表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
183/949

三国志?

王様はどこから出してきたのか、2cm角の氷を口に含んでいた。

そうでもしないと辛さが引かないのだろう。哀れだ……。


「で? 俺リーチなんだけど、どうするの?」

「どうするとは?」

「いや、棄権するとか?」

「せぬわ! ここから華麗に大逆転するのだ!」


前向きだなぁ。

これくらい心が強くないと王なんて務まらないのかもしれない。


「で? どんな勝負で大逆転ですか?」

「今考えてるわ! 少々待てぃ! ううむ、どうしたものか……」


俺は運を使わない場合、やはりハーツのようなゲームが一番勝ちにくいと思ってる。

ゲームを熟知し策略を練ってプレイされれば、ルールを知ってるだけではかなり不利になる。

そして他者の要素も加わってくるので、なおさらだ。

そういうゲームを提示してくれば良いと思うのだがな。

ん? 当然教えないよ? さっさと6連勝して終わらせて帰る気でいるから。

だが、そこは腐っても王様、同じような結論に達したようだ。


「良し! 次はトランプで勝負だ! と言っても二人だけで、ではない! 仲間を加えてペアで対決だ!」

「それは良いけど、仲間って?」

「そなたは別室に居るタルーンを仲間とすれば良いだろ? ワシは軍師を仲間とする!」

「何故軍師?!」

「この城で最も頭の回転が速いからだ!」

「いや、そうじゃなくて、軍師なんか居るのか、って事だよ!」

「サイラス国とはよく問題が起きてるからな。そういう職に就く者が必要なのだよ」


軍師なんているんだ!

なんだろう、羽扇を持ってて火計が得意なあの人が浮かんできたよ。

あの人になら負けるかもしれないな。


「あやつは今、軍を率いて訓練をしているはず! 少々待て、今呼んで来る!」

「ちょっ! 任務中じゃないか! 遊びに誘うなよ! おい! 待てって!!」


俺の制止も聞かずに飛び出して行ってしまった……。

開けられた扉の外に居る騎士の1人は、慌てて追いかけて行った。

残った1人は俺を見て「すみません。ご迷惑をかけます……」と言わんばかりの目をしている。

いつも振り回されてるんだろうなぁ……。

俺は騎士の人に労いの意味を込めて、マジックボックスからクッキー詰め合わせを差し入れしといた。

後で皆で食べてください。


しばらくすると、王様はタルーンさんと軍師の人っぽい人を連れて帰ってきた。


「こやつがウチの軍師のヌマタだ。ヌマタよ、こちらが例の事案の福田君だ」

「ヌマタだ。ニーベル国軍を仕切っている。王に代わって謝罪する。すまなかった」

「福田哲司です。いえいえ、ヌマタ卿が謝られる事ではありませんよ」

「おい、おまえら……。今ワシをバカにしたろ?」

「おや、バカにされた事に気づいたのですか? その少しは回る頭で、周囲の迷惑も考えたらどうですかね?」

「やはりいつもこんな感じですか?」

「そうなのですよ。無駄に行動力があるのでね」

「おい! 『やはり』とはなんだ! 確信があるような言い方ではないか!

 それにヌマタ! 無駄な行動力とはなんだ!」

「うるさいですね。ここには4人しかいないのですから、大声を出さなくても聞こえますよ。

 そんな事だから、『駄王』と呼ばれるのですよ」

「!! 誰だ!! そんな呼び方をしてるのは!!」

「私ですが、何か?」


王様は悔しそうに地団駄を踏んでいる。もう言葉すら出てこないようだ。

それにしてもヌマタ卿、非常に毒舌です。

日頃の苦労のせいでしょうか? どれだけ迷惑をかけられてるのだろう……。


「それで、私をココに呼んだ理由は? ああ、言わなくても判りますよ。

 ヘタなくせに好きなギャンブルで勝負を挑み、負けそうだから助力が欲しいのでしょう?」

「何故判る?!」

「いつもの事だからですよ。部屋を見ればトランプが出てるし。

 ちょっと考えれば、子供でも判りますよ。負けても反省しない貴方は子供以下かもしれませんね。」

「失礼な!!」

「そうですね、失礼ですね、子供に。子供も比べられては失礼でしょう。

 負けると判ってる勝負なんて、子供はしませんからね。

 という事は、動物並みでしょうね。いや、危険を察知すら出来ないので動物よりも悪いか……?」


またもや、王様は悔しそうに地団駄を踏んでいる。いい加減床が抜けるのではないだろうか?

話が進まないので、話題を振ってやろう。


「で、王様。何で勝負するのですか?」

「ぐぬぬぬぬぬ……。ん? ああそうだったな。勝負は『ババ抜き』だ!

 10回勝負して、最下位の多いペアが負けとなる!!」


……最後に地味なゲームを持ってきたなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ