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事実公表

つまりは、俺が素早く勇者を捕獲した為に、メリットが無くなりデメリットだけが残ったと。

勇者に入国許可を出したという事実だけが残ってるもんな。

これを聞いて、どうやってナグラさんがドラゴンのダンジョンに来たかやっと判明したよ。

ま、そのお陰で速攻で解決したんだけどね。


この貴族は、俺が阻止したという事を聞いて驚いただろうな。

儲かるとニヤニヤしてた所に、突然の話だもん。

阻止されてないハズだと思いたいからこそ、俺のした事を聞きたいし、ウソだと思いたい。

詳しく聞いて事実だと判れば、隠蔽工作の必要も出てくるしね。


さて、発言も許可されてるし、このアホを追い詰めてやろうか。

ハズキ君は俺以外には話して無いそうなので、王様やヌマタ卿も興味があるだろう。


「貴方は、私がどうやってサイラス国を止めたか、が知りたいのですね?」

「そうだ。どうせ褒美欲しさのデタラメだろうがな!」

「では、簡単に発端から説明しましょうか。

 サイラス国は、自国を優位にする為に非常に強い冒険者を雇いました」


さすがに勇者召喚とは言えないからね。

冒険者って事で良いだろう。


「サイラス国を優位にする方法ですが、その冒険者に他国のダンジョンを攻略してもらうのです。

 そこにあったダンジョンコアは自国に持ち帰るという掟破りをさせてました。」


ここまで話すと、ザワザワとし出した。詳しい話は聞いてなかったのだろう。

ダンジョンコアについての決まりは各国が決めた事。

それを破る時点で既に問題なのだ。


「ここで一つ疑問が出てきます。何故自国のダンジョンは攻略しないのか?

 それは、ダンジョンから出るドロップ品が関係するのです」


ざわめきが一際大きくなった。

ダンジョンを多く領土内に持っている貴族は、これから話す事実に気づいたのだろう。

そうでない貴族でも、何となく判ってきたっぽい。


「そうです。ドロップ品の多くは食料や調味料です。

 ダンジョンコアを取るとダンジョンは消滅します。つまり、食料や調味料が手に入らなくなるのです。

 仮にこの国のダンジョンが全て消滅したらどうなりますか?

 そう、ダンジョンのある他国から輸入するしか方法が無くなるのです。

 そして、輸入先はダンジョンのあるサイラス国になるでしょう。これがサイラス国の企みです」


シャレにならないくらいのざわめきになった。

誰もが恐ろしい侵略方法に驚愕し、そして怯えてるのだ。


「さて、これを阻止する方法は簡単ですね。その冒険者を捕まえれば良いだけです。

 それを実行し成功したので、ここに呼ばれました。以上です。何かおかしい所がありましたか?」


そう言って、アホの貴族を見る。

自分が知ってる侵略方法と同じだったので、他の貴族とは別の意味で怯えているようだ。

だが、まだ確信が欲しいのだろう。止せば良いのに、まだ噛み付いて来る。

どうやら自殺したいようだ。


「ダンジョンを攻略するほどの冒険者を、キサマがどうやって捕まえたのだ?!」


なるほど、そこを聞きますか。

確かに『コネクト』を使って罠にハメました、とは言えない。

でも俺には切り札があるのさ!


「私は『技術』で『サマナー』を持っています。従魔を使って捕まえたのですよ」

「ウソをつけ! ダンジョンを攻略出来る冒険者が従魔如きに捕まるハズが無いわ!!」

「本当なんですがね。王様、どうしましょうか? 従魔を召喚しましょうか?」

「ふむ。その従魔はそなたの命令を聞くのだな?」

「はい。その通りです。万が一暴れるような事態になっても、すぐに送還出来ますので」

「ならば問題は無い。一応騎士を呼ぶが良いか?」

「はい。王様の安全は確保してください。それから従魔を召喚しましょう」


ヌマタ卿が騎士を呼んでいる間に、トムさんにメールを送る。

『これから召喚します。謁見の間なので失礼の無い様に。ちなみにアホを問い詰め中です』と。

そう、俺の切り札はトムさんだ!

これだけ貴族が居れば、誰か鑑定くらい出来るだろう。

レベル200が判れば、反論のしようが無いだろ?


騎士が揃ったので、召喚の許可が下りた。

早速トムさんを召喚する。


……登場したトムさんは、何故かズブ濡れだった。

そして、開口一番、


「入浴中だったのに……」


と悲しい顔で報告された。ゴメン……。

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