表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
192/949

謁見中

騎士2人に連れられて謁見の間に向かう。

いつものように前後に騎士が居て、挟まれてる形だ。


今の内におさらいしておこう。

1.入ったら中央まで進み、片膝を付いて頭を下げる。

2.そのまま話を聞く。

3.『お受けします』と言う。

4.許可が出たら立って帰る。

うん、大丈夫だろう。


で、禁止事項が、

1.勝手に立たない。

2.勝手に喋らない。

3.勝手に頭を上げない。

4.発言をする場合は、まず許可を求める。

5.魔法禁止。武器禁止。

6.フランクに喋らない。

7.とにかく、色々禁止。

だったかな?


おさらいしてる内に、謁見の間の前まで来てしまった。

前を歩いていた騎士が、門の前に居る騎士と話している。

短い話が終わると騎士は戻ってきて、今度は横並びになった。

門の前に居た騎士は、こちらを目で確認した後に扉を開け大声で喋った。


「福田哲司様、到着でございます!」


床の赤い絨毯の上を左右に居る騎士と共に進む。

絨毯の先には2段高い場所があり、そこには椅子に座った王様と左右にヌマタ卿とネモト卿がいる。

赤い絨毯の外には、貴族であろう人達が左右に分かれて並んでいる。

左側の方が若干体型が良いので、軍関係じゃないだろうか? ヌマタ卿側だし。

ネモト卿の居る右側が内政って事だと思う。

つまり右側にアホが居るって事か……。


そんな事を考えてると、左右の騎士が止まったので俺も止まる。ここが中央らしい。

思い出したので、慌てて片膝を付いて頭を下げた。


するとどうやらネモト卿が話し始めたようだ。

全員に聞こえるように結構大きめの声で喋っている。

この体勢って、人の声が聞こえにくいな。俺にはさっぱり何を言ってるのか判らないよ。困ったな……。

まあいいや。俺が喋る時は返事を待ってる時だろう。その時は静かになるはず。

そうしたら言えば良いだろう。


しばらく聞いていると、違う声も聞こえてきた。

誰の声だろうか? ヌマタ卿じゃないし、王様でもハズキ君でも無いな。

まあいい。俺は静かになったら返事をするだけだ。


ほどなくシーンとなったので、今だと感じたね。

なので言われていた通りのセリフを言うだけだ。


「お受けします」


良し! うまく言えたぞ!

ありゃ? 何か周りがザワザワしてきた。

聞こえなかったのかな? 下向いたまま喋ったからなぁ。

でも、このザワザワした状態で言っても聞こえないだろうし、どうしようか?


「面を上げよ!」


悩んでると、王様から大きな声で許可が出た。

俺が顔を上げると、上段に居る3人は少し呆れたような顔をしていた。

まあ、そんな事はどうでも良いのだ! 俺はミッションをクリアするのみ!!


「お受けします!」


もう一度言ってやった。これで聞こえただろ?

ミッションクリアだぜ!

ん? ネモト卿がチラチラと俺の右側を見ている。

目だけでチラッと見てみると、小太りでキンキラな指輪をしたオッサンが顔を真っ赤にして震えている。

何があったのだろうか?


「王よ! 何故ですか?!」


何かを王様に問い詰めている。

そして突然こっちを向いて、叫び出した。


「キサマ、どんな手を使ったのだ! 言ってみろ!!」


何のこっちゃ? さっぱり判らない。

俺が王様の方に向きなおすと、王様は軽く顎をしゃくった。

喋って良いという事なのだろう。

だから俺は、ソイツの方を向いて言ってやったね。


「お受けします」


俺に許されているただ一つの言葉を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ