。


「おい、キサマ。窃盗容疑で逮捕する!」

「わわわわわわ・わた・私はノートルダムの外交官だ!

 ここ・こん・こんな事をして、ゆゆゆゆゆ・許されると思ってるのか?!」

「ふん、キサマも知っていよう。現行犯の場合には外交官といえども逮捕されると」

「何も盗んでいない!!」

「ほう、ではその後ろの荷台に詰まれている荷物は何かな?」

「これは全て自分の私物だ!」

「では見せて頂いても構わないね?」

「いや、拒否する!!」


拒否出来るのも外交官の特権にあるらしい。機密文書とか読まれても困るからという事なんだろう。

なので拒否されると、普通ならココで手詰まりになるのだ。

だが、今回は俺が居る。


「ふん、そう言うと思っていた。福田様、お願いします」

「はい、了解しました」

「なななな・何だ?! また暴れさせるのか?!」

「そんな事をする必要は無い。盗まれた品物には福田様の従魔が取り付いているのだ。

 福田様は近くに居ればそれを呼び出す事が出来る。たとえ布がかかっていてもね」


そう言ってヌマタ卿はニヤリと笑い、その後俺を見る。

はいはい、ガーを呼べって事ね。


俺がガーを呼び出すと、わざわざ布をビリビリに破って登場しやがった!

そして荷台の上で一吠え!! 外交官は腰を抜かしている!!

誰だ、こんな演出を仕込んだのは!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ