再現シーン
どうやら俺の言葉は王様のツボにはまったようだ。
横を向きコチラからは顔が見えないが、小刻みに震えている。
必死に笑いを堪えてるのだろう。
ならば、期待に答えましょう!
どうせ俺に許されているのは、1つのワードだけなのだから!
「キサマ、何を言っている!」
「お受けします」
「ちゃんと答えんか!」
「お受けします?」
「何故疑問系になった?! 質問に答えろ!」
「おう! けします!」
「『おう』とは何だ! 『消します』?! 何を消すのだ?! ん? って結局同じ言葉ではないか!!」
「お? うけ! します!」
「キ・キ・キサマ、バカにしてるのか!!」
完全に怒らせたようだ。
逆に王様は死にそうになってる。笑い過ぎで。
ちなみにヌマタ卿はニヤニヤしてるし、ネモト卿は苦笑いしているが止める気は無いようだ。
大体、バカにしている訳では無い。
だって王様が発言を許可してくれないと、これ以外喋れないんだ。
その王様はそれどころじゃなさそうだしさ。
いや、前言撤回。本当はバカにしてます。
王様の前で敬語も使わず騒いでるんだもん。多分コイツがアホな貴族なんだと思われる。
そんなヤツはからかっても良いだろ?
アホな貴族は、とうとう何も言わなくなった。
王様の許可が必要な事にやっと気づいたのだろうか。
怒りながら王様を見ている。
だが、それは逆効果だ! 見ろ! こちらが注目する事によって、ツボった王様は脱出出来ないでいるではないか!
時間にして10分。静かな時間が過ぎた。
やっと落ち着いたのか、王様が発言をした。
「ふ・福田よ……プッ……発言を許す……ププッ」
いや、またツボってるようだ。
喋れるほどには回復したようだが。
では、早速何がどうなってるのか聞こうじゃないか。
「ありがとうございます。して、こちらの方は何を仰ってるのでしょうか?」
「な・何をだと?! 聞いてなかったのか?!」
「聞いてなかったのではありません。聞こえなかったのです。下を向いた体勢では聞こえづらくて」
「キ・キサマ……ならば教えてやろう! キサマはどうやってサイラス国の事を阻止したのかと聞いたのだ!!」
「その事ですか? それならば王様やヌマタ卿に説明済みですが?」
「それは知っている! それが信用出来ないから、キサマからもう一度聞こうと問いただしているのだ!」
「つまり、王様やヌマタ卿がウソを言っていると言われるのですね?」
「そんな事は言っていない!!」
「そうですか? 見た所、貴方しか疑っている人は居ないようですよ?
他の方はお二方の言われた事を信用され納得された、という事ではないですか?」
「王様やヌマタ卿を信じてないのではない! キサマが信用出来ないのだ!」
そうか? 俺を信用出来ない=王様や2トップの見る目が無い、と言ってるような物だと思うけどさ。
独自に調べて事情を知ってないと、否定なんて出来ないと思うのだがね。
なんせサイラス国が秘密裏に行ってた事だ。知っている方がおかしい。
王様だってイイクラさんから言われて知ったくらいだからな。
やはり、ハズキ君が見たように、こいつはサイラス国と繋がりがあるようだ。
ハズキ君から聞いた話はこうだ。
ある日、『かくれんぼ&鬼ごっこ』と言う名の逃走をしたらしい。
鬼は当然、教師やメイド達だ。
ひたすら逃げて、中庭にあるベンチの後ろの木陰に潜んだそうな。
そこでしばらく休憩していると、ベンチに人がやってきた。
鬼だとすれば捕まってしまう、違うとしても通報されてしまい結果捕まる。
だから見つからないように潜んだ。
するとその人は、独り言を言い出したそうな。
バカなのか自分のした事をブツブツと説明するように。
そこまで聞いた時に思ったね。
ドラマとかでよくある、犯罪者が犯罪をするシーンを見せるような感じだな、と。
そして、城の中で喋るなよ、ボケ! というツッコミ。
その人はサイラス国と繋がりがあり、勇者に自分の領土のダンジョンは襲わないように頼んだ。
その見返りに、入国許可を出した。
自分の所以外のダンジョンを襲わせて、ニーベル国唯一のダンジョンのある領土にしたかった。
それで儲ける予定だった。
これがハズキ君が聞いた内容。
見事な説明です! 本当にアホだな!!




