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軍師の手腕

不正の無い様に席順は時計回りに、俺・王様・タルーンさん・ヌマタ卿、となった。

配るのは、何故か外で待機していた騎士の人……。

可哀相に巻き込まれたようだ。


ババ抜きに関しては説明はいらないだろう。

あえて説明するなら、、、

常に王様スタートとなった事。

自分が取るのは右側の人、取らせるのは左側の人。

つまり、王が俺のを取ってゲームが始まり、次に俺がヌマタ卿のを取る流れだ。


最初に配られたカードからペアになってるカードを抜いて場に捨てる。

これで手持ちは4枚になった。ジョーカーは無し。誰が持ってるのかな?


王様が俺からカードを引く。

3を取ったが、場に捨てなかったので3を持ってない事が判った。


さて、俺がヌマタ卿のカードを取る番だ。

その時、事件は起こった!

ヌマタ卿がカードを1枚だけ、他の3枚のカードより高く並べてるのだ!

これはよくある『これはジョーカーかな? ブラフなのかな?』作戦じゃないか!

まさか初回で仕掛けてくるとは! 侮れないなヌマタ卿!!


だが、俺はあえてそのカードを引く!

そのカードを知る事により、その人の考えが判るからだ!

軍師と呼ばれる男、その人の手腕拝見!!


引いたそのカードは8だった。

手持ちの8とペアになったので、場に捨てる。これで残り3枚だ。

どうやらブラフだったようだ……。


このままゲームは進み、俺は残り1枚となり、ヌマタ卿が2枚・タルーンさんが2枚。

そして王様が4枚のまま。

で、俺の番だ。

ここでヌマタ卿は、またもや1枚の内の1枚を高くしてアピールしている!

だが、俺はここでもアピールされているカードを選択する!

このゲームを捨ててでもヌマタ卿の手口を知っておきたいからだ!


そして引いたカードは!

Jでした。手持ちもJだったので、1着です……。

あれ? どうなってんの?


そのままゲームは、タルーンさんが2着になって終了。

ペア戦なので、ヌマタ卿と王様で最下位を決める必要は無いのだ。

そこで、初めて王様が口を開いた。


「おう、ヌマタよ。先ほどからカードを1枚アピールしているが、福田君が1着になってるではないか! ヘタなんじゃないか?」


おっとっと、王様よ。それを俺達が聞いている所で話すのか?!

どう答えても、俺達に有利になるんだが、判ってないのか?

だが、ヌマタ卿も素直に答えた。


「意味はありますよ。それよりもまず、皆さんが聞いている場で説明を求める貴方こそ、ヘタの考えですけどね」


王様はしまった! という顔をしている。

だが、ヌマタ卿の説明は止まらない。


「ヘタな人には理解出来ない様なので教えてあげましょう。

 私は最初からジョーカーが手の内にありました。そこでジョーカー以外のカードをアピールしてみました。

 福田さんはアピールしたカードを取ったので、次もアピールすれば取るだろうと推測しました。

 そして最後の場面ですが、迷い無く、Jをアピールしたのです。

 それが作戦通り上手くいき、福田さんが1着になったのですよ」


俺を含め、全員が??となっている。

作戦失敗なのに、作戦成功に聞こえるぞ?

誰もがそう思っていると、ついに王様が真意を聞こうと口を開いた。


「お前の言い方では、作戦成功に聞こえるのだが?!」

「おや、判りましたか。少しは考える脳があるのですね。そうですよ、成功です」

「成功したら負けるではないか!!」

「何を言ってるのです? 私は最初から貴方を勝たせる為に参加してませんよ?

 そのような事を一言も言っていませんし、貴方からも協力するように言われていません。

 今、私がする事は、福田さんを勝たせて早く終わらせる事です。

 貴方の遊びに付き合っているヒマは無いのですよ」


王様は驚愕の顔で、鯉のように口をパクパクさせている。

そりゃそうだ。まさか仲間に敵が居ようとは思っても無かっただろう。

つまりこのゲームは、最初から3対1で進行してたのだ!

だが、必勝も難しいが必敗も難しい。それが出来るのだから、やはり優秀なのだろうな。


それからゲームを続けたが、当然王様チームが負けた。

俺とタルーンさんは、王様を「可哀相になぁ」という目で見続ける事しか出来ないでいた……。

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