意外な話
ボスだけを別室に連れて行き、色々と話を聞く。
主に襲って集めた物の置き場などだ。
そう考えてたら、このボスはとんでもない事を言い出した!
「お前ら、俺を捕まえて調子に乗ってるが、ただで済むと思うなよ?」
「何言ってんの?」
「俺は実はノートルダムに雇われている。国同士の争いになるぞ?」
ノートルダム? どこかで聞いたな?
あっ! 魔道の国か! 魔法の発達した国って事で魔道の国としか考えて無かったわ。
はっ? 国に雇われているって何? 意味が判らない。
「ま、ノートルダムの事はいいや。で、盗ったお宝、いや、襲われた人達の物はどこだ?
俺が責任持って使う、いや、社会に還元するから。よこせ、いや、出すのだ」
「……お前、本音がダダ漏れしてるぞ。お前の方が盗賊じゃないか!」
「何言ってんだよ。俺の物は俺の物、盗賊の物も俺の物って言うだろ?」
「言わねぇよ! 誰がそんな事言ってんだ!」
「え~、デブでオンチな10歳くらいの男の子だよ?」
「そんなガキがそんな事を言うか!」
言うんだけどなぁ。
っていやいや、そんな事は良いんだよ!
危ない危ない、敵の策略に引っかかってたぜ。
喋らないつもりだな? それならこっちも『看破』使うぜ!
ダンマリされると困るから、バカにしながら聞こう。怒って反論してくるハズだ。
とりあえずコイツが喋った情報から真偽を確かめようか。
「俺の話はいいんだよ。お前の話だ。お前はノートルダムに雇われてるんだな?」
「そうだよ。疑うなら聞いてみればいい。」
モヤモヤしないな。真実らしい。どういう事なんだろうね。この件はヌマタ卿に相談だ。
「で、盗った物は? どうせバカみたいに床下に隠してるんだろ?」
「そんな所に隠す訳ないだろ!」
モヤモヤしない。床下では無いらしい。
「へ~、少しは頭が使えるんだな。でもアホだから天井に隠すんだろ?」
「そんな判りやすい所に置かねぇよ!」
モヤモヤしない。これも真実か。
こうなるとこの家以外って事か。外には他に家は……あっ、あったあった、住めないほどボロボロになった家が1件だけ。
「あっ、判ったぞ?! お前ら単純だから、外にある他の家に隠したな?」
「そんな所に無ぇよ!」
モヤモヤする。って事はその家にあるのか。ご馳走様。
「ふ~ん、他の家にあるのか。あのボロボロの家だな。じゃあ物色してくるかな」
「てめぇ! 魔法道具使いやがったな! クソッ!」
「いや、使ってないぞ? そもそも持ってないし。ノートルダムにはあるのか?」
「知らねぇよ!!」
なんだ、知らないのか。
モヤモヤしないから真実なんだろうな。
あるなら『看破』がバレるのを予防する為に買おうと思ってたのに。
ま、無いなら作ればいいか。普通の魔法石を「ウソ発見器です」って言えば良いだろ。
「そうそう、お前達をどうするかだけど、国が関係するんで城に連れてくから」
「はあっ?! な・何で城が出てくるんだよ!」
「知り合いが居るから。ヌマタ卿にでも渡すかな?」
「ヌ・ヌマタだとっ?! お前知ってるのか?!」
「一緒に王様をバカにするくらいの仲だけど?」
「マ・マジかっ!! 勘弁してくれ!! アイツだけはイヤだ!! 許してくれ!!」
えっ? 何でこんなに否定するの?! ヌマタ卿、何したのよ?!
こりゃ、ヌマタ卿に渡す事が決定だな。
また王都に引き返すのか……。面倒くさいな~もう!
「そこまで言うなら……」
「おっ、許してくれるか?!」
「必ずヌマタ卿に渡すとしよう」
「止めてくれ~~~~っ!!」
本当に何があったんだろうね?
こりゃ、お宝は後回しだな。
俺はボロ家に行き、お宝を一纏めでマジックボックスに突っ込んでおいた。
後で出して一つづつ鑑定しよう。
それから王様に『メール』を送る。一応登録しといて良かったよ。
さ、後は馬車から王様の私室に行くとしようか。




