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外交特権

聞きだした場所は、宿場町の近くの大森林の中だった。

ヌマタ卿曰く、取引相手は宿場町の宿に泊まっているとの事。

今はその宿場町に向けて移動中だ。

だが、バレちゃマズいので、騎士隊はあまり近寄らずに大森林に潜伏するらしい。

ヌマタ卿だけは俺の馬車に乗っている。顔を隠して行動を共にするつもりだそうだ。


この宿場町から国境まで約3日かかるらしい。

なるほどねぇ。それで3日ごとに連絡があるのか。って往復6日じゃん!

そう聞いたら2交代制だろうとの答えが。そりゃそうか。


「逆に考えれば、2交代制で人を雇える程の財力があるとも言えます。

 そして、ソレを知られない様に動かす事が出来る人物だとも言えます」


確かに。それだけの者を国境でウロウロさせてたら怪しいもんな。

荷物も大量に持ってるだろうし。

誘拐してたら人まで運ぶ事になるからね。


ってここまで考えて謎な点が出てきたぞ?

国境って向こうの国だけじゃなくて、コッチの国も関係してるだろ?


「あの~、越境するのに、この国での荷物検査とか無いんですか?」

「そこに気づくとはさすがですね。本当にうちの王と交代させたくなります。」


いやいや、こんな所に来てまで王様をイジらなくていいですって!

それよりも説明してくださいよ~。


「勿論、こちらにも検査する施設があります。

 多分ですが、こちらの国の貴族か王族が発行した通行手形を持っていると思います。

 もしかしたら、外交特権手形を持っている可能性もあります」

「外交特権手形ですか?」

「はい。外交官は機密書類等を持っている事が多々ありますので、あまり荷物検査などはしないのです。

 これは各国が一堂に会して決めた事ですので、警察といえども簡単には調べられません」


あ~、アメリカ映画でよくある外交官特権みたいなヤツね。

それを利用して密輸入したり犯罪犯したりするヤツ。

日本ではあまり馴染みが無いけど、大使館の中は治外法権だったりするんだよね。


「もしそれを利用してるとなれば、かなり問題ですね……」

「ええ。まぁ、もしそうだったとしても、手段は考えてますが」

「おおっ! さすがですね! どういうプランですか?!」

「福田さんを利用します」


えっ? ……聞き間違いかな?

何か不穏な事が聞こえた気がする。


「……もう一度お願いします」

「福田さんを利用します」

「ファッ?! 何で?! どうして?!」

「正確に言うと、福田さんの従魔を利用します。

 簡単ですよ。調べなければならないようにするだけです」

「それはどういう事ですか?!」

「まず、福田さんは今、盗賊が集めた簒奪品を持ってますよね?」

「ハハハハ、何を言って……はい、持ってます」

「ソレの中に福田さんの物を混ぜます。正確には福田さんの物でなくても構いません。

 そうだ、王の剣でも持ってきましょう。とにかく持ち主の判る物を混ぜるのです」

「いやいや、俺の私物で良いですよ! それで?」

「国境の検査施設に賊が入る前に、福田さんの従魔に襲わせます。

 警備している騎士が来るまでにその品物を従魔に発見してもらいます。

 そこに私と福田さんが駆けつけるのです。

 警備の騎士と軍のトップの私、そして持ち主の福田さんが揃ってる所で盗まれた物を発見する。

 こうなれば、外交特権を持っていても逮捕出来ますので」

「それって俺や従魔は罪に問われないのですか?」

「発見出来なければ襲ったという事で罪になるでしょう。

 盗まれた物を取り返して来いと命令されていた従魔は、逆らう事は出来ません。

 発見さえされれば、盗んだヤツが悪いと言えるので大丈夫です」

「って事は、絶対に発見しなきゃいけないじゃないですか!」

「そうですね。そこは福田さんが考えてください」


ヒドイ! 丸投げされた!!

俺、離れてても発見出来る物なんか持ってたか?

しかも俺の持ち物って判る物じゃないとダメなんでしょ?!

え~、無いよ、そんなもの……。


あっ! 一つだけあったわ!

ガーが取り憑いている腕時計だ!

あれなら、ガーからの念話で位置が判るだろうし、俺の物って確認出来る!

腕時計にファントムが取り付いている事なんか無いだろうからね。

そうなると、襲う従魔は自動的にトムさんの役目になるな。

今も付いて来てくれてるから、お願いしよう。


それにしても、俺まで利用するとは、鬼軍師ですね!

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