ヌマタ卿の尋問
本日3話目の投稿です。
魔法を検証していると、2時間経ったようだ。
遠くに土煙が見える。多分、騎士隊だろう。
到着した騎士隊は当然ヌマタ卿が率いていた。
騎士達はトムさんに驚いていたが、盗賊達を格子のついた馬車に乗せていく。
ヌマタ卿だけは俺達の方にやって来た。
「お待たせしました。それで、その盗賊のボスはどれですか?」
「お疲れ様です。そこで怯えているのがそうですよ」
「こいつですか。おい、俺の事を知ってるようだな?」
「ヒィィィィィィ!!」
「失礼なヤツだな。質問に答えろ? でないとどうなるか……は、知ってるよな?」
「は・はい! 何でも答えます!!」
ヌマタ卿は昔何をしたのだろうか?
怯え方が尋常じゃない。俺が聞いた時とは比べ物にならないなぁ……。
「ノートルダムと繋がってるそうじゃないか。それは国となのか? それとも個人か?」
「おおお俺は1人としか会ってない! だが、ソイツはその国の貴族か王族だった! 間違いない!」
「ふ~ん、それは何故気づいた?」
「ソイツが乗ってきた馬車をコッソリ見たんだ! 馬車に紋章が入っていた!」
「なるほどね。紋章入りの馬車か。まぁ、そこはいいだろう。
それで、お前は何を命令されたんだ?」
「ならず者を率いて、ニーベル国に入れと言われた! そこで盗賊をしろと!
特に、豪華な馬車を狙えと言われたんだ!」
「豪華な馬車をねぇ。で? いまだに連絡は来るのか?」
「あぁ! 頭の中に手紙が来るんだ!」
「ほう、魔法が使えるヤツか。まぁ当然だろうな。で? どんな内容が来るんだ?」
「主に食料の話だ!」
「食料の話ね。お前達の食料の受け渡しだな?」
「そうだ! 決められた日時が送られてくる! その時間に決められた場所に行くと3日分の食料が置いてあるんだ!」
「それで? それだけじゃないだろ?」
えっ? 今の会話の中に疑う部分ってあった?
でもヌマタ卿は何かを確信してるみたいだ。
「うっ、あ、いや、その」
「どうした? 言わないのか? 俺が言ってやろうか?
そこに簒奪品を置いていくのだろ? そして近況を書いた手紙も置くんだろ?
そこには食料以外にも金や武器や指示書があるんだろ?」
「……なぜそれを!」
そういう事か。
簒奪品を貯めておいても意味無いよな。何らかの方法で換金しないと。確かに貯蔵されてた品は多くなかった。
だが、手紙や指示書の事はどうして判ったんだろ?
「お前は雇われてるかもしれないが、部下は違うだろ? 部下を使うには給料が必要だ。
だが、国内では換金出来ない。ならば換金は国外だ。部下を使って持ち出す訳にはいかない。
ではどうするか。交換すれば良いだけだ。そして次回に金を受け取る。
手紙の件は、お前の右手にインクが付いてる。何か書き物をした証拠だ。
盗賊が盗品の目録なんか作らないからな。ならば手紙を書いたに違いない。
こちらが書くなら、向こうも書くだろう。
弓矢等の消耗品の補充も必要だろ? 少し考えれば判るんだよ」
なるほど! そう言われてみれば納得だ!
すげー、ホームズみたいだー!!
「さて、前回の指示書にはなんて書いてあった? どうせ燃やしてしまったんだろ?
覚えてる内容を言え!」
「こ・子供を攫え、と書いてあった……」
「まあそうだろうな。10歳くらいの男の子だろ?」
「そ・そうだ」
んんん?! もしかしてハズキ君か?!
王様の孫を攫えば大問題だぞ?!
「よし。次の食料の受け渡しはいつだ? 今日か明日だろ?」
「あ・明日の15時だ」
何で日時まで判るんだろう?
これは聞いてみないと判らないなぁ。
「ちょっと良いですか? 何で今日か明日だと思ったんですか?」
「ん? ああ、簡単ですよ。人を攫うような命令を出した場合、すぐに受け取らないと逃げられないからですよ。
なので、多分受け渡し場所の近くに常に待機していると思います。
場所を聞くのはこれからですが、どうにかそいつらも捕まえるつもりです」
「そういう事でしたか」
確かに王族を攫ったら、すぐに厳戒態勢になるだろう。越境なんか出来なくなる。
目標人物以外を全滅させれば少しは時間が稼げるけど、早いに越した事は無いよね。
さすが軍師様!
でも、そいつらを捕まえるのに火計は使わないでくださいね? ね?




