水の勉強
風呂上りのハズキ君を捕まえ、魔法を覚えても良いと教えてあげた。
「ホントに?! やったー! すげー!」
大喜びだ。だが、勉強込みだぞ?
まぁ、俺達は読んだだけで覚えたけどさ……。
「ただし! ちゃんと勉強する事! 判ったか?」
「うん! 判ったよ!!」
「よ~し、じゃあまずは『水』から勉強しようか?」
「えっ? 魔法の勉強じゃないの?」
「魔法の勉強だよ? そうだな~、判りやすく言うと『水を知ろう!』って感じかな?」
「えー? どういう事?!」
俺が言った『水を知ろう!』にはコタニさんやキジマさんも興味があるらしく、皆部屋に帰らずにリビングに集まってきた。
おいおい、ナグラさんはどっちかというと教師側でしょ?
まあいいや。大人にも判る様に講義をしようかね。
キッチンに行って、皿を持ってくる。
「ではまずは、『ウォーター』!」
皿の上に魔法で作った水が入っていく。
ハズキ君はキラキラした目でそれを見ている。
「では、ココに居る全員に質問です! この水はどこから来たでしょう!」
「はい!」
「あっ、ナグラさんは黙っててね~」
「ヒドい……」
「貴方は判って当然でしょうが。判らない方が問題だよ?」
「まぁ、そうですけどね……参加したいじゃないですかー」
「君も教師側だよ。こっちで参加しなさい」
全部の答えをバンバン言われたら意味無いでしょ?!
当てる楽しみがあるから良いんだから。
「ハズキ君、判るかな?」
「えー? 魔法で作ってるんじゃないのー?」
「残念! ハズレです! 多分……」
「多分って事は確信が無いって事っスか?」
「しょうがないじゃないか! 俺だって詳しく知ってる訳じゃないんだから!
多分こうなってるんじゃないかな~って予測だよ!」
そこに引っかからなくていいんだよ! そんなもんなんだ~で流してくれよ!
「ではキジマさん、どうですか?」
「えっ?! ……どこかから持ってきてるのですか?」
「おっ、半分正解だね! ではどこからでしょう?」
「川から!」
「ハズキ君、ザックリした答えありがとう。でももっと近くからだよ?」
「もっと近く? じゃあ水道!」
「もっと近く!」
「えー? 水なんか無いよー?」
皆も判らないって顔してる。
ヒタキさんだけは判ってるって顔をしてるな。って事は推論は合ってるのかもね。
「正解は……空気からです!」
「ウッソだー!!」
「じゃあ、実験しようか」
まあ、信じないわな。見えないし。
こういうのは実験で見せてあげるのが一番だ。
理科の実験とか、授業なのに面白かったよね。
テーブルの上にコンロとヤカンを出して、さっき皿に出した水をヤカンに入れる。
ヤカンをコンロにかけて待つ事しばし、沸騰して注ぎ口から湯気が出てきた。
「ハズキ君、これは何?」
「えっ? 湯気だよ?」
「湯気って水なんだよ」
「……本当に?」
「そうだよ。見ててごらん」
湯気にさっきの皿を斜めに当てる。すると冷えて水滴になった。
「本当だ! 水になった!!」
「ね? さて、よく見てごらん。湯気はどうなってる?」
「上っていって消えてるよ」
「消えてるんじゃなくて、空気と混ざってるんだ。という事は?」
「空気の中に水があるー!!」
「正~解~!!」
「じゃあ魔法は、さっきみたいに空気の中の水を集めてるんだ!」
「またまた、正解! 判ったみたいだね。じゃあご褒美に『ウォーター』の魔法を教えてあげる」
「ヤッター!!」
まぁ、教えてあげるとは言ったけど、実際は本を読むだけなんけどね。
いいんだよ、そういう細かい事は。
そんな事よりも、ナグラさんにコタニさんとキジマさんが質問攻めしてる事の方が重要だよ。
知らなかったんだ~。この世界ってどうやって勉強してるんだろ?
ヒタキさんに聞いてみよう。
魔法と科学について書きたかったんです。
次話もこんな感じですが、お付き合い下さい。




