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トムさん登場

だが、この『入浴中だった事件』が皆の警戒心を解いたようだ。

誰もが少し安心したような顔をしている。

いや、ヌマタ卿だけが恐ろしい物を見るような顔をしている。

もしかして、ヌマタ卿は鑑定持ちなのか?!


「えっと、入浴中だったようですが、改めて紹介します。ケンタウロスのトムさんです」

「トムです。このような格好で失礼しました」


王様はまたもや笑いを堪えている。

召喚した従魔が入浴中、この事実が面白いようだ。

俺の従魔だからか、警戒心はゼロなんだろう。

笑いを堪えながら、近くに居た騎士に命令している。


「うむ。突然の召喚だ。しょうがあるまい。おい、タオルを持ってきてやれ」


王様、親切だな。

いや、絨毯が濡れるのを嫌がってるだけかも?


そんな事を考えてると、とうとうヌマタ卿が声を発した。


「ふ・福田殿! 本当にその従魔は言う事を聞くのだな?!」

「はい。大丈夫ですよ。ね、トムさん?」


トムさんは右前足を器用に折り曲げて、騎士のようなポーズを決める。


「はい。私に暴れる気などありません。ご心配無く」


お~、かっこいいぞ、トムさん! ズブ濡れじゃなければね。

まぁ俺のせいなんだけど、なんか滑稽だわ。

なんて考えたらトムさんにジロッと睨まれた。ゴメンなさい……。


周囲の貴族は、何故ヌマタ卿がこんなに大声を出して確認したか判らないようだ。

ネモト卿が、全員を代表してヌマタ卿に聞いた。


「ヌマタ卿、どうされたのですか? 安全は先ほど福田殿が保障されたではないですか?」

「私は『鑑定』の『技術』がある。それは知ってるな?」

「はい。誰もが知ってる事実ですね」

「それで福田殿の従魔を鑑定したのだ。……驚くなよ、そのトムとやらはレベル200だ……」

「にひゃ! 事実……なのでしょうね。だからそんなに警戒されたのですね?」

「そうだ。その者が暴れれば、ここに居る者は数分で全滅するだろう……」


謁見の間に静寂が訪れた。

誰もが声も出せないで居る。身動き一つ出来ないようだ。

それは王様もで、驚きのあまり目を見開いている。

そしていつからか全員の視線が俺に集まっていた。

俺の命令一つで全て決まるからだろう。

いや、暴れろとか言わないですよ? それに、そんな命令しても聞いてくれないだろうし。


静かな謁見の間に扉が開く音がした。

騎士がタオルを持ってきたようだ。

その騎士は事情を知らない為、不思議な顔をしつつもトムさんにタオルを渡した。

そして、その騎士と一緒にハズキ君も入ってきた。

さて、大詰めかな?


「これでお分かりになったと思います。トムさんを使って冒険者を捕まえました。何か問題でも?」

「うっ、、、いや、判った」


今の内にトムさんにメールを送っておく。

『勇者は冒険者って事にしたから。トムさんが捕まえたって事になってる。

 後、コイツがアホな貴族。問い詰めるから乗ってきてね。』こんな内容だ。


「ところで、ヌマタ卿。その冒険者を探した所、何故かこの国に居る事が判明し追いかけました。

 捕まえたのはドラゴンのダンジョンと呼ばれているダンジョンでした。

 正規のルートで入国してましたが、誰が入国許可を出したのですか?」

「えっ? そ・そうなのか?! ……それは調べないといけないな!

 その者は紋章の入った書状を持っていなかったか?」

「そのような書状を持っていましたが、捕まえる時に燃やされてしまいました」

「紋章入りか……そうなると領土持ちの貴族だな?」


本当は持ってませんでしたよ? ナグラさんは密入国したそうです。

ヌマタ卿が上手い事誘導尋問するので、それに乗っかりました。

これで領土持ちの貴族が怪しいって事になりましたね。

アホな貴族は青い顔をしているが、書状が燃えたと聞いて若干安心したようだ。


そこでトムさんが悪乗りを始めてしまった。

ガーを呼び出せと言うのだ。

言われた通りにガーを呼び出すと、なにやら念波を飛ばしている。

何故判るかと言うと、二人(?)して頷き合ってるからだ。

そして今度は俺に念波を送ってきた。


『ガーが匂いに敏感って事にするから、付いて来て!』

『了解』


何を企んでいるのだろうか? 不安になってきたぞ?

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