謁見準備
翌日、結局また城へ行く事になったので、朝8時から登城した。
何でも謁見は10時から随時行うそうだが、9時までには来ていないとダメだそうだ。
そして俺は今、ネモト卿に着替えされられている……。
さすがに普段の服装ではダメなのは判る。礼服も持ってないし。
しょうがないので、綺麗目な服装で行ったら、速攻で捕まったのだ。
理由がまた大変。
「アホ、いや、そういう所にだけは煩い貴族が居るので、服装はちゃんとしよう。貸すから」
またアホと言った!
どうやらそのアホ貴族も出るらしい。
イヤだな~、怖いな~、面倒だな~、と呟いてしまってもしょうがないと思う。
で、着替えたら今度はヒマになる訳だ。
現在は8時半。謁見は10時から順番に。
ネモト卿に聞くと、俺は最後の方らしいから11時過ぎると言われた。
2時間半も待たなくてはならない……。
知り合いもいないし、ウロウロも出来ない。苦痛だ……。
ネモト卿に連れて来られたので個室なのだが、話す相手もいない。
まぁ、謁見するような人は基本貴族とかだと思うので、話し相手にはならないだろうけど。
しょうがないので部屋をウロウロしてたら、救世主が現れた!
なんとハズキ君が来てくれたのだ!
王様に話をされて、納得したそうだ。
で、どんな人物か気になってたら、今居ると知ったので来たらしい。
「ハズキだ! よろしく頼む!」
「福田哲司です。よろしく。そんなに硬くならなくていいよ。敬語も不要」
「そ・そうか?」
「ああ。俺も敬語で話さないから、問題無いよ」
「そうだな! ん? 何か変なような気がする……?」
「気にしない、気にしない。イヤでしょ? 堅苦しいのは」
「そうだな。ではそうしよう」
俺は左手の人差し指を立てて左右に振る。
「チッチッチ、『そうだな、そうしよう』じゃないだろ? 『うん!そうだね!』だろ?」
「そ・それくらいは良いじゃないか!!」
「いやいや。大体、今ハズキ君は何歳だい?」
「今年で12歳になったぞ!」
「じゃあまだ子供じゃないか。俺と居る時は、もっと子供らしくしてていいんだよ」
「そ・そうなのか? 怒らないのか?」
「子供が子供らしくして怒る意味が判らない。ほれ、言ってみな『福田兄ちゃ~ん』って!」
「それは違うだろ!」
「子供っぽいじゃないか! ほら! ほら!」
「くっ、……ふ・福田兄ちゃ~ん!」
「うわ~可愛くないわ~」
「言わしておいてソレか!!」
いや~、からかい甲斐のある子だねぇ。本当に素直に言っちゃうしさ。
「ゴメンゴメン、冗談だよ。でも、本当に兄扱いしてくれて良いんだよ?」
「……父と近い年齢の兄はイヤだ」
ぐふっ! ……見事な反論だぜ。やるじゃないか。
結局、仲良くなる為に、一緒に苺を食べました。
この子、苺が好物なんだってさ。俺と同じだ。仲良くなれそうだわ。
こうして、呼ばれるまで色々な話をしてた。
俺からは冒険の話を(運で切り抜けた部分はカットして話した)。
ハズキ君からは貴族や城での話を。
ハズキ君からアホな貴族の話が聞けたのは良かった。
何でも中庭で偶然見てしまったらしい。
もし何か言われたら、それで反撃しよう。
反撃して良いのかは知らないけどさ。2トップか王様がフォローしてくれるだろう。
その場にはハズキ君も来るらしいので、イザとなったら助けてもらおう。
子供に助けを求める大人、よくある事だよね? ね?
そうこうしてる内にノックの音がした。
どうやらやっと出番らしい。
時刻は11時15分。長かったわ~。1分くらいで終わってくれないかな?




