魔法の検証
早速全部の魔法を覚えてみた。
今はナグラさんとキジマさんが覚えている最中だ。
ハズキ君はどうしようかな? 何か簡単なのだけでも教えようか?
まぁ、とりあえず実験だよ、実験。効果を知らないと実践で役に立たないからね。
まずは生活魔法から。
『温度を下げる:ローア(MP10)』
『温度を上げる:ヒート(MP10)』
この2つは、触れている物の温度を変えるようだ。
水に手を入れて実験したら、熱湯になったり凍ったりした。
でも、1回で10℃くらいしか変化しない……。
冷たい飲み物作るくらいしか役に立たないかと思ったら、ナグラさんが何か実験して成功させた!
それは『部屋の空気に触れていると考えて温度変化させたら出来た!』というもの。
なるほど! エアコン魔法だね!!
『時間を知る:タイム(MP5)』
これは、はっきり言って電波時計だ。正確な時間が表示される。
これくらいならハズキ君が覚えても良いかな?
後で使わせてあげよう。
『穴を掘る:アース(MP10)』
使ってみると、直径50cmくらいの幅で深さが30cmくらい掘れた。
掘ったというよりも、そこにあった土がどこかに消えたって感じ。
そこにあった木の根は残っている。植物には作用しないらしい。
土木作業用かな?
次は攻撃魔法を実験。
『火で壁を作る:ファイヤーウォール(MP20)』
『氷で壁を作る:フリーズウォール(MP30)』
『土で壁を作る:アースウォール(MP25)』
これらは自分より1m前に、高さ2m・幅1m・厚さ30cm、の壁が出来るだけ。
これに魔法のファイヤーアローとフリーズアローをぶつけてみる。
火はフリーズアローだけを防ぎ、氷はどちらも防いだ。土はどちらも防いだが壁が壊れた。
物理攻撃は、土が一番優秀で壊れなかった。氷は防いだが壊れた。火は役に立たず素通りだった。
とっさに使い分けが必要だわ。要訓練だね。
最後に支援魔法。
『空気を送る:エアサプライ(MP20)』
字の通り「送風」かと思ってたけど、何の変化もなかった。
多分だけど、Aの部屋からBの部屋へ本当に空気を送るだけなのかもしれない。
密閉空間に閉じ込められた時以外、役に立たないな……。
だが、これもナグラさんが効果的な使用方法を開発した。
そう! 火に向かってこの魔法を使ったのだ! すると火は勢いを増し、凄い勢いで燃え出した!
鍛冶で使う「ふいご」の役目になるという事だ!
あれっ? 鍛冶しないから、結局あまり役に立たないな……。
『速さを上げる:クイック(MP10)』
ちょっぴり速さが上がるだけの魔法。100mを10秒で走れるとして、それが9秒になるくらい。
『技術』の『瞬歩』や『逃げ足』には到底及ばない。
ただ、この魔法は他人にかける事が出来るのが利点。馬にかければ移動が早くなるだろう。
『霧を出す:フォグ(MP25)』
自分を中心に、半径5mを濃霧が包む。俺が移動してもついて来ない。
外から中は見えないそうだが、使った俺は「霧出てる?」って感じるくらい判らない。
だから隠れながら逃げれるなと思ったら、カンダさんとガーにすぐ捕まった……。
カンダさん曰く「だって直後なら中心に居るでしょ?」との事。ガーは「匂いで」っていう簡単な答え。
連続使用が可能なので、ナグラさんと2人で移動しながら使ったらさすがにカンダさんには捕まらなかった。
この霧は5分程度で消えたので、逃げる時に使用しようと思う。
『音で解析する:レーダー(MP50)』
さて、一番の問題作だ。
使ってみると、音のする場所が判るという物だった。コウモリの超音波を期待したのにガッカリだったよ。
反響を利用するんじゃなくて、小さい音でも判るって感じ。
森の中にカンダさんに隠れてもらって、実験してみた。
すると、カンダさんの呼吸音を聞く事が出来たので場所がすぐに判別できた。
解析出来る範囲は自分の正面180度で、距離は20mまで。
隠れてても居るのが判るってのは便利かもしれない。
ちなみにガーは発見出来なかった。呼吸してないし、心臓も動いてないので。
心臓ってあるのかな?
まあこれで、実験は終了。
初級だけあって、そこまで有効的な魔法は無かったなぁ。
やっぱり魔道の国に行って、中級や上級を手に入れないとね。




