決闘という名のゲーム
「決闘と言っても、武力ではないぞ。勇者を捕まえるようなヤツと武力で戦いたくない!」
「そう言うんなら、決闘自体止めようよ」
「うるさい! ワシは異世界の物を集めるのが趣味なのだ! それを阻止されて黙っていられるか!」
「え~、理不尽~」
「ワシにはもう一つ趣味がある! それはギャンブルだ!」
「あぁ、だからカジノの町があるのか」
「そうだ。誰でも自由にギャンブルが出来る場所を作ったのだよ。褒めても良いぞ?」
「わ~、すご~い、とてつもなくバカっぽい理由~」
「棒読みは止めろ! だがそのお陰で税収もUP、観光客で経済も上向きなのだぞ?!」
「偶然の産物でしょ? それが計画的だったなら褒めたけどさ」
「ええぃ、うるさいわ! とにかく、ギャンブルで対決だ! ワシが勝ったら落札した物を貰うぞ!」
「俺が勝ったら?」
「ふっ、勝てるつもりか? 何でも三つ……いや、二つだけ願いを叶えてやるわ!」
「減らした! セコい!!」
まあいい、二つは願いが叶うのだ。
さっき却下された事でも要望するとしよう。
どうせ、俺が運を使って勝つのだし。
ん? まてよ? えらく自信マンマンだけどさ、イイクラさんから聞いてないのか?
もしも、聞いてたとして、それでもこの自信だとすると、運が通用しない人なのか?!
それとも、俺よりも運が高い?!
こりゃ油断出来ないかも……。
「勝負は3勝した方の勝ち! 勝負の内容は敗者が決めれるとする! 良いな?!」
「まぁ、それでいいよ」
「で、最初の勝負だが、王であるワシが決めよう!」
「うわっ! きたねぇ!!」
「うるさいうるさい! 最初の勝負はトランプの『スピード』だ!!」
『スピード』
2人でやるゲーム。
ジョーカー無しのトランプを伏せた状態で半分にする。
自分の前に手持ちのカードから4枚出し、表にして並べて置く。
掛け声と同時に、手持ちのカードから1枚を相手との間の右寄りに表にして出す。
それが例えば6だったら、その上に5か7なら置く事が出来る。
置く事が出来るカードは、表にして並べた4枚のカードのみ。
出して足りなくなったカードは、手持ちのカードから補充する。
出せなくなったら、また掛け声と同時に、手持ちのカードから1枚を相手との間の右寄りに表にして出す。
繰り返して、手持ちのカードと並べた4枚が無くなった方が勝ち。
※自分の出したカードは右側だが、相手の出したカードが左側にある。それにも出す事が可能。
KとAは繋がっているので、Kの上にはAかQが出せる。
例えば並べた4枚が「2・6・9・J」だったとする。
掛け声で出たカードは「5 K」、Kが俺が出したカードで、5が王が出したカード。
この場合は、俺は王の出した5の上に6を出す事が出来る。
とまあ説明したが、要は『いかに早くカードを出すか』というゲームだ。
相手が「1・2・3・4」で、俺が「2・6・9・J」と並べてる場合、場に5が出たら4枚出されてしまうだろ?
その時に俺の6を先に出してしまえば、向こうは出せるカードが無くなるのだ!
判断力と瞬発力が必要なゲームなのだよ。
あっ、後はカードの運。さっき言ったみたいに連番で出ると楽だからね。
こうやって説明してて思ったが、俺有利じゃない?
『閻魔様の加護』で判断力(A)を貰ってるから。
しかも、レベル25・体力335・速さ305、だよ?
もし、運が通用しなくても何とかなるんじゃないだろうか?
なんて考えてるうちに、王様はトランプを持ってきて既に配り出してた……。
ヤル気マンマンだな!
左右に分かれたトランプ。どちらを選ぶかはジャンケンで決める事に。
ジャンケンに勝ったのは俺で、右の山を選んだ。
早速『勝ちたいな~』と祈ってみる。
で、場に4枚カードを出すと「5・6・7・8」と出た。
あれ? 運が通用してるんじゃない? 王様のは「A・4・J・Q」とバラバラだし。
掛け声と共に出したカードは、2と9。
2に王様はAを出し9が追加された。俺は9に8→7→6→5と出した。
すると王様は4を出して10が追加された。
俺が並べたカードはまたもや「5・6・7・8」!
結局、これの繰り返しのような作業で、全て出し切って俺の勝ちになった……。
俺の運の事、知ってたんじゃないのかよ?!
つい謝っちゃったよ。
「……何かゴメンな?」
「謝るな!!」
王様、既に涙目です。




